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インターネット公開文化講座

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カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

地下鉄のラインカラー

色は私たちの印象に強く残ります。文字や形は知性に訴えますが、色はストレートに感情に訴えてくれるので日常生活に大いに活用されています。例えば、トイレの男性(黒や青)と女性(赤やピンク)の区別や、蛇口の温水(赤)と冷水(青)の区別に見られる色表示は、色の持つイメージをうまく適合させており、色を見ただけで瞬時に区別することができます。 色による識別効果を高めるには、装飾として使うより適切な場所に適切な分量で用いることが重要です。

名古屋の地下鉄の色をご存じですか?路線によって銀の車体に入っている帯状の線の色が違いますね。地下鉄は現在、東山、名城、鶴舞、桜通、上飯田、名港の6路線。線の色は、それぞれ黄、紫、青、赤、ピンクです。名港線は名城線からの名称変更のため、名城線と同じ紫になっています。

地下鉄の色はラインカラーといい、車体のほか、路線図、各駅の案内表示に統一的に使われています。

最初に開通した東山線(昭和32年)は、当時、全身黄ずくめの車両から、親しみを込めて「黄電(きいでん)」と呼ばれたそうです。暗い地下でも明るく映える色としてウィンザーイエロー(菜種色)が選ばれたのは名古屋を代表する画家、故杉本健吉氏によるものだそうです。東山線は今年、開通から半世紀。東京、大阪に次ぐ悲願の地下鉄は、その車両の色まで一流画家に選考を依頼した"こだわりの逸品"だったのです。東山線のラインカラーは、その時の愛称がそのまま引き継がれています。東山線開通の8年後(昭和40年)に市役所-栄町(当時)間に開通した名城線は、当初は東山線と同じ全身黄色の車両を使用し、区別するために紫の線を入れていました。紫(正確には青紫)は色相環の中で黄の反対に位置する色です。このような関係の色を補色と言い、互いの色を引き立てる効果があります。今の名城線のラインカラーも当時の色を採用しています。ちなみに、その後に開通した鶴舞線は、名鉄と乗り入れるため名鉄のラインカラーと区別できる青、その後に開通した桜通線はもう一方の赤を採用しています。上飯田線のピンクは、沿線(名鉄小牧線)にある桃花台ニュータウンのイメージから選ばれたと思われます。ちなみに、相互乗り入れしている名鉄小牧線の車両も、赤とピンクの帯が仲良く並んでいます。

色の持つイメージを活用し、誰もが区別しやすい色を選んで地下鉄のラインカラーは決められているのです。私たちが快適で安全な生活を送ることができるのは色の効用によるものだと言っても過言ではないでしょう。


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名古屋市交通局路線図 (PDFダウンロード)
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