文化講座
イギリス銀器のホールマークの見方
◎学習のポイント
1 正規ルートで作られたイギリスの銀器には刻印が打たれている。
2 刻印(シルバー・ホールマーク)は取引所や取引年などを示している。
銀器の魅力
イギリスを旅すると、銀製品が非常に多いことに気付くはずです。アンティークショップには必ず銀器があります。シルバーそのものの持つ風合い、地味でありながら落ち着いた豪華さというものを感じさせるその素材に魅力を感じる方々が多いと思います。
イギリス人は歴史と伝統を重んじる国民として有名ですが、分類や仕分が好きな国民でもあると思います。植物学や動物学、文化人類学や切手やコインのコレクションにおいて、精密に分類、区分けを行います。そういう分類好きなイギリス人の性格が銀製品にも表れています。
大英帝国が定めた正規ルートの銀製品にはシルバーホールマークが打たれています。この刻印を調べればどこの取引所を経て、何年に流通したか、さらに場合によっては取り扱った業者の会社名まで分かるのです。ですからこの刻印を勉強することで各時代の様式や技法を研究することが出来るのです。
刻印にはイギリス(大英帝国)を意味するライオンの全体像のマークと銀製品の取引所を意味する街のマーク、ロンドンの場合はライオンの顔が、バーミンガムなら錨のマークが刻印されます。それに枠に入ったアルファベットの文字が一つ打たれます。この枠の形と文字形も判別の重要なポイントになります。少しの違いも見逃さない心構えを持ちましょう。そのためにはルーペが必要になります。
このホールマークについてはイギリスで詳細な本が出版されています。
長年の使用のため、枠の中の刻印が擦り切れていたりして、見にくいときがあります。また小文字であったり、さらにゴチックであったりヒゲ文字であったりさまざまです。
ではここで、実際のホールマークを見てみましょう。写真A、Bはアンティークパイプに付けられた銀器の金具で、ホールマークが刻印されてます。表は1875年以降のバーミンガムのホールマーク・リストで、枠に囲まれたアルファベットと、取引年が対応してます。このリストを使ってAとBの製品の取引年(製作年)を判別してください。同じアルファベットでも枠の種類によって取引年が違うので注意してください。答がわかったら下の正解と照合してみましょう。
写真Bの中に「W.A」の刻印がありますが、これは扱った業者の刻印ですので、 これは無視してください
正解:A=1910年 B=1896年