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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その6
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(Basilica di Santa Maria Maggiore) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 ローマ中央駅(Stazione Termini)から南西へ約300m歩くとエスクィリーノの丘の上にひときわ高く建っているのがサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂です。ローマ4大聖堂の一つです。ローマの4大聖堂は、サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン)、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂、サン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂です。313年、コンスタンティヌス帝によってキリスト教が公認された後、皇帝により教会が多く建てられました。
 この4大聖堂はローマ教皇による初期キリスト教時代の教会(Basilica Papale)です。今回紹介するサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂もその一つです。時の教皇リベリウスは、夢に聖母マリアが現れ「数日のうちに雪が降る。その場所に教会を建てなさい」というお告げを受けました。35685日の朝、エスクィリーノの丘に真夏の雪が降りました。教皇はその奇蹟の場所に教会を建てました。この教会ではそれ以来、毎年85日はこの雪の奇蹟を祝ってミサがおこなわれ、ミサの間に教会の天井から白い花びらがまかれるようです。
 教会の名前にマッジョーレ(maggiore)という言葉がついています。イタリア語のグランデ(grande)の優等比較級で「より大きい・より重要な」の意味です。ここには歴史的背景が影響を与えています。431年、エフェソスで行われた公会議で、キリストの母マリアを神の母として聖母マリアに対する崇拝が公認されました。その後この大聖堂は、聖母マリアに捧げられた教会のなかでもっとも重要な教会として位置づけられることになりました。
 大聖堂は二つの広場に挟まれております。正面にあたるサンタ・マリア・マッジョーレ広場にはマクセンティウス帝のバジリカから大理石の円柱を移築し大聖堂の正面に据え、頂には聖母子のブロンズ像がつけ加えられました。また後陣のある裏側のエスクィリーノ広場にはアウグストゥス帝の霊廟から移築したオベリスクが聳えています。これらの円柱やオベリスクは、世界中からやって来る巡礼者の指標として役立ちました。
 何世紀にもわたって歴代教皇が改築を重ねてきた大聖堂は、様々な様式が含まれています。外観はバロック様式で、ローマで最も高い鐘楼(75m)は15世紀に建てられました。また壮麗な内部については、三廊式の堂内をイオニア式列柱が支えています。コズマーティ装飾(斑岩や蛇紋岩を使った色彩豊かな幾何学的装飾)の床は12世紀、天井は16世紀、壁面のモザイク装飾は16世紀後半に作られました。金箔の格子天井は薔薇が飾られており豪華絢爛。これはボルジア家出身の教皇アレクサンデル6世が寄進したもので、コロンブスがアメリカから初めて運んできた金が使われたと言われています。後陣には天蓋があり、後陣を仕切るアーチや後陣のアプシスは金色に輝くモザイク画で被われています。そこには「聖母の生涯」や「聖母の戴冠」がモチーフとして繊細で美しい色彩で描かれています。
 地下祭室の左側にはパオリーナの礼拝堂(Cappella Paolina)、右側にはシスティーナ礼拝堂(Cappella Sistina)があります。システィーナ礼拝堂には、キリストが生まれた時に使った「まぐさ桶」の一片が聖遺物として祀られています。その前で跪いて祈る教皇ピウス9世の像があります。
 この教会には、バロックの巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの墓があります。彼の功績を称えてバロック調の豪華絢爛なものを想像しますが、大変小さく簡素なもので注意深く探さないと見つかりません。システィーナ礼拝堂に入る側廊の床にあります。ベルニーニの墓がこの教会にある理由は、パオリーナ礼拝堂増築のため、彫刻家であった父ピエトロは8歳の息子を連れてナポリからやってきました。ベルニーニ家はこの教会のすぐ近くに住んでいたようです。スペイン広場にある船の噴水(バルカッチャの噴水)は父ピエトロの設計によるとされています。
 最後に、このエスクリーノの地区には、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会(Chiesa di San Pietro in Vincoli)があるのでぜひ訪れていただきたい。そこには有名なミケランジェロ作の「モーゼ像」があります。これは教皇ユリウス2世の墓廟を飾る彫刻群の一部でした。教会の名前は、聖ペトロがエルサレムやローマで繋がれていたとされる鎖に由来します。伝説によればこの二つの鎖の環を近づけると一つに繋がったという奇蹟が伝えられています。主祭壇の下に聖遺物として祀られています。

■サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のガイドと写真
http://www.vatican.va/various/basiliche/sm_maggiore/index_it.html
http://www.sacred-destinations.com/italy/rome-santa-maria-maggiore/photos

■サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会と教皇ユリウス2世の墓廟について
http://www.romaincamper.it/approfondimenti/chiese/vincoliG.html
http://it.wikipedia.org/wiki/Tomba_di_Giulio_II

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第22回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

 イタリア語の動詞の時制について:現在形は「...する、...します」または「...している」を表し、近過去は「...した」「...しました」を表し、半過去は「...していた」を表しました。
 今回は、未来形について学習しましょう。時制的には未来の行為や状態を表すときに使いますが、事柄を推測したり想像したりするときにもよく使う時制です。勿論、「多分、おそらく」を表す副詞forseprobabilmenteを使ったり、「...かもしれない」を表すpuò darsiを使って表すことも出来ます。
 会話では、場合によっては客観的に断定的に表現するよりも、「...するでしょう」と推測的に表現した方が良い場合があります。未来形が使えると表現も大変豊かになりますのでしっかり覚えましょう。

未来形の用法について

a) 将来に起こりうる事柄、予定を表す「...するであろう」と訳すことが出来ます。

例文:

Fra poco telefone a Gianni.
フラ ポーコ テレフォネロ ア ジャンニ
少し後でジャンニに電話するつもりです。

b) 事柄を推測するときに用いる「...するでしょう」と訳すことが出来ます。

例文:

Che ore saranno?    Saranno le dieci(10).
ケ オーレ サランノ    サランノ レ ディエーチ
何時でしょうか? 10時頃でしょう。

c) やや弱い命令を表すこともあります。(「命令形」で表すのが普通)

例文:

Per la prossima lezione farete due esercizi.
ペル ラ プロッシマ レツィオーネ ファレーテ ドゥエ エゼルチーツィ
次のレッスンまでに練習問題を2つやって来て下さい。

未来形の活用について

ほとんどの動詞が規則的な語尾変化(-rò,-rai,-rà,-remo,-rete,-ranno)をする-are》動詞だけは、《-a(re)》を《-e》に直してから変化する点に注意して下さい。

動詞の原形 parlare prendere partire essere avere
io(私は) parle prende parti sa av
tu(君は) parlerai prenderai partirai sarai avrai
lui(彼は)・ lei(彼女は)
Lei(あなたは)
parle prende parti sa av
noi(私たちは) parleremo prenderemo partiremo saremo avremo
voi(君たちは)
(あなたたちは)
parlerete prenderete partirete sarete avrete
loro(彼らは)
loro(彼女らは)
parleranno prenderanno partiranno saranno avranno

以上のように語尾変化は規則的ですが、語幹の取り方に特徴のある動詞があるので注意すること

a) 動詞の語幹《-ero, -erai》の《-e》が消えた形

avereavrò poterepotrò doveredovrò  
saperesaprò vederevedrò viverevivrò andareandrò

