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インターネット公開文化講座

文化講座

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カラーコーディネーターに聞く色の活用術

栄中日文化センター講師
竹内 ゆい子

自然界の色

 花の色が美しいわけを知っていますか?花が木や草と違って美しい色で咲くのは、その色で昆虫や鳥をおびき寄せ、受粉の手伝いをさせる戦略なのです。犬や猫、牛、馬などの哺乳類は色を識別する能力はありませんが、昆虫や鳥は人間と同じように色覚があります。
 昆虫や鳥にとって見やすい色でなければならないために花は美しく咲くのです。このことは人間界とよく似ていませんか?女性のメイクやネイル、ヘアカラー、洋服は男をおびき寄せる武器といえます。女性を花に、男性を蝶にたとえると美しい女性に惹かれる男性の心理も理解できます。
 動物は人間と違った色の特徴を持っています。ライオンや孔雀に代表されるように、動物の世界では雄の方が派手で美しいのです。これは、雌が結婚相手を選ぶときに美しい雄の子孫を残そうとする本能を持っているからだそうです。また、動物の雌が雄と比べて地味なのは、他の動物のターゲットとなりやすい子供を育てたり、卵を温める必要があるからで、派手な色や姿では敵に発見されやすくなるからだといわれています。弱肉強食の自然界では天敵から身を守るために、体の色を周囲の色に同化させてカムフラージュする動物や昆虫がいます。このような色を隠蔽色といい、隠蔽色を持つ代表はカメレオンで、緑の草の上では緑に、土の上では褐色に色を変えることは良く知られています。カメレオンが色を変えるのは、光の強弱によって皮膚の下にある色素細胞を変化させることができるからだそうですが、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。人間が動物の隠蔽色を真似た例に軍隊の迷彩服があります。
反対に、目立つ色で存在をアピールし、相手に警戒心を起こさせて近づけないようにして身を守る動物もいます。これは威嚇色と呼ばれています。蝶の羽に見えられる目玉模様やテントウ虫の赤に黒の水玉模様は、奇抜でいかにも強そうな感じがしませんか?反対に、猛毒を持っているような動物はあざやかな色で相手を威嚇します。熱帯地方に多く棲息している毒ヘビや毒グモは、赤とか黄などの派手な色をしていたり、ひときわ目を引く縞や模様が入っている場合もあります。これは、毒を持つ動物ほど、他の動物との争いを避けようとしているからではないかと思われます。
 このように自然界では多くの昆虫や動物が色を見ることができるため、色はさまざまな信号や合図として使われています。
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