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インターネット公開文化講座

文化講座

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カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

子供の成長過程と色彩

 ベビーピンク、ベビーブルーという色名があるように赤ちゃんの産着は今も昔も女の子はピンク、男の子は水色と決まっています。原色調の色や暗い色、黒や灰色などの産着は作っても売れません。パステル調の色には「柔らかい」「可愛い」「愛しい」「優しい」というイメージがあります。柔らかい赤ちゃんは同じようなイメージの色で包んであげるのがより自然に可愛く感じると思いませんか?白、黒、グレーといったモノトーンと呼ばれる色が好きな人もお母さんになったら赤ちゃんと接する時は優しい色を身につけるよう心掛けてください。特に黒は最も暗く、威圧感のある色ですので授乳期の赤ちゃんにとっては辛い色です。おっぱいが大好きな赤ちゃんは肌色に似た明るく優しい色に包まれていると安心するようです。また、真っ白な殺風景な部屋で、色の刺激を全く与えないと脳の成長が遅れてしまいます。眼が捉えた情報は眼球内の網膜で電気信号に変わり、視神経乳頭から大脳へと伝わり色を感じるわけですから、大脳の80%が完成する3歳まではたくさん色の刺激を与えてください。小さい子供は明るく鮮やかで綺麗な色が大好きです。だからカラフルな玩具が大好きです。知能の発達を促すよう部屋の配色に気を配ったり、美しい自然を見せることも大切です。
 幼児期は性差関係なく、目立つ色や見やすい色を好みます。鮮やかで明るい赤と黄色は大人気です。小学生になりますと男女差を確認するような色の好みが見られます。女の子は赤やピンク、淡いロマンチックな色を好みやすく、男の子は青や緑、紺、黒、シルバーといったハードな感じの色を好む傾向にあります。最近はランドセルの色も様々ですが、圧倒的に赤と黒の売れ行きが良いのは昔から定着した色だからなのでしょう。
 サッカーや野球などスポーツに夢中になる男の子には「強い」イメージの色で発奮効果ももたらしてあげてください。「赤」には強いイメージがありますが、同時に女の子の色というイメージもあります。赤い靴下には足が強く見える効果がありますのでアクセント程度に部分的に使ったり、「黒」と配色することでより強いイメージが演出できます。反対に女の子は「赤」と「白」の配色でより女の子らしくなります。綺麗な色で自分を飾ることの快感を覚えるのもこの頃です。私も母親の化粧箱や宝石箱をこっそり開けて悪戯していました。
 受験を考えるご家庭では勉強に集中できるよう子供部屋の色を整理する必要があります。色が乱雑だったり原色調の色が目に付くと気が散って勉強する気分になりません。カーテンやカーペット、ベッドカバーなどを統一感のある配色にしてみてください。落ち着いた色調の青や緑は精神を安定させ、ほどよい緊張感が集中力を保ちます。また、ベージュは刺激のない色なので邪魔になりません。男女問わず、これらの色は勉強部屋にお勧めの色です。照明も暖かい黄みの光よりも青みを感じる蛍光灯の方が緊張感をもたらします。
 中学生になりますと、勉強が中心の生活になりますので制服があるのかもしれませんね。小学生のような色とりどりのファッションで学校に行ったら勉強する気もおこらなくなってしまいます。制服のない学校でも不思議と黒、紺、グレー、ベージュといった落ち着いた色の服を好んで着る子が多いようです。「色気」という言葉があるように「恋」をすると明るい色や鮮やかな色を使うようになりますのですぐにわかります。色の好みは成長するにつれ、男女差よりも個人差が大きくなってきます。色彩感覚を培う時期としては、18歳位までが勝負といわれています。そうなると毎日同じ色の制服を着て通学することは色彩感覚を磨き、情緒豊かにといった教育は難しいように感じます。日々の生活の中で子供が何気なく選んだ色の意味を考えたり、たくさんの色を使えるように導いてあげたいものですね。
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