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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

アグリジェントの遺跡地域 (Area archeologica di Agrigento) 1997年登録


スケッチ画 樋口佳代

 パレルモから南130km、 列車で約2時間行くと地中海にでます。
 アグリジェントの駅から郊外にある「神殿の谷」(Ville dei templi)にはバスで10分ぐらいで行くことが出来ます。町の南に位置する谷に沿って広がる古代遺跡の都市(アクロポリス)は、紀元前6世紀からギリシャの植民地として古代地中海世界の重要な都市の一つでした。古代ギリシャの詩人ピンダロス(Pindaro 紀元前6-5世紀)はアグリジェントを「人の造りし最も美しき都市」と賞賛しました。
 「神殿の谷」へ行く途中にサン・ニコーラ教会(Chiesa di San Nicola)がありその隣に考古学博物館(Museo Archeologico Regionale)があります。この辺りはギリシャ時代からローマ時代にかけても神殿や礼拝堂が建っていた聖域でもありました。歩いていると初期キリスト教時代の墓廟の遺跡も点在しています。またローマ時代に造られた円形劇場跡もあります。
 考古学博物館には、「神殿の谷」から発掘された出土品が展示されています。注目して欲しいのがオリュンポスのゼウス神殿(Tempio di Giove Olimpico)を飾っていた高さ7.61mの「テラモン」(Teramone巨大な男像柱)です。神殿の復元模型(縮小サイズ)ではテラモンがどのように神殿の梁を支えていたかが分かりそのスケールの大きさに驚きます。しかしこの神殿も、紀元前406年、シチリアに攻め込んできたカルタゴ軍により炎上、更に地震で崩壊し瓦礫の山となってしまいました。神殿跡に横たわっているテラモンはレプリカです。
【ゼウス神殿の規模】 横56m × 縦113m 高さ33m 柱の本数 7 ×14

 現存する最も保存状態のよい三大古代ギリシャ神殿は、アテネにあるテセイオン(Theseion)、 ナポリ近郊のパエストゥムのヘラ神殿(Heraion)、そしてここにアグリジェントを代表するコンコルディア神殿(Tempio della Concordia)があります。コンコルディアは、「平和、調和」を意味するイタリア語です。ローマ神話の平和・調和の女神コンコルディアに捧げられたことになっていますが、紀元前5世紀半ば頃ディオスクロイ神に捧げられ建設されたのが真実です。ドーリア式建築の中でも最も完成度の高い美しい神殿です。この神殿は、4段からなる基壇の上に建っており、正面六柱の周柱式神殿のファサードを持ち、外周の円柱の34本にはもともと鮮やかな色の漆喰が塗られていたそうです。
【コンコルディア神殿の規模】 横17m × 縦39m 高さ 14m 柱の本数 6 × 13

 丘の突端に孤立するかのように建てられているユーノー・ラチニア神殿(Tempio di Giunone Lacinia)(スケッチ画)は、紀元前5世紀中頃に建てられました。ヘラ神殿とかジュノーネ神殿とか呼ばれているもので、ヘラ(Hera)は、ギリシャ神話に出てくる最高位の女神の名前です。ローマ神話ではユーノー(Juno)にあたります。イタリア語ではジュノーネ(Giunone)と言います。
 4段の基盤の上に建つ正面六柱の周柱式・ドーリア様式の神殿で、少し後に建てられたコンコルディア神殿と大変姿が似ていたようです。この神殿もカルタゴ軍の侵攻にあって炎上し、中世に起きた地震のため全壊してしまいました。女神ヘラは、ゼウスの浮気に悩まされた正妻であり嫉妬深い女神として知られています。女神ヘラは、婚姻と母性の象徴として崇拝されました。当時はこの神殿は婚姻などの儀式に使われていたようです。ヨーロッパではジューンブライド(6月の花嫁)は生涯幸せな結婚生活が出来るという言い伝えがあります。これの由来は6月すなわちJuneは、結婚を司る女神ヘラJunoから来ているためこの女神の月に結婚すると、女神ヘラの加護を受けて生涯幸せになれるという伝承です。今見る神殿は、凝灰岩がむき出しになって地味に見えますが、当時は基盤が漆喰で白く塗られていて、神殿は赤や黄色や青で塗られ大変派手な彩色神殿であったようです。
【ユーノー・ラチニア神殿の規模】 横17m × 縦38m 高さ15m 柱の本数 6×13

