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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その7
サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂(Basilica di San Giovanni in Laterano) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 チェーリオの丘を越えた城門の脇に、サン・ピエトロ大聖堂に次ぐサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂があります。隣接するラテラーノ宮殿は歴代のローマ教皇の住居であったところでした。14世紀に教皇がアヴィニョン(南フランス)から戻るとヴァチカンに居を移すことになります。
 ラテラーノ地区は、もともとローマ時代富豪の一族ラテラーノ家が住んでいたところからこの地名が付けられました。しかし皇帝ネロに対する反乱の容疑で捕らえられ、邸宅と財産を没収されてしまいました。その後は皇帝の地所となり、皇帝付属の騎馬隊の兵舎などが作られました。16世紀この近くから皇帝マルクス・アウレリウスの騎馬像が発掘され、時の教皇パウルス3世の命によりカンピドーリオの広場に移されました。
 サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂は、キリスト教が公認(313年ミラノの勅令)されてから最初に建設された教会です。コスタンティヌス帝はアフリカ出身の教皇ミルティアデスにこの教会と土地を寄進しました。
また1929年イタリア共和国のムッソリーニ首相との間で結ばれたラテラーノ条約は、ローマ教皇を君主とする独立国であるバチカン市国が誕生したことでも知られています。ラテラーノという言葉は歴史の中に刻まれています。
 この大聖堂は、何度も修復の手が加わったり、火災の後で再建されたりと言うことが繰り返されてきました。現在の建物は17世紀に大規模な改修工事が行われ、ボッロミーニなどバロックの巨匠たちによって改築されたものです。
 ファサードに向かって一番右側にあるのが「聖なる門」(Porta Santa)で、25年おきの聖年にだけ開けられ、そこを通れば贖罪になるという扉です。
 堂内は4本の柱列による5廊式で、両側にはボッロミーニジャコモ・デッラ・ポルタなどバロック芸術の巨匠たちによる7つの礼拝堂が並んでいます。規則正しいアーチで身廊と側廊を分け、アーチとアーチの間に壁龕(nicchia)を設けて、そこには十二使徒や聖人の彫刻が配置されています。また歴代の教皇の家紋が天井を飾っています。
 身廊の奥には、背の高い天蓋があり、そこには聖ペテロ(イタリア語ではピエトロ)と聖パウロの聖遺物(頭蓋骨の一部)が納められています。身廊のゴズマーティ装飾の床は本当に美しいです。
 左翼廊から修道院の回廊つき中庭(Chiostro)にでます。中庭を囲む柱が独特の形状をしており、連続アーチをささえる2本対の小円柱がねじり柱で装飾されており素晴らしいです。ロマネスク時代を代表する建造物の一つです。

■オベリスク(Obelisco Lateranennse)
 大聖堂前の広場には、ローマで最も高いオベリスクが聳え立っています。高さはなんと47m(基壇を含む)もあります。このオベリスクは、紀元前15世紀にトゥトメス3世がテーベ(エジプト)のアメン神殿(Tempio di Ammone)前に建てたものです。357年、コスタンティヌス2世によりローマに運ばれチルコ・マッシモ競技場に建てられました。3つに壊れたものが1587年に発見され、翌年、教皇シクストゥス5世は建築家ドメニコ・フォンターナに修理を命じ、この広場に移築されました。桃色花崗岩のオベリスク一面に象形文字で彫られており、最も保存状態の良いオベリスクの一つです。

■聖なる階段(La Scala Santa)
 教会前の広場の右手に「聖なる階段」のある建物があります。この階段は、エルサレムのローマ総督ポンテオ・ピラトの官邸にあった階段です。キリストが死刑の判決を受けて下りたとされる28段の階段です。今も聖金曜日には、信者たちが苦行の一つとして、この階段に接吻し、祈りながら膝でにじり登っていく姿が見られます。この階段の先には、教皇の私的な礼拝堂であるサン・ロレンツォ礼拝堂、別名サンクタ・サンクトルム(Cappella del Sancta Sanctorum)に通じます。この礼拝堂には多くの貴重な聖遺物が納められており、聖ルカが天使の助けを借りて描いたと伝えられている「銀箔のキリストの聖顔像」は必見。
 この聖なる階段は、コンスタンティヌス帝の母である聖ヘレナがエルサレムからローマにもたらしたものと伝えられています。現在の礼拝堂は、教皇シクストゥス5世(在位1585-1590)によって宮殿から離れたところ建てられました。

■サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂のガイドと写真
http://www.vatican.va/various/basiliche/san_giovanni/index_it.htm
http://www.vatican.va/various/basiliche/san_giovanni/vr_tour/index-it.html

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第23回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

 前回、学習した未来形は、これから起こるであろう事柄について表現したり、事柄を推測したり、想像したりするときに使う時制でした。
 今回は、その未来を軸にして、その時点でもうすでに完了している動作や状態を表すには、未来完了(または先立未来・前未来)という時制で表します。
dopo che(...してから・...の後で)、appena(...するやいなや)、quando(...した時)などの語句と一緒に用いられることが多い。

■未来完了形の用法

a) 未来の事柄以前に起きたものと推測・想像される事柄を表す

例文:

Dopo che avrò finito gli esami, farò un viaggio.
ドーポ ケ アヴロ フィニート リ エザーミ ファロ ウン ヴィアッジョ
試験が終わってから、旅行をする予定です。
Appena sarò tornato a casa, telefonerò a Carla.
アッペナ サロ トルナート ア カーザ テレフォネロ ア カルラ
家に戻ったら、カルラに電話するつもりです。
Quando avrò dormito un po', starò meglio.
クアンド アヴロ ドルミート ウン ポ スタロ メーリオ
少し寝たら、具合が良くなるでしょう。

b) 過去のことへの推測や想像、不確かなことへの断言を避ける表現。断定的でなく語調を緩和して和らかに表現する。「...したでしょう」とか「...したのかもしれない」と訳す。

