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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その23
アッピア街道(Via Appia)その2 チェチーリア・メテッラの霊廟(Mausoleo di Cecilia Metella)マクセンティウスの競技場(Circo di Massenzio) 1980/1990年登録


スケッチ 樋口佳代

 アッピア街道をサン・セバスティアーノ門から100m程行った右側に最初のマイルストーンがあります。紀元前120年頃、ガイウス・グラックスにより、すべてのローマ街道には1ローマ・マイルごとに大理石の石柱を建てることが決められました。1ローマ・マイルを、「人の一千歩 (左右合わせて一歩)」に等しい距離とされ(約1.5km)、首都ローマからの距離を刻んだマイルストーンを建てたのです。諸街道は、「すべての道はローマに通ず」と言われたよう、ローマに繋がっていました。その起点は、政治・経済の中心地であるフォロ・ロマーノであり、そこには円錐形をした金メッキされた柱(milliarium aurum)が置かれていました。アウグストゥス帝が前20年に建立したものと言われています。現在では基部しか残っていませんが、フォロ・ロマーノのセプティミウス・セヴェルス帝の凱旋門の脇にマイルストーンの元標が残っています。
マイルストーンの標石には、ローマから1マイルごとに増える数字と、事業責任者の名前などが刻まれています。

 この街道に沿って点在している遺跡のほとんどが墓の遺構であることに驚かされます。
古代ローマでは聖域である都市境界ポメリウム(pomerium)の内側に、墓をつくることが法律によって禁じられていました。ローマ帝国の拡大と共に急激な人口増加がおこり、公衆衛生上の理由もあったようです。そのため死者の埋葬の場所としてローマの街道沿いを選んだとされます。埋葬の仕方は時代によって異なり、共和制の時代には火葬が勧められ納骨堂や遺灰を納めた祭壇が建てられ、帝政の時代には土葬の習慣が広がり、カタコンベ(地下墓地)が作られました。
古代ローマ人の宗教は、おおらかな多神教の神々を信じ、その死生観は、今に生きる幸せを追求する現世主義で、きわめて自然で健全なものでした。墓も、人々の往来で賑やかな街道沿いに埋葬されることを望みました。行き交う旅人が自分の墓で憩うことを想定していたかのような碑文もあり、当時のローマ人の死生観を伺い知ることが出来ます。

「おお、そこを通り過ぎていくあなた、ここに来て一休みしていかないか。頭を横に振っている。なに、休みたくない?と言ったて、いずれはあなたもここに入る身ですよ」
「幸運の女神は、すべての人にすべてを約束する。と言って、約束が守られたためしはない。だから、一日一日を生きることだ、一時間一時間を生きることだ、何ごとも永遠でない生者の世界では」
「これを読む人に告ぐ。健康で人を愛して生きよ、あなたがここに入るまでのすべての日々を」(塩野七生著「ローマ人の物語VIp257から引用)

アッピア街道の見所の一つであるチェチーリア・メテッラの霊廟(スケッチ画)があります。
アッピア街道沿いに現存する遺構の中で最大規模を誇る円筒形の墓です。共和制末期のローマの大富豪であり、カエサルの最大の債権者であったルキニウス・クラッススの妻の墓です。内部は博物館となっていて見学が出来ます。

 更に北に200mほど行ったところには、マクセンティウスの競技場(全長520m92m 1万人収容)があります。チルコ・マッシモに次いで二番目の大きさで大変保存状態がよい。この競技場の中央分離帯(spina)は、他の競技場同様、小神殿や水盤、中央にはオベリスクなどで飾られていました。このオベリスクは、1650年、ナヴォーナ広場に移築されベルニーニの「四大河の泉」に転用されています。

■チェチーリア・メテッラの霊廟について
http://www.romanoimpero.com/2010/01/mausoleo-di-cecilia-metella.html

■マクセンティウス競技場について
http://it.wikipedia.org/wiki/Circo_di_Massenzio

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第39回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

【受動態(受け身)】 その2

【受動態の種類】

受動態には、A.essere+他動詞の過去分詞」の他に、「動き」や「状態」を強調するB.venire(stare)+他動詞の過去分詞」や、「義務」(されるべき)を強調したり、「消滅、解消」を強調するC.andare+他動詞の過去分詞」、そして日常会話などでもよく使われる受け身小詞と呼ばれるsi+他動詞の三人称」があります。

A.essere+他動詞の過去分詞」~前回からの続き~

会話でもよく使う従属動詞dovere, potere, volereを使った受動態は、以下のように従属動詞の後に受動態「essere+他動詞の過去分詞」を持ってきます。

(1) Questo romanzo deve essere letto da giovani.
(この小説は若者たちに読まれるべきである)

(2) Questo film può essere visto da tutti.
(この映画は皆に見られたに違いない)

(3) Gli studenti oggi non vogliono essere interrogati.
(今日、学生たちは口頭試問を受けたくない)

(4) Dovrà essere lasciato un messaggio per me sulla scrivania.
(机の上に私宛の伝言が残されているはずだ)

■過去時制は、基本的には半過去で表しますが、近過去などの複合時制で表す場合は助動詞avereを取るので注意する必要があります。

【例文】

(1) Lei non voleva essere disturbata(non ha voluto essere distrubata) da nessuno.
(彼女は誰からも邪魔されたくなかった)

(2) Quel lavoro doveva fatto(ha dovuto essere fatto) all ultimo momento.
(あの仕事は最後までなされるべきであった)