 アグリジェントは、「アーモンドの里」としてもよく知られています。2月の初めには「アーモンドの花祭り(Sagra del Mandorlo in fiore)」が行われます。神殿の谷にも沢山のアーモンドの木がありますので見落とさないようにして下さい。またバールに行ったら、是非ともアーモンドのジュース(latte di mandorla)を飲んで喉を潤して下さい。

■アグリジェントの「神殿の谷」(Parco Valle dei templi) http://www.parcodeitempli.net/
http://www.lavalledeitempli.it/

■アグリジェントへのアクセス パレルモからバス又は鉄道で約2時間
カターニア空港からもバスで約2時間。
バスの時間割と料金について: http://www.saistrasporti.it/

新シリーズ
 ◆誰でもわかるイタリア語 第9回

 イタリア語の動詞を辞書で引くと、動詞の横に他動詞又は自動詞と書かれています。
 「他動詞」は、日本語で「...を」という目的語をとる動詞です。例えば「ピッツァを食べる(mangiare la pizza)」とか「新聞を読む(leggere il giornale)」というように動詞が直接「...を」という目的語(直接目的語)をとる動詞を言います。
 それに対して「自動詞」は、目的語をとらなくても動詞だけでその働きとか状態などを表す動詞を言います。例えば「よく寝る(dormire bene)」とか「家にいる(rimanere a casa)」というように動詞には目的語の必要はなく、動詞自身で意味が成り立つ動詞を言います。

【他動詞の例文】

1. Io chiudo la porta e voi aprite le finestre.
イーオ キュード ラ ポルタ エ ヴォイ アプリーテ レ フィネストゥレ
私はドアーを閉めるので、君たちは窓を開けてください。
2. Carlo guarda il film alla TV.
カルロ グアルダ イル フィルム アルラ ティーヴ
カルロはテレビで映画を見ます。
3. Maria studia il giapponese invece Lucia impara il francese.
マリーア ストゥーディア イル ジャッポネーゼ インヴェーチェ ルチーア インパラ イル フランチェーゼ
マリアは日本語を勉強しています。一方ルチアはフランス語を学んでいます。

【自動詞の例文】

1. Noi andiamo spesso al cinema.
ノーイ アンディアーモ スペッソ アル チネマ
私たちはよく映画を見に行きます。
2. Andrea parte per il Giappone.
アンドゥレア パルテ ペル イル ジャッポーネ
アンドレーアさんは日本へ出発します。
3. Mio nonno cammina lento.
ミオ ノンノ カッミーナ レント
私の祖父はゆっくりと歩きます。

■「...(A)することを(B) ...する」 Aの動詞 + Bの動詞 と言うように2つの動詞を一緒に使うことがあると思います。Aの動詞は人称変化しますが、Bの動詞は原形(不定詞)のままで変化しません。しかし2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れます。前置詞は前の動詞Aによって決められています。辞書を引くと《a+不定詞(inf.) ...することを》または《di+不定詞(inf.)...することを》と書かれています。

a + 動詞の原形の場合] di + 動詞の原形の場合]
cominciare a ~(始める) finire di ~(終える)
continuare a ~(続ける) cercare di ~(努める・努力する)
imparare a ~(習う) pensare di ~(思う)
provare a ~(試す) chiedere di ~(求める・要求する)
riuscire a ~(成功する・できる) permettere di ~(許す)
iniziare a ~(始める・開始する) pregare di ~(頼む・願う)

