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インターネット公開文化講座

文化講座

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料理研究歴50年・「伊藤華づ枝の しみじみ おいしいレシピ集」

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第15回:「サンマ」について学びます。

前シリーズでは、「世界の長寿食」というテーマで、世界各地の人々は健康を維持するために何を食べてきたのかという背景を探りつつ、それらの料理を日本でも手に入る食材を使ったレシピで紹介したり、含まれる栄養素の効能についてもお伝えしてまいりました。
今シリーズでは、料理研究歴50年が経過した筆者が旬の食材を中心に取り上げ、家庭で作れる基礎レシピだけでなく、日本で食べられている世界各地のおいしい料理やデザートなどもご紹介しております。それぞれの食材が持つ栄養素や美しい盛り付けのコツ・食材にまつわる「おもしろ話」・食事マナーなどについてもご紹介しております。

第15回目のテーマは、「サンマ」

猛暑も過ぎ、秋の味覚が楽しめる季節となってまいりました。秋の味覚と言えば、やはりサンマでしょう。サンマ(秋刀魚)は、その漢字が示す通り、秋を代表する魚です。スマートで、銀色に光り輝く姿が日本刀を連想させることからこの字が当てられました。今まさに旬、安くておいしくて体に良い魚ですが、「食べたいけれど調理が面倒だ」と言って購入するのをためらう人が最近は多くなっていると聞きました。主な理由は「長い魚なので切ってから調理するのが面倒だ」、「焼くとしばらくの間、部屋中にサンマの臭いがたちこめる」というもの。そんな理由で避ける人がいるとは残念なことです。このページを参考にして、秋の代表食材「サンマ」を魅力的に調理してください。


サンマの筒煮がある秋の食卓

代表的なサンマ料理のご紹介

*このページ内の料理写真は、すべて伊藤華づ枝が作成・撮影したものです


サンマごはん


サンマの筒煮


サンマの塩焼き~ムニエル風~


サンマと野菜の蒸し煮~スダチダレ~

代表的なレシピをご紹介します

サンマのミルフィーユ仕立て・チーズ焼き

サンマのミルフィーユ仕立て・チーズ焼き

材料 4人分
生サンマ(大・開き・または3枚卸し) 4尾分
小さじ1/3~1/2
黒こしょう 少々
オレガノ 適量
小麦粉 適量
適量
※スライスチーズ 4枚
レモン(スライス) 4枚
ハーブ 適量

作り方

  1. サンマは開いたものか3枚卸しにしたものを1人1尾あてに購入し、3枚卸しの1切れを3等分長さに切ります。
    ※1人分6切れにする
  2. 1.に分量の塩・黒こしょう・オレガノを振ります。
  3. 2.に小麦粉をまぶして、油でこんがりと焼きます。
  4. スライスチーズは1枚を6等分にキッチンバサミで切ります。
  5. 3.のサンマをいったんフライパンから取り出し、フライパンの油をふき取ります。
  6. サンマ1切れの上にチーズ、更にサンマ、その上にチーズ・サンマの順に重ねます。
  7. 余熱でチーズが溶けたら、器にレモンとハーブと共に盛り合わせます。

サンマの塩焼き~薬味ダレ~

サンマの塩焼き~薬味ダレ~

材料 4人分
生サンマ 4尾
小さじ1弱
  しし唐辛子 4本
万能ねぎ 4本
しょうが 大1かけ
みょうが 2コ(20g)
A 大さじ2
しょうゆ 大さじ4
大根(おろす) 100g
スダチ 2コ

作り方

  1. サンマは1尾を1/2長さに切って洗います。
  2. 1.をペーパータオルで水気を拭き、分量の塩を振って5分間程置いて塩味をなじませます。
  3. 2.をグリルでこんがりと焼きます。
  4. しし唐辛子は縦2つに切って種を取り出して粗切り、万能ねぎは小口切り、しょうがはみじん切り、みょうがは小口切りにします。
  5. 4.を(A)で調味します。
  6. 器に3.を盛り、5.と水気を軽くしぼったおろし大根を混ぜ合わせたものをのせます。半分に切ったスダチを添えます。

サンマが出ると按摩(あんま)が引っ込む

昔から「サンマが出ると按摩(あんま=マッサージ師・治療者)が引っ込む」と言われています。サンマの旬である秋は、なんと言っても過ごしやすい季節であること、しかもこの時期に旬を迎えるサンマがとても体に良いことから「病人が少なくなる」という意味です。

サンマの栄養素
~サンマは健康にとって万能選手です。皮も腹ワタも全て食べてください~

  • この季節のサンマには血栓抑制、動脈硬化を予防・改善する不飽和脂肪酸がたっぷり含まれています。
  • 不飽和脂肪酸は、アレルギー症状の緩和・改善にも効果的です。
  • 脳神経細胞機能を維持するDHAは、脳細胞を発達・活性化し、記憶力や学習能力を向上させます。
  • 特に注目される栄養素のひとつにビタミンB12があります。このビタミンは造血や神経機能に働くことがわかってきています。動物実験の段階ですが、脳の働きにも関与しているとされ、今後は認知症の予防にも効果が期待できそうです。
  • 腹ワタにはビタミン類だけでなく、カルシウム・マグネシウム・銅などのミネラルが豊富に含まれているので、腹ワタごと食べることをおすすめします。

サンマの調理法

サンマを味わうと言えばこの時期一番の醍醐味は、やはり塩焼きでしょう。香ばしく焼けた皮とほろ苦い肝が、なんともいえない深い味わいです。たっぷりのおろし大根を添え、スダチの汁をギュッと絞って食べるのが「通」の食べ方です。おろし大根にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、スダチのビタミンCと共に魚の焦げた部分にある発がん性の物質を取り除く働きもあります。サンマにとって大根やスダチは、おいしさだけではなく体に良い最高のパートナーです。
そのまま塩焼きすると煙が出て困る・焼いた時の匂いが洋服に沁みつくという方には、小麦粉をまぶして焼くムニエルという方法があります。煙が出ないだけでなく、身が崩れにくいというおまけ付きです。

サンマの選び方

今年はサンマの当たり年のようで、大きなサンマが出回ってうれしい限りです。選び方としては、ウロコが銀色に輝き、目が黒く澄んでいて身がそり返っているものが新鮮です。一般的に大きくて太めのものほど脂がのっています。ポイントさえ掴めば、あなたも目利きの達人になれるでしょう。

次号は、「ブリ」を予定しております

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