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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

「ケガレ・ケ・ハレ」:喫茶・茶の湯のもう一つの道-12

「ワンピース」の価値観と人間関係―2

政治学者・姜尚中

 茶の湯の成り立ち・一坐建立は「ワンピース」の関係のように一人一人が果たすべき目標や専門とする役割をお互いが持ちながら信認関係(fiduciary relation:専門性や強い立場の人が弱い立場の人に義務を果たす)がお互いに成り立つ関係です。
 戦国乱世の人間関係が不信の時代の連歌師であったサビ茶の元祖・武野紹鷗は茶の心は「茶ノ湯ノ仕様・習ハ古キヲ専ニ用フベシ。作意ハ新シキヲ専トス」としています。
 古きに忠実に拘泥するだけでなく新たな意楽を求めたのです。
 今日では、わけのわからぬこととなって本来の意味など感じられないままに行われていることは少なくありません。
 わけや理由があったことも時が移り、時代を経ると、変化することが不安なのか形ばかりにこだわった形骸化が起こっています。

 今日のようにITや科学技術が発展し、経済や政治がグローバル化されると形だけが残った習俗的日常を過ごしていると、何かわからぬ変化・異質に不安となります。
 「ワンピース」のルフィはいかなる苦難や危機に直面してもブレルことなく海賊王を目指し、信認関係にある仲間は善悪を超えて命をかけて助け合うをキーとしています。
 ルフィは海賊でありお尋ね者ですから"現代の地球的権力"によるグローバル基準には反していますが、「信認関係にある仲間とは命を懸けて助け合う」ことはグローカル基準には適っているのです。
 ルフィ達のむぎわら一味は戦う敵方にもスパイ的な意味ではない信認関係を成り立たせている相手がいます。
 あたかも、IT企業のグーグルがハッカーと仲間になって仕事をしているようです。

 ビジョンやゴールがブレないことが信認関係を築き不安な不確実性に耐えられ、人を動かすと政治学者・姜尚中は指摘します。
 身近な社会のみならず、世界中に差別社会があり理不尽が横行していても、内閉化することなく、苦労の中に楽しみありとニッチな世界に希望を求め続けるのです。
 「明けない夜はない」と自分の思いを手繰り寄せるために自ら何かをやらなければ何も変わらないと一歩を踏み出し、あきらめずに行動を起こし続けることが大切なのです。
 姜尚中は、「病をかかえ、病の心があると見えてくるものがある」と悩む力が育ち「今ここでガンバル!」とコダワリ続けることによってリセット出来ると説いています。
 Off・beat(風変り)、異形人と言われようと意楽を成しとげるために不条理はこの世の常なるをとPortable Powerを身に着けよう!

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