文化講座
ツタンカーメン王のジュエリーの魅力
前回はエジプトの宗教であるオシリス神と日本の仏教の阿弥陀仏ならびに閻魔大王との類似性、すなはちともに冥界の支配者であること、また死者を生前の行いによって、地獄と極楽の世界への振り分けをする裁判長でもあることを述べました。更にエジプトでは日の出る東側を生者の国として人々は生活し、日の沈む西側を死の国としてピラミッドや王族の墓である王家の谷、一般の墓や神殿、宗教施設が築かれました。ですから人々は死ぬと船に乗せられ東側から西側にナイル川を渡ったのです。まさにナイル川こそ三途の川そのものであり、西側に閻魔大王ならぬオシリス神が死者を待っていて、死者を裁くのです。死者の心臓を計り、善悪により地獄行きか極楽行きかを決めたのです。この他にも仏教美術とエジプトには多くの類似点があり、興味は尽きません。
さて今回は日本で最も有名なフアラオであるツタンカーメン王のジュエリーの魅力についてお話いたします。このジュエリーは厳重な警備で有名なカイロのエジプト博物館の中でも、さらに厳重な特別室でまた特別なケースに収められている「黄金のマスク」と共に展示されています。もちろん写真撮影厳禁で、常時数名の監視員に囲ま れています。
1.ツタンカーメン王の墓のある王家の谷
私は今までロンドンにたびたび旅行して、ビクトリア&アルバート美術館ですばらしい19世紀のビクトリア時代の最高レベルのジュエリーの数々を観てきました。しかしエジプトのツタンカーメン王のジュエリーはそれとはまた異次元の美しさ、威厳と崇高なる美しさをもつものであり、その美に対して深い崇敬の念を抱くものです。私は感動をもってこれらのジュエリーを観ました。デザインも素材も美しさもまったく違う美的世界を持った作品の数々であると思いました。これがそうですとみなさんに写真をお見せしたいのですが、映像著作権が厳しく、しかもこれらジュエリーの写真集がほとんど発売されてないようなのです。すなはちエジプトという国は観光立国ですから、ツタンカーメン王のように超有名なフアラオの黄金のマスクや特に今回のジュエリーのように世界の宝物は観光に来て観てくださいということなのでしょうか?事実こんなにたくさんのジュエリーが副葬されていたなんて...と思います。是非とも一度エジプトを旅行して、ツタンカーメン王のジュエリーを、さらにほかのすばらしい遺品としての美術品を直接ご自身の眼で確かめてください...としか言えないのです。 なお写真1は王家の谷を撮影したものです。正面のアル・クルンと呼ばれる山はピラミッド型をしてます。ピラミッドは元々妊婦の大きなお腹を意味し、谷は子宮への道筋を意味します。王家の墓は母なる母体の中に向かって穿たれており、それはフアラオたちの新たなる再生復活への第一歩な のです。
写真2はツタンカーメン王の墳墓の中への案内表示です。
2.王家の谷にあるツタンカーメン王の入り口の案内表示