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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その21
テヴェレ川とティベリーナ島(Fiume Tevere e Isola Tiberina) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 イタリア半島中央部を流れるテヴェレ川は、全長400km、イタリア国内で3番目の大きな川で、イタリア半島を南北に縦断するアペニン山脈の中のフマイオーロ山Monte Fumaiolo 標高1407m)を水源として、トスカーナ州・ウンブリア州・ラツィオ州を流れティレニア海へと注いでいます。ローマの誕生は、テヴェレ川のある伝説から始まりました。まだ赤ん坊であったロムルスとレムスの双子の兄弟がテヴェレ川に流され、岸に打ち上げられた2人は雌狼の乳で育てられ成長した兄弟によって築き上げたのが永遠の都ローマです。
 古代ローマから永遠と続くローマの歴史もまたこのテヴェレ川から始まりました。
 ローマのテヴェレ川にはティベリーナ島(Isola Tiberina)という唯一の中洲があります。テヴェレ川の流れが大きく蛇行し、川幅も広くなっているため土砂が堆積して出来た島です。長さ270m、最大幅67mの舟のような形をした小さな島です。この島にはいくつかの伝説があります。島の誕生についての伝説は、紀元前6世紀、王制最後の王ルキウス・タルクィニウス・スペルブス(Lucius Tarquinius Superbus)が、ローマから追放され、共和制のローマになったときのこと。市民が彼の領地であったカンポ・マルツィオで収穫された麦を川に投げ込み、そこに出来たのがティベリーナ島だという伝説。他の伝説では、王の亡骸は川に投じられ、川底に沈んだ遺体に泥や砂が堆積し、遂に島が出来たなどいくつかの伝説が残っています。
 またテェベリーナ島には別の伝説もあります。紀元前3世紀頃、ローマでペストが大流行した際、ローマの元老院は、神殿を建てることを決め、当時、医療の聖域として知られたギリシアのエピダウロスに、医神アスクレピオスの像を得るための使節団が送られました。彼の像と象徴である聖なる蛇を乗せて帰ると、蛇は泳いでティベリーナ島に渡ったという伝説。紀元前293年、島の東側にアスクレピオスに捧げた神殿が建てられました。蛇は神聖な生き物で、蛇の脱皮は再生のシンボルと考え、アスクレピオスの化身と考えました。そしてテヴェレ川の水を使って治療が行われ病が治り、疫病の流行はたちまち治まったと伝えられています。
 ちなみに、アスクレピオスの持っている蛇の巻きついた杖(Bastone di Aschepio)は、医療や医術の象徴として世界的に広く用いられているシンボルマークです。WHO(世界保健機関)や世界の救急車の車体に描かれています。
 やがてキリスト教が普及するようになって、10世紀頃には神殿の上に教会が建てられ、12世紀頃、イエスの使徒の一人聖バルトロメオの聖遺物がもたらされると、聖バルトロメオ聖堂(Basilica di San Bartolomeo all'Isola)が建てられました。16世紀中頃にはフランシスコ会の女子修道院によりファーテベーネフラテッリ病院(Farmacia Ospedale Fatebene Fratelli)が建てられました。1658年にローマでペストが大流行した際には、ペストが市内に蔓延しないように患者を島に集め隔離しました。
 この島には2つの橋が架かっています。カンポ・マルツィオの左岸と結ぶファブリチオ橋(前62年完成)とトラステヴェレ地区と結ぶチェスティオ橋(前43年)、そして島のすぐ近くに、半壊のまま残されているエミリオ橋があります。この橋は、紀元前179年に建設され、現存する最も古い橋ですが、地震や洪水などにより決壊し、その都度修理されてきました。1598年、洪水で東側が流されてしまい、それ以降は今の状態で残されています。アーチ型の橋脚には装飾が施されています。通称「Ponte Rotto」(壊れた橋 スケッチ)と呼ばれています。