【例文】

1. Cominciamo a mangiare alle 7.
コミンチアーモ ア マンジャーレ アルレ セッテ
私たちは7時に食べ始めます。
2. Tutti finiscono di lavorare alle 5.
トゥッティ フィニスコノ ディ ラヴォラーレ アルレ チンクエ
みんなは5時に仕事をし終えます。
3. Penso di leggere quel libro.
ペンソ ディ レッジェレ クエル リーブロ
あの本を読もうと思っています。
4. I tuoi genitori non ti permettono di viaggiare all'estero.
イ トゥオイ ジェニトーリ ノン ティ ペルメットノ ディ ヴィアッジャーレ アルレーステロ
君の両親は海外旅行に行くことを認めない。
5. Imparo a guidare la macchina.
インパーロ ア グイダーレ ラ マッキナ
僕は車の運転を学びます。
6. Mi chiedono di presentare il mio passaporto.
ミ キエードノ ディ プレゼンターレ イル ミオ パッサポルト
彼らは私にパスポートの提出を求めています。
7. Fino a quando continuate a bere?
フィーノ ア クアンド コンティヌアーテ ア ベーレ
いつまで飲み続けるのですか?

単語帳

「誰でもわかるイタリア語」第5回では前置詞の基本的な使い方を学習しました。今回は前置詞を使った成句的表現をまとめてみました。ここでは日常会話などによく使うものを選びました。

A. 前置詞 a の場合

  1. a volte[ア ヴォルテ](時々)/ a certe volte[ア チェルテ ヴォルテ](時に)
    • A volte andiamo in treno![ア ヴォルテ アンディアーモ イン トゥレーノ](時々列車で行こう!)
  2. a piedi[ア ピエーディ](歩いて)
    • Questa volta andiamo a piedi![クエスタ ヴォルタ アンディアーモ ア ピエーディ](今回は歩いて行こう!)
  3. a prezzo fisso[ア プレッツォ フィッソ](定価で)/ a buon prezzo(mercato)[ア ブオン プレッツォ メルカート](安く)
    • Si vendono a prezzo fisso in questo negozio.[シ ヴェンドノ ア プレッツォ フィッソ イン クエスト ネゴーツィオ](この店では定価で売られている)
  4. a poco a poco[ア ポーコ ア ポーコ](少しずつ)
    • A poco a poco fa progressi al pianoforte.[ア ポーコ ア ポーコ ファ プログレッシ アル ピアノフォルテ](少しずつピアノが上達している)
  5. alla fine[アルラ フィーネ](結局、ついに)
    • Alla fine non ho trovato la casa del mio amico.[アルラ フィーネ ノン ホ トゥロヴァート ラ カーザ デル ミオ アミーコ](結局は友達の家が見つからなかった)
  6. ad ogni modo[アドゥ オーニ モード](いずれにせよ)
    • Ad ogni modo per essere più sicuro controllo l'orario.[アドゥ オーニ モード ペル エッセレ ピュ シクーロ コントゥローロ ロラリオ](とにかく念のため、時刻を確かめます)
  7. a proposito[ア プロポージト](ところで)
    • A proposito avete Tiramisú?[ア プロポージト アヴェーテ ティラミス](ところでティラミスありますか?)

B.前置詞 di の場合

  1. di solito[ディ ソーリト](普通は)
    • Di solito prendo il caffè.[ディ ソーリト プレンド イル カッフェ](普通はコーヒーを飲みます)
  2. di nuovo[ディ ヌオーヴォ](新たに)
    • Compro il vestito di nuovo.[コンプロ イル ヴェスティート ディ ヌオーヴォ](新たに服を買います)
  3. di cuore[ディ クオーレ](心から)
    • La ringrazio di cuore![ラ リングラーツィオ ディ クオーレ](あなたに心から感謝します)
  4. di buon(primo) mattino[ディ ブオン プリーモ マッティーノ](朝早く)
    • Maria parte per il Giappone di buon mattino.[マリーア パルテ ペル イル ジャッポーネ ディ ブオン マッティーノ](マリアは日本に朝早く発ちます)
  5. d'improvviso[ディンプロッヴィーゾ](突然)
    • Il tempo cambia d'improvviso.[イル テンポ カンビア ディンプロッヴィーゾ](天気は突然変わる)
  6. D'accordo![ダッコルド](了解・賛成)
    • D'accordo, ti aspetto qui alle sette.[ダッコルド ティ アスペット クイ アルレ セッテ](わかった、ここで7時に待っているよ)
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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