b) 《-are》動詞は、変化するときに《-a(re)》を《e》に直すべきところが、元のままである形

daredarò farefarò starestarò  

c) 《-rrò》《-rrai》《-rrà》《-rremo》《-rrete》《-rranno》と変化する形

venireverrò volerevorrò bereberrò  
rimanererimarrò tenereterrò    

d) 《-iare》《-care》《-gare》の語尾をもつ動詞

cominciarecomincerò mangiaremangerò    
dimenticaredimenticherò pagarepagherò    

未来形を使った例文

1. Domani arriverà in Giappone la mia amica italiana.
ドマーニ アッリヴェラ イン ジャッポーネ ラ ミア アミーカ イタリアーナ
明日、イタリアの友達が日本に着く予定です。
2. Stasera non potremo uscire insieme.
スタセーラ ノン ポトゥレーモ ウシーレ インシエーメ
今夜、一緒に出掛けることが出来ないでしょう。
3. Quella signora avrà cinquanta anni.
クエルラ シニョーラ アヴラ チンクアンタ アンニ
あの奥さんは50歳くらいでしょう。
4. L'anno prossimo farò un viaggio in Italia.
ランノ プロッシモ ファロ ウン ヴィアッジョ イン イタリア
来年、イタリアに旅行するつもりです。
5. Quanto tempo rimarrà in Giappone?
クアント テンポ リマッラ イン ジャポーネ
日本にはどれぐらい滞在の予定ですか?
6. Io non dimenticherò mai quello che hai fatto per me.
イーオ ノン ディメンティケロ マイ クエルロ ケ アイ ファット ペル メ
君が私にしてくれたことは決して忘れないでしょう。
7. Quante stelle ci saranno nel cielo?
クアンテ ステルレ チ サランノ ネル チエルロ
空にどれぐらいの星があるだろうか?
8. Quando finirà questo brutto tempo?
クアンド フィニラ クエスト ブルット テンポ
このひどい天気はいつ止むだろうか?
9. Si riposerà un po', o sarà ammalato.
シ リポゼラ ウン ポ オ サラ アッマラート
少し休んで下さい、さもないと病気になりますよ!
10. Proverai, e lo saprai fare.
プロヴェライ エ ロ サプライ ファーレ
試してみなさい、そうすればそれができるでしょう!

単語帳

会話の中で、お休みの日や暇な時間に何をしているのか、お互いの趣味についての話題になります。「音楽鑑賞」とか「読書」と答える方は多いでしょう。時間の使い方も人ぞれぞれで趣味に関してもいろいろ多様化していると思います。ここでは出来るだけ多くの趣味をまとめてみましたので、自分の趣味を言えるように準備しておくとよいでしょう。
「趣味」にあたるイタリア語は、パッサテンポ(passatempo)ですが、英語のhobbyもよく使います。発音はhの音はなく「オッビー」と発音してください。
また「~を鑑賞する」は、イタリア語でammirare~またはapprezzare~という動詞を使います。

Qual'è il tuo passatempo(divertimento, hobby)?
あなたの趣味は何ですか?

Il mio passatempo è andare al cinema.
私の趣味は映画鑑賞です。

Mi interessa il cinema italiano.
私はイタリア映画に興味があります。

Mi piace ascoltare la musica.
私は音楽を聴くのが好きです。

Mi piace ammirare i capolavori della pittura al museo.
私は美術館で名画を鑑賞するのが好きです。

Mi dispiace ma non ho nessun hobby.
あいにく無趣味なんです。

【いろいろな趣味】

〈美術〉 dipingere la pittura 絵をかくこと
andare ad una mostra /
visitare una mostra
展覧会を見に行く
〈音楽〉 andare al concerto コンサートへ行く
ascoltare la musica 音楽を聞くこと
suonare il pianoforte ピアノを弾く
cantare la canzone 歌を歌う
fare il karaoke カラオケをする
〈読書〉 leggere i libri 本を読む
〈劇・映画〉 andare a teatro 劇を見に行く
andare al cinema 映画を見に行く
vedere il film italiano イタリア映画を見る
〈料理〉 cucinare 料理する
fare dolci お菓子を作る
〈スポーツ〉 fare lo sport スポーツをする
fare un giro in macchina ドライブに行く
andare al mare 海へ行く
andare in montagna 山へ行く
fare dell'alpinismo 登山をする
fare trekking トレッキングをする
andare a fare lo sci スキーに行く
giocare a golf ゴルフをする
〈旅行〉 andare alle terme 温泉に行く
andare a pesca 釣りに行く
fare un viaggio(=viaggiare) 旅行する
viaggiare all'estero 海外旅行をする
〈園芸〉 fare giardinaggio 園芸をする
composizione(decorazione) floreale フラワーアレンジメント
〈趣味あれこれ〉 fare delle foto 写真を撮る
fare danza(hip hop) ダンス(ヒップホップ)をする
fare un gioco ゲームをする
divertirsi a fare le spese sull'internet ネットショッピングを楽しむ
la moda ファッション
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