■ティベリーナ島のガイドと写真
http://romeartlover.tripod.com/Vasi91.html#Today
http://www.romanoimpero.com/2010/04/isola-tiberina.html

■ポンテ・ロット
http://www.romanoimpero.com/2010/11/i-ponti-romani.html

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第37回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

【感嘆文】

 自分の感情をうまく表現することは会話では大切だと思います。生きた会話にするためにもただ質問したり、答えたりという繰り返しの会話でなく、自分の感情をできるだけ率直に表現することも大切だと思います。日本人は自分の気持ちを言葉で表現することが少し苦手なように見えます。だからといってだだ聞き役に回って「はい()」「いいえ(No)」だけでも少し寂しいような気がします。それに対してイタリア人は自分の気持ちをジェスチャーで表現したり、顔の表現や身振りや手振りを加えながら会話を表現豊かに話します。また言葉で表現したりすることが大変うまいと思います。喜怒哀楽がイタリア語で表現できれば、相手にもわかりやすく、楽しい会話になり、本当の意味で人と人の触れ合いが会話によって生まれてくると思います。
 シリーズ『イタリア世界遺産の旅と生きたイタリア語のフレーズ』第19回~第28回では、「感情を表現するフレーズ」についてまとめてありますので是非参考にして下さい。

A. 感嘆詞(che, quale, quanto, comeなど)を使った感嘆文

 「なんて~!」驚き・喜び・悲しみ・怒りなど感動を表します。感嘆文の最後には感嘆符「!」をつけます。感嘆詞だけでも感情を込めて強く発音するだけでも感嘆文は出来ます。感嘆詞の後に名詞や形容詞を付けてChe bella!(なんて美しい!)と作ります。qualequantoは、名詞の性・数に一致するので語尾の変化に注意すること。また感嘆詞の後に動詞を持ってくることもあります。

Che silenzio! なんて静かなの!
Che freddo / caldo! なんて寒い / 暑い!
Che cielo limpido! なんて澄みわたった空!
Quale tragedia! 何と言う悲劇!
Quali tristi pensieri! なんて悲しい思いなんだろう!
Quanta gente! なんて多くの人!
Che bella ragazza! なんて美人なんだ!
Che bella giornata è oggi! 今日は本当にいい天気だ!
Che meraviglioso regalo! 何とすてきなプレゼントかしら!
Che simpatica! なんて感じがいいんだ!
Quanto tempo sprecato! なんという時間の無駄か!
Quanti problemi sono! どんなに問題が多いのか!
Quanta pioggia! すごい雨だ!
Quante ciliege! なんとたくさんのサクランボでしょう!
Quale orrore! なんと恐ろしいことでしょう!
Come(Che) buon profumo! なんていい香りなんでしょう!
Ma che fai?! 一体全体君は何をするつもりか?!
Ma che dici! 一体君は何を言っているんだ!
Come ti amo! どんなに君のことを愛していることか!
Come corre veloce quel bambino! あの子、なんて速く走ってるの!
Quanto mi dispiace! どれほど残念なことか!

B. 間投詞を使った感嘆文

 驚き・喜び・悲しみ・怒りなどの心の感動を表す言葉を間投詞と言います。
 イタリア語には、Ah!(ああ!)Oh!(おお!)のように単なる心の叫び声のようなものから、Forza!(頑張れ!)Silenzio!(静かに!黙れ!)などのように言葉が転化したもの、ときにはAl ladro!(泥棒だ!)Mamma mia!(おやまあ!困ったね!)のように短い文章で表すこともあります。
 またproprio, maiなど強調を表す副詞を伴うこともあります。
 ここでは会話などでよく出てくる間投詞をまとめました。