例文:

A quest'ora Maria sarà arrivata a Roma.
ア クエストーラ マリーア サラ アッリヴァータ ア ローマ
この時間にはマリアはローマに着いたでしょう。
Saranno state le 5 quando sono uscito di casa.
サランノ スターテ レ チンクエ クアンド ソーノ ウシート ディ カーザ
家を出たのは5時頃だったでしょう。

■未来完了の作り方:essereavereの未来形の変化は、前回の未来形の活用表を参照して下さい。

avere
 又は
essere
 の未来形
過去分詞

未来完了形(先立未来・前未来)を使った例文

1. Noi andremo in vacanza appena la scuola sarà finita.
ノイ アンドゥレーモ イン ヴァカンツァ アッペナ ラ スクオーラ サラ フィニータ
学校が終わるとすぐにヴァカンス に行く予定です。
2. Dopo che avrò letto questo libro, comincerò subito l'altro.
ドーポ ケ アヴロ レット クエスト リーブロ コミンチェロ スビト ラルトゥロ
この本を読んでから、すぐに他のを読み始めるでしょう。
3. Quando ti sveglierai, io avrò già preparato il caffè.
クアンド ティ ズヴェリエライ イーオ アヴロ ジャ プレパラート イル カッフェ
君が起きたときには、すでにコーヒーが用意されているでしょう。
4. Io restituirò il libro a Maria quando avrò finito di leggerlo.
イーオ レスティトゥイロ イル リーブロ ア マリーア クアンド アヴロ フィニート ディ レッジェルロ
本を読んだとき、マリアにそれを返すつもりです。
5. Sai quanto ho pagato questo orologio? L'avrò pagato sulle mille euro.
サイ クアント パガート クエスト オロロージオ ラヴロ パガート スルレ ミルレ エウロ
この時計にいくら払ったと思う? 千ユーロ以上払ったかな?
6. Dove saranno andati i nostri amici?
ドーヴェ サランノ アンダーティ イ ノストゥリ アミーチ
我々の友達たちはどこへ行ったんだろう?
7. Perché la signora non è venuta? Sarà andata al cinema.
ペルケ ラ シニョーラ ノンネ ヴェヌータ サラ アンダータ アル チネマ
奥さんは何故来なかったのかしら? 映画でも見に行ったんでしょう。
8. Con quel che ho detto ci sarà rimasta male?
コン クエル ケ オ デット チ サラ リマスタ マーレ
私があんなことを言ってしまって、彼女の気分を悪くしたかしら?
9. Mi fa male la pancia. Probabilmente avrò mangiato troppo.
ミ ファ マーレ ラ パンチア プロバビルメンテ アヴロ マンジャート トゥロッポ
お腹が痛い。多分食べ過ぎたかもしれない。
10. A casa di Franco non risponde nessuno. Forse sarà uscito.
ア カーザ ディ フランコ ノン リスポンデ ネッスーノ フォルセ サラ ウシート
フランコの家は誰も返事がありません。多分出掛けたのでしょう。

単語帳

自己紹介が終わると、次に「どちらのご出身ですか?」または「どこからいらしたのですか?」と言うように相手の出身地や故郷についての話題になることが多いです。今回は、相手の出身についての尋ね方と、それに対する答え方についてまとめて見ました。

出身を表すには、一般的にはessere + di + 都市名」で表します。またはessere + 都市を表す形容詞」で表すこともあります。出身を表す前置詞diがくることに注意して下さい。

Di dove è Lei?
ご出身はどちらですか?

Di dove sei?
君の出身はどこですか?(親しい間柄の会話)

Sono di Roma.
私はローマの出身です。

Sono romano/a.
私はローマの人です。

Sono di Tokyo, sono giapponese.
私は東京の出身で日本人です。

町や国を表すことば 国籍や市民を表すことば
ローマ Roma romano
ミラノ Milano milanese
ナポリ Napoli napoletano
ヴェネツィア Venezia veneziano
フィレンツェ Firenze fiorentino
トリノ Torino torinese
ジェノヴァ Genva genovese
シエーナ Siena senese
シチリア Sicilia sciciliano
ボローニャ Bologna bolognese
ペルージャ Perugia perugino
イタリア Italia italiano
日本 Giappone giapponese
アメリカ America americano
イギリス Inghilterra inglese
フランス Francia francese
ドイツ Germania tedesco
スペイン Spagna spagnolo
ロシア Russia russo
中国 Cina cinese

他に、動詞venire(来る)を使って尋ねることが出来ます。今度は場所を表す前置詞daがきます。

Da dove viene Lei?
どちらから来られたのですか?

Da dove vieni?
どこから来たのですか?(親しい間柄の会話)

Vengo da Roma.
私はローマから来ました。

Vengo dal Giappone.
日本から来ました。

また住まいを聞かれることもあります。動詞abitare(住んでいる)やvivere(暮らしている)を使って表します。

Da che parte abita Lei?
どの辺りにお住まいですか?

Da che parte abiti?
どちらに住んでいますか?(親しい間柄での会話)

Dove abiti?
住まいはどちらですか?

Abito in centro(periferia) di Milano.
私はミラノの中心街(郊外)に住んでいます。

Vivo a Padova da 5 anni.
私は5年前からパドヴァに住んでいます。

具体的に住所(indirizzo)を聞かれたら次のような会話になります。

Qual è il Suo(tuo) indirizzo?
あなたの住所はどちらですか?

Io abito a Via Corso, al numero 6.
私はコルソ通りの6番地に住んでいます。

Il mio indirizzo è Via Corso 6.
私の住所はコルソ通り6番地です。

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