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インターネット公開文化講座

文化講座

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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その15
スペイン広場(Piazza di Spagna) 1980/1990年登録


スケッチ画 樋口佳代

 スペイン広場は、ローマで最も活気があり、しゃれたお店が多くあり、旅行者やローマっ子を引きつけている広場です。広場の中心にあるスペイン階段は、映画「ローマの休日」で、ヘップバーン扮するアン王女がジェラートを食べるシーンは余りにも有名です。
「スペイン広場」の名前の由来は、17世紀にスペイン大使館(階段右手の建物)が置かれたことに由来しています。古くはトリニタ広場と呼ばれていました。
この広場の特徴は、何と言っても広場中央に位置する137段の階段です。1723年にフランチェスコ・デ・サンクティスによって設計された、後期バロック様式の美しい階段です。階段と言うよりは劇場の舞台空間を演出しているようです。実際、ここではファッションショーやライブコンサートなどがよく行われています。

トリニタ・デイ・モンティ教会(Trinità dei Monti) 
 スペイン階段の上に、二つの鐘楼が聳え立っているのがトリニタ・デイ・モンティ教会です。
フランスのルイ12世が建設させた教会。この教会には、ミケランジェロの素描に基づくダニエーレ・ダ・ヴォルテッラ(Daniele da Volterra)の「キリスト降架」(1545年)のフレスコ画が最も有名です。
 システィーナ礼拝堂にミケランジェロが描いた「最後の審判」が,男性の完全裸体が多すぎるとして、非難の対象となりました。教皇パウルス4世が『最後の審判』に描かれた猥褻な部分を、外衣・腰布で覆い隠すように、ミケランジェロとの親交の深かったダニエーレに依頼し描かせました。しかしそのおかげで、彼は「腰布画家」(イル・ブラゲットーネ(Il Braghettone腰布画家)というあだ名を付けられ呼ばれるようになりました。

バルカッチャの噴水(スケッチ画 Fontana della Barcaccia) 
 階段の下の広場にはバルカッチャの噴水があります。バルカッチャとは、「ぼろ船」という意味です。今にも浸水して沈没しそうな老舟を浅い水盤に配したものです。この辺りは水圧が非常に低いため舗装面に埋め込まれています。
バロックの巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニと父ピエトロとの共作1629年)と言われています。噴水を飾る「バルベリーニ家の蜂」と太陽は、この噴水を依頼したバルベリーニ家の教皇ウルバヌス8世の紋章です。

コンドッティ通り(Via Condotti) 
 この通りは、アグリッパの浴場へ水を運んだ水道管(Condotti dell'acquedotto Vergine)の上を通っていることからその名前が付けられました。
スペイン広場から、ローマのメイン通りのコルソ通りを繋ぐコンドッティ通りには、洗練された高級ブティックが建ち並んでいます。またこの通りには有名なカフェ・グレコ(Caffè Greco)があります。18世紀以来、作家や芸術家たちのたまり場であったところ。スタンダール、バイロン、リスト、モディリアーニなどが顔を見せた、ローマ随一の歴史と権威を誇るカフェです。店内の壁には常連だった有名人の肖像画などが飾られていますので、一杯のエスプレッソをすすりながら一時を過ごすのもよいかと思います。

尚、ユネスコの世界遺産「ローマ歴史地区」では、「スペイン広場」は指定されていません。

■スペイン広場のガイドと写真
http://www.italyguides.it/it/roma/monumenti/roma_rinascimentale/piazze_e_fontane_celebri/piazza_di_spagna.htm

■ダニエーレ・ダ・ヴァルテッラの人と作品について
http://art.xtone.jp/artist/archives/daniele-da-volterra.html

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第31回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

II.条件法の用法について~続き~

 意志を表す(volere欲する、desiderare望む)動詞や、判断や意見を示す(credere信ずる、dire言う)動詞である場合に、直説法で表現すると、余りにも露骨な要求になったりすることになります。そんな時に「~したいのですが」とか「~すべきなのですが」という条件法が使われると婉曲で丁寧な表現となり、特に日常会話などではよく使うのでしっかり覚えましょう。

(4)相手に何かをていねいにお願いするとき:「~してくれない?」(Potresti?)又は「~していただけませんでしょうか?」(Potrebbe?)
直説法を使ってPuoiPuò~?と言っても十分に丁寧な表現となります。条件法を使った疑問文にすると「できたら~していただけませんか?」と、非常に丁寧に相手にお願いする形になります。

Potresti prestarmi la tua macchina?
私に車を貸してくれない?
Potrebbe chiamarmi un taxi?
タクシーを呼んで頂けませんでしょうか?

