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医学博士 山中 直樹(宗直)

「臨床喫茶学」:「信天翁喫茶入門益荒男が茶の道」(山中直樹著)の勧め-6

第53回グラミー賞に4人の日本人楽器奏者が受賞
-日本の成熟の道

 アメリカ音楽界で最高の音楽賞と言われるグラミー賞に4人の日本人演奏家が輝いた。
 ピアニストを目指して音楽学校のオーディションで「月の光」を演奏するケンジ少年が日本の平和な未成熟から成熟への道を示しているようだと前回話題としました。
 クラシック界の登竜門といわれる世界三大国際コンクールでの優勝者は、1937年以来のエリザベート王妃国際コンクールでは1980年にヴァイオリニスト・堀米ゆず子、1993年には戸田弥生が優勝しています。
 1958年以来のチャイコフスキー国際音楽コンクールでは1990年にヴァイオリニストでは諏訪内晶子、2007年に神尾真由子が優勝、1998年に声楽家の佐藤美枝子が、2002年にはピアニストの上原彩子が優勝。
 しかし、1927年以来のショパン国際ピアノコンクールでは日本人優勝者はまだで、第8回に今回グラミー賞に輝いたピアニスト・内田光子が2位となったのが最高でした。
 内田光子は最優秀楽器ソリスト演奏賞を受賞する演奏家としての成長を示したのです。
 つまり、未成熟だが成熟が期待できる若手登竜門の国際コンクールからアーティストとしての成熟した演奏家となったのです。

 チャイコフスキー国際コンクールの第1回優勝者となったアメリカの若者、ヴァン・クライバーンを祝って始まったヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで辻井伸行が2009年に優勝しました。
 クライバーンがチャイコフスキー国際コンクールで優勝したことはロシア(当時はソ連)に宇宙有人飛行で遅れをとったアメリカの勇気と自信を取り戻したのです。
 そして、クライバーン国際ピアノコンクールは未成熟な受賞者が成熟したピアニストになることを支援しているのです。

 内田光子以外の日本人グラミー賞受賞者はJポップ界で活動するロックバンドB'zのロックギタリスト・松本孝弘、ジャズやロックなどのコンテンポラリー界のピアニスト・上原ひろみ、日本の楽器たる琴奏者・松山夕貴子がニューエイジ、つまり、新しい時代の現代音楽の演奏家としての最優秀ニューエイジ・アルバム賞に輝いたのです。
 クラシック界の国際的な賞に輝いた若者は多かったのですが、今回のグラミー賞は新しい音楽の創成者や息吹く演奏者に与える賞である意味が大きいのです。
 つまり、ロックギターによるJポップ、ピアノによるコンテンポラリー、日本の楽器・琴奏者がニューエイジと日本の若者達のミュージシャンが新しい音楽界に響く演奏家として成熟していることが明らかとなったのです。

 日本人の多くが平和な音楽界で成熟することは、平和なノーベル賞の世界で、医学、生理学、化学、物理学、文学賞、経済学賞、平和賞で受賞者が次から次へと出現することと供に、日本の平和な成熟の道を示す大きな意味があります。
 4人の日本人グラミー賞の受賞は国際的な時代の変化を現わす日本的成熟による活躍が証明されつつあるのです。
 今だノーベル経済学賞が出ていないが、経済と政治の界で自信消失と不安におちいる日本人の成熟の道の証となります。

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