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インターネット公開文化講座

文化講座

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料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第20回:「海藻」について学びます No.1・昆布。

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。

第20回目のテーマは、「海藻 No.1・昆布」

今月のテーマは「海藻」です。海藻は昆布・わかめ・もずくなど種類も多く栄養価も高いので、この海藻シリーズは2回に分けてお伝えします。今回は代表的な海藻である昆布をNo.1としてご紹介します。
まだまだ鍋物がおいしい季節が続いています。そしてその鍋料理を絶対的な力で支える出汁食材と言えば昆布です。昆布はそれだけで濃い出汁が出るわけでもないので、ついつい忘れられがちですが、カツオ節や魚介類、野菜と合わせることで他の食材の旨みを引き出してくれる名脇役ともいえる食材なのです。名脇役は実は名主役であることをこのページで宣言したく思います。

代表的な昆布を使った料理のご紹介

*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです


テビチ(沖縄の豚足と昆布の煮物)


鶏肉とごぼうの昆布巻き


トマトとふきの塩昆布じゃこサラダ


肉ごぼうと塩昆布の炊き込みご飯


大豆と手羽先・昆布の煮物


春キャベツと塩昆布の即席漬け


きゅうりの塩昆布和え


カブの塩昆布和え


大根の塩昆布和え

代表的なレシピをご紹介します

昆布の炒り煮

昆布の炒り煮
※写真には、輪切り唐辛子・えのき茸・茹でたさやいんげんなども入れました

材料 4~6人分
  干ししいたけ 4枚
300ml
  500ml
かつお節 10g
早煮糸切り昆布 50g
豚薄切り肉 100g
にんじん 1/3本(60g)
サラダ油 大さじ2弱
  かつおだし汁 300ml
しいたけの戻し汁 100ml
A しょうゆ 大さじ3・1/2
大さじ4
砂糖 大さじ1・1/2
みりん 大さじ2

作り方

  1. 干ししいたけは水で洗い、分量の水でゆっくり戻します。戻したしいたけは短い薄切りにします。
  2. 分量の水を沸してかつお節を入れ、2~3分間程煮出して漉します。
  3. 切り昆布は水で洗い、たっぷりの水で10分間程戻します。
  4. 豚肉は細切りし、にんじんは皮をむいてせん切りにします。
  5. フライパンに油を敷き、にんじんとしいたけ、豚肉を炒め、戻した昆布を加えて更に炒めます。
  6. 5.に分量の2.のだし汁としいたけの戻し汁を加え、(A)で調味して汁気が少なくなるまで炒り煮にします。

昆布の有馬煮

昆布の有馬煮

材料 6人分
(作りやすい分量)
日高昆布
(だしを取った後の昆布可)
200g
(乾燥状態で25g)
A 500ml
大さじ2
B しょうゆ 大さじ2・1/2
砂糖 大さじ2弱
実山椒のしょうゆ漬け 大さじ1/2

作り方

  1. 昆布は3cm角に切ります。
  2. 圧力鍋に1.と(A)を入れてフタをし、強火にかけます。
  3. 2.が沸騰したら、弱火にして15分間程火にかけます。
  4. 圧力鍋が冷めたらフタを取り、(B)を加えて汁気が少なくなるまで煮含ませます。
  5. 4.を器に盛ります。

昆布出汁

  • 「昆布出汁」はミネラルが豊富で、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウムをバランスよく含んでいます。
  • 「昆布出汁」には過剰な脂肪の摂取や血糖値の急激な上昇を抑え、脂肪をたまりにくくするアルギン酸という栄養素が含まれています。さらに内臓脂肪の蓄積が抑えられることも期待できるので、日頃の肥満防止に取り入れるのもおすすめです。

昆布の種類

昆布の種類はとても多く、収穫された地域で特徴や形が異なります。この収穫された場所の地名が昆布の名称になっています。代表的なものに、利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布などがあり、全国生産の約9割は北海道が占めています。昆布は黒っぽくて肉厚のものが良いとされ、乾燥したものが保存しやすい長さに折りたたんで販売されています。食べやすく加工されたものに、とろろ昆布や切り昆布、結び昆布などもあります。

昆布に含まれる栄養素と期待される健康効果

  • 昆布は昔から「髪の毛が美しくなる・生えてくる、便秘を解消する、血圧を下げる」など、健康に良いとされてきました。その理由は、カリウム、カルシウム、リンといったミネラルが豊富に含まれ、鉄分やヨウ素といった体に良い成分がたっぷりと含まれているからです。
  • 昆布を特にたくさん食べる県は、富山県と沖縄県です。ちなみに、これらの県では昆布はほとんど収穫されていません。
  • 歴史的には、秦の始皇帝が求めた不老長寿の薬が、昆布の粉だったといわれています。昔の人々は経験的に昆布が体に良い食べ物だと知っていたのでしょう。
  • 近年は科学的に、昆布の持つ力が解明されつつあります。その中の1つで注目されている成分が、フコダインです。これは海藻類のヌルヌル成分のことで、海藻食物繊維です。このフコダインがガン細胞を死滅させたり、胃の粘膜を補強し胃潰瘍を修復したりする働きがあることが、最近の研究でわかっています。

昆布のおいしい食べ方

長い昆布を使うたびに切り分けていては、ついつい使うのも面倒になってしまいます。こんなに体に良い昆布を、どんどん料理に使うために料理研究家は、昆布を切り分けて保存することをおすすめしています。昆布を長いまま使うのは、昆布巻きと昆布〆めを作るときくらいです。出汁用には5~10cm程度の長さに切り、数ヶ所切り込みを入れておきます。出汁をとった後は水でコトコトと煮て、薄味に調味して佃煮を作ってください。また、大豆を煮る時に共に入れれば、おいしい煮豆昆布が出来上ります。その「素直な味」は心までやさしくしてくれそうです。昆布の表面の白い粉は、マンニット(マンニトール)という昆布の旨み成分の1つなので洗い流さないようにお願いします。

昆布にまつわるおもしろ話

  • 昆布の国内生産の9割以上を北海道が占めていますが、北海道の人は(地域にもよりますが)昆布をあまり食べないようです。それは、昆布は「出荷するものであって(お金になるものであって)、食べるものではない」という意識があるからだというのです。あまりに身近にあり過ぎて、大切に思えないという発想もあるのかもしれません。
  • 「死んで花実が咲くものか」という言葉があり、それは命の大切さを物語っていますが、実は昆布は死んで初めて「おいしい出汁が出る」のです。もし海の中で出汁が出てしまったら、昆布自体が旨味(グルタミン酸)を失ってしまいます。生きている昆布の細胞膜は「選択透過性」という性質を持っていて、必要な成分を外に出さないバリアの役割を果たしているため、海水中では旨味が溶け出ないのです。

次号は、「海藻 No.2 わかめ・ひじき・のりなど」を予定しております

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