(5)相手の気持ちなどをたずねるとき:「~したいの?」(vorresti?)又は「~したいですか?」(Vorrebbe?)
同様に直説法を使ってVuoiVuole~?と言っても同じような意味になりますが、条件法を使った方がよりていねいでやわらかな表現となります。
また「よかったら~しませんか?」と相手を誘う表現になったり、「できたら~してもらえませんか?」と相手に依頼する表現にもなります。

Vorresti prendere un caffè?
よかったらコーヒーを飲みませんか?
Vorrebbe scrivermi il Suo numero di telefono?
よろしければあなたの電話番号を書いてもらえませんか?
Vorresti darmi una mano?
できたら私を手伝ってくれない?
Ti piacerebbe andare al cinema stasera?
今夜、(よかったら)映画を見に行きませんか?

(6)条件法過去の用法

 過去の出来事において(~するはずだった)んだけど、実際にはそれをしなかった」という場合に条件法過去を使います。日常会話でもよく使うのでしっかり覚えましょう。

作り方はessere又はavereの条件法現在 + 過去分詞

Ieri avrei mangiato volentieri il pesce, ma non c'era.
昨日は、喜んで魚を食べたかったんだけど、なかった。(つまり、食べなかった)
Ieri avrei studiato volentieri, ma stavo male.
昨日は、喜んで勉強するはずだったんだけど、具合が悪かったんだ。(つまり、勉強しなかった)
Ieri sarebbero usciti, ma pioveva.
昨日、彼らは外出するはずだったんだけど、雨が降っていたんだ。(つまり、外出しなかった)
Non aveva appetito, altrimenti avrebbe mangiato.
お腹が空いていなかった。そうでなければ食べたのに。(つまり、食べなかった)

しかし、過去における出来事だけでなく、現在または未来において実現しなかったことを表す場合でも条件法過去を使います。

Avremmo giocato al calcio, ma fa brutto tempo.
サッカーをしたいけれど天気が悪くて出来ない。(現在の場合)
Maria sarebbe venuta volentieri con voi domenica prossima, ma ha già un impegno.
来週の日曜日、マリアは皆さんと行きたかったんだけど、すでに用事があるので行けません。(未来の場合)

単語帳

音楽用語で学ぶイタリア語 その1

 音階の「ドレミファソラシド」は、実はイタリア語で、世界共通に使われています。
11世紀、修道僧で音楽教師でもあったグィード・ダレッツォが、グレゴリオ聖歌「洗礼者聖ヨハネの讃歌」は、各節が一音ずつ高くなっていくことに気づき、各節の歌詞の最初の音節を元に考案したと言われています。
「ドレミの歌」というと、「ドはドーナッツのド、レはレモンのレ...」と歌のメロディーと歌詞が自然と出てきます。この曲は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」で、ジュリー・アンドリュースが、ヒロインであるマリア先生がトラップ一家の子供たちと一緒に歌っていた曲です。
しかし、原曲の英語版では、「ドは鹿(deer)のド、レは雫(drop)のレ...」となっており随分違います。ではイタリアの子供たちはどのように歌っているのでしょうか。イタリア語のドレミファソラシド(do-re-mi-fa-sol-là-sì-do)にもそれぞれに意味を付けたイタリア語バージョンで歌っています。

【DO-RE-MI】の歌

DO se do qualcosa a te.
『ド』はもし君に何かあげるならの『ド』:動詞dare(あげる)のdo(私があげる)
RE è il re che c'era un dì.
『レ』は昔いた「王様」の『レ』:レは王様(re)の意味
MI è il mi per dire a me.
『ミ』は「私に」と言うために使う『ミ』:ミは私に(a me = mi)の意味
FA la nota dopo il mi.
『ファ』はミの次にくる音
SOL è il sole in fronte a me.
『ソ』は私のおでこに当たってる太陽:イタリア語ではソルと発音します。
se proprio non è qua.
本当に「ここ」じゃなければ「あそこ là」
se non ti dico no.
君に「いいえ」と言わないなら「はい sì」:yesのsìで強くハッキリと発音します。
e così ritorno al DO.
こうして『ド』に戻ります。

イタリア語の「ドレミの歌」も、Youtubeで聞くことができます。イタリア語版の吹き替えです。
イタリア語のタイトルは、Tutti insieme appassionatamente(DO-RE-MI)
http://www.youtube.com/watch?v=UXVF2ahAxhM

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