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インターネット公開文化講座

文化講座

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信天翁喫茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

臨床喫茶学:26

「ワンピース」の価値観と人間関係-8-

直心・一期一会の文化:2

 一期一会は直心の会話、心が交わされて成り立つと思います。
 不可逆の時空にあって一瞬の共利共生が生きている証でもあります。
 必ずしも一緒にいる時間が長いからと言って心が通ずるようになる理でもありません。
 喫茶・茶の湯は共食の文化です。

 「ワンピース」の麦わら一味・一匹狼集団の仲間は誰かが人を上下の支配関係で成り立ってはいません。
 一人一人が自主・自律的に参加して生きる目標や目的を持っており、命をかけて努力しながらも仲間として役割を持ち、相互信頼と共食するを楽しみ喜びとしています。
 お互いに心のままに言い争い、喧嘩をしていないことはないくらいの直心の集まりです。
 しかし、誰かの命が危うくなった時は何が何でも命をかけて助けようとする一点で仲間関係が成り立っています。

 太平洋戦争中に日系アメリカ人は砂漠などの荒れ果てた地域に強制収容されました。
 強制収容所は命の危険がある厳しい条件で監視されていました。
 日常生活品、材料、道具が不自由な厳しい生活環境にあって必要なものを自分で作っていたのです。
 枯木や根、砂漠の下に眠る貝殻、壊れた道具片などを集め、用いて道具を工夫して、日常に必要な家具、椅子、籠などを作っていたのです。
 少しでも生活環境を豊かにするために仏壇、そろばん、硯石、日本人形、おしゃれな装飾品、造花などまで創意工夫していたのです。
 戦争に加わった息子が死んで引き籠った父親が外に出るようにと心を込めたステッキを何本も作ってプレゼントしたりしました。
 命の危険がある厳しい環境下で威厳、誇り、気高さ、尊厳さを失わなかったのです。
 限界状況で優しさ、心の豊かさを持つ心配りをする「日本人」として生まれたことに私は限りない喜びを感じます。
 "作品"に内包され、表現された繊細さ、緻密さ、真摯さ、こだわり、不屈さがスバラシイ!
「The Art of Gaman」としてアメリカのスミソニアン美術館(2010年)で開催、東京芸大美術館で「尊厳の芸術展」として開催(2012年12月9日まで、その後全国4か所で開催されます)。
 軍隊による居丈高な日本人ではありません。
 国際社会が平和で優しい心の豊かさがある日本人を認めています。
 喫茶・茶の湯文化の心です。

信天翁喫茶ワールド
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