Ahimè! Aimè! ああ!(苦悩・嘆きなど)
Ohimè! Oimè! おお!(失望・絶望など)
Beh!(=Be'!) えーと! そうですね!
(=Bene よく断定的な答えをしないために使う)
Accidenti! なんと! 畜生! 大変だ!
(驚きや不快感を表す)
Coraggio! 勇気・元気を出せ!
Diavolo! いったい全体! 畜生!
(驚きや疑いを強く表す:diavoloは悪魔を意味する)
Peccato! 残念だ!
peccatoは宗教的な意味の罪を表す言葉)
Vergogna! 恥知らず!
vergognaは羞恥心を表す言葉)
Maledetto! 畜生!いまいましい!
maledettoはののしる・呪うmaledireの過去分詞)
Magari! もしそうならいいね! そうであって欲しいのだが!
Basta! もうたくさんだ! もう結構です!
Viva! 万歳!
Perbacco! なんとまあ!
(驚きや強調を表す)
Perdio! 何と! 畜生!
(=per Dio 驚きや不快感を表す)
Guai! ただじゃおかないぞ!
(脅しや警告を表す)
Caspita! うわあ! すごい! しまった!
(驚き、不快感、強調を表す)
Macché! とんでもない!
(否定を表して)
Beato te! きみはいいなあ!
Aiuto! 助けて!
Presto! 急げ!
Dai! さあ! さあ行け! 頼むよ!
Zitto! 静かに! 黙れ!
Chissà! わかるものか! はたして...だろうか!
(「誰が知ろう、誰も知らないであろう」の意味の反語的表現)
Esatto! まさしく! そのとおり!
Forse! 多分!
Può darsi! そうかもしれない!

単語帳

食材から学ぶイタリア語 その1

 3回にわたって「パスタの名前から学ぶイタリア語」について学んできました。パスタの名前の多くが、その形状などを表すイタリア語の語源から名前が付けられていました。レストランのメニューからパスタを選ぶとききっと役に立つことでしょう。
 今回から、「食材から学ぶイタリア語」についてまとめてみました。ピザ屋さん(pizzeria)のメニューを見ると、Pizza Margherita:Mozzarella(モッツァレッラ・チーズ)、pomodoro(トマト)、basilico(バジリコ)とあり、ピザの上にトッピングする食材が書いてあるので、どんなピザが出てくるのか想像できます。一方、レストランのメニューを見て、すぐにどんな料理か想像するのは大変難しいと思います。しかしそこに出てくる単語を知っていればその料理のイメージが湧いてきます。例えば、Patate saltate al burro.の場合、ポテト(patate)とバター(burro)という食材のイタリア語が分かれば「バター味のポテト」と想像できます。更にsaltare(ソテーする、飛び跳ねる)が分かれば「ポテトのソテー(バター風味)」になります。
 そこで食材について単語を整理し覚えれば、きっと役に立つと思いますのでしっかり覚えましょう。

A. 野菜(verdure):葉菜類はたいていは単数形で表しますが、ほうれん草は複数形が用いられます。一方、豆類や単菜類や土物類は複数形で表すのが一般的です。

1. トマト pomodoro
2. ポテト patate
3. キノコ fungo(複数 funghi
4. タマネギ cipolla(複数 cipolle
5. ニンニク aglio
6. ナス melanzana
7. ピーマン peperone
8. キャベツ cavolo
9. ほうれん草 spinacci
10. レタス lattuga
11. ルコラ rucola
12. セロリ sedano
13. アンティチョーク carciofo(複数 carciofi
14. エンドウ豆(グリンピース) pisello
15. さやいんげん fagiolino
16. ズッキーニ zucchino(複数 zucchini
17. ニンジン carote

B.フルーツ(frutta):

1. イチゴ fragola
2. オレンジ arancia
3. ぶどう uva
4. ナシ pera
5. りんご mela
6. メロン melone
7. イチジク figo
8. pesca
9. バナナ banana
10. サクランボ ciliegia
11. みかん mandarino
12. パイナップル anannas
13. すもも(プラム) prugna
14. グレープフルーツ pompelmo
15. ブルーベリー mirtillo
16. レモン limone
17. cachi(無変化:語源は日本語)
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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