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インターネット公開文化講座

文化講座

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カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

色の共感覚

 みなさんは、「梅干」という言葉を聞くと「すっぱい」と感じてしまうことはありませんか?言葉を聞いたらそれに伴う聴覚が働き、同時に味覚も働くといったようにひとつの刺激によって、それに対応する感覚とそれ以外の感覚が同時に生じる現象を心理学では「共感覚」とよんでいます。前回の「色聴」という現象もこの「共感覚」の仲間です。味覚によって色を感じること「色味」といいます。甘い、辛い、酸っぱい、苦い、味の好みは十人十色ですが、1924年、ハンス・へニングが味覚四面体といったような色立体に相当する味立体を考案しています。味覚と色の関係は、飲食料品のパッケージデザインに大いに活かされています。新しい商品が店頭に並ぶと、わたしたちは試食をせず、その商品の味を想像して買うわけですから、パッケージデザインが売れ行きの大きな鍵を握っているといってもいいでしょう。
味覚四面体
味覚四面体
 また、嗅覚によって色を感じることを「色香」といいます。一般によい匂いと感じるのは、花のわずかな香りやフルーツの甘酸っぱい香りを感じさせるパステル調の色です。また森林の香りにはリラクゼーション効果があるといわれています。よい香りも強すぎると不快に感じます。色もあまりに強烈でドギツイと下品でいやらしくなるのに似ています。わたしたちに快適さを連想させる香りは、「適度な、ほどよい刺激」ということです。香りと色を効果的に使うことが望まれる商品には、香水、化粧品、石鹸、入浴剤などがあげられます。これらは商品自体の色はもちろん、パッケージデザインにも色を対応させていくことが望まれます。へニングは嗅覚三角柱(五面体)というものも考案しています。
嗅覚三角柱
嗅覚三角柱
 色はものは言わないけれど、時として言葉以上に強くメッセージを伝えてきます。わたしたちは、いつも色を聞いて、嗅いで、食べて、触って生活しているのです。
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