■単純時制と複合時制(完了時制)について
動詞の人称や時制を表すとき、動詞の語尾を活用させ表すのが単純時制と呼びます。(現在形、未来形、半過去形、遠過去形)
それに対して、「助動詞(essere又はavere)+過去分詞」で表すのが複合時制(完了時制)と呼びます。(近過去形、前未来形〈未来完了〉、大過去形〈半過去完了〉前過去形〈遠過去完了〉)

B.「venire(stare)+他動詞の過去分詞」:

 動詞・現在形の用法には、「...する、...します」と訳す記述的用法と、「...している」と訳す進行中の状態を表す二つの用法がありました。受動態にも、a) 「動き(動作)」やb) 「状態」の意味を強調する場合、essereの代わりに、venire(動き)、stare(状態)を表す動詞を使う受動態があります。
この受動態は、複合時制で表すことはありませんので注意して下さい。

a) Il portone viene chiuso alle nove.
(門は9時になると閉められる-「動き」を強調)

b) Il portove stava chiuso ieri sera.
(昨晩、門は閉められていた-「状態」を強調)

a) Viene stampata la marca su questo.
(この上に商標が印刷される-「動き」を強調)

b) Stava stampata la marca su questo.
(この上に商用が印刷されていた-「状態」を強調)

【例文】

(1) La luce viene accesa.
(灯りが点けられる)

(2) Questo gatto viene coccolato dai vicini.
(この猫は近所の人たちにかわいがられています)

(3) I biglietti per il concerto vengono venduti in botteghino.
(コンサートのチケットは切符売り場で売られています。)

(4) Un brano di Dante viene letto da Mario a voce alta.
(ダンテの一節がマリオによって大きな声で読まれた)

(5) Questa guida viene aggiornata ogni anno.
(このガイドブックは毎年更新されます)

(6) Il nuovo film di Giuseppe Tornatore viene proiettato al Cinema Ariston.
(ジュゼッペ・トルナトーレの新作映画が、映画館アリストンで上映されます)

(7) La giornata della donna viene celebrata ogni anno l'otto marzo.
(女性の日は毎年3月8日にお祝いされます)

(8) Sul muro stanno attaccati numerosi manifesti.
(壁にはたくさんのポスターが貼られている)

C.「andare+他動詞の過去分詞」:

essereの代わりにandareを使うと、「義務」(されるべき=dovere essere)の意味を強調したり、「消滅解消」の意味合いを強調する受動態になります。
この受動態は、行為者「~によって(人・もの)」を表すda~を付けて表すことは出来ません。

【例文】

(1) La legge va rispettata.
(法律は尊重されるべきだ)

(2) Questa medicina va presa dopo ogni pasto.
(この薬は毎食後飲まれるべきです)

(3) Questo lavoro va eseguito entro oggi.
(この仕事は今日中に片付けられねばなりません)

(4) La tesi va preparata per la fine di questo mese.
(論文は今月末までに準備されるべきです)

(5) La verità non va nascosta.
(真実は隠されるべきではない)

(6) I biglietti di treno vanno timbrati all'inizio del viaggio.
(列車の切符は乗車時に刻印されなければならない)

(7) Preziosi quadri andarono distrutti nell'incendio della galleria.
(貴重な絵画が、ギャラリーの火事で焼失してしまいました)

(8) Tutto il villaggio è andato abbandonato.
(村全体が見捨てられた)

■時には、他の動詞restarerimanerefinireを使って受動態として代用されることもあります。

【例文】

(1) La scuola rimarrà chiusa per tre giorni.
(学校は3日間閉められるでしょう)

(2) Gli uffici restano aperti anche di sabato mattina.
(オフィスは土曜の朝も開けられる)

(3) L'uomo è finito ucciso nell'incidente.
(男はある事故で亡くなった)

■以上見てきた受動態を「犬がつながれる」という例文でその違いを見ましょう。

Il cane è legato ad un albero.
(犬は木につながれる。または木につながれている)

Il cane viene legato a mattina.
(犬は朝になるとつながれる)-「動き」の強調

Il cane sta legato durante il giorno.
(犬は昼間つながれている)-「状態」の強調

Il cane va legato sempre.
(犬はいつもつないでおくべきだ)-「義務」の強調

単語帳

食材から学ぶイタリア語 その3

 今回は、料理で使う調味料をまとめました。
調味料に使う数量の表し方にはいろいろあります。
少量を表すには、「少しの」(poco(un po'))を使って「小麦粉少量」(poca farina)、「白ワイン少量」(poco vino bianco)と言います。また「スプーン(小さいスプーン)」(cucchiaio(cucchiaino))を使ったり「コップ」(bicchiere)を使って表すこともあります。例えば、「切り刻んだパセリ・スプーン1杯」(un cucchiaio di prezzemolo tritato)、「生クリーム・スプーン2杯」(due cucchiai di panna liquida)、「カレー粉小スプーン1杯」(un cucchiaino di polvere di curry)、「赤ワイン半カップ」(mezzo bicchiere di vino rosso)と表します。
また「一片」を表す言い方にもいろいろあります。ミカンなどの袋や房、ユリ、ニンニクなどの小鱗茎や三日月状のものは、spicchioを使い「一かけのニンニク」(uno spicchio d'aglio)と言います。
しかし「一片(小さな部分とかかたまりの意味)」を表すときにはpezzopezzettoを使い「一切れのパン」(un pezzo di pane)、「タマネギ一切れ」(un pezzetto di cipolla)と言います。
その他に、「一つまみ」(un pizzico, una presa)、「一切れ」(una fetta)、「一片」(un pezzo, uno spicchio)、「一滴」(una goccia)、「一握り」(una manciata(manciatina))、「切り刻んだ野菜など」(un trito)などを使って調味料の数量を表します。

例:

「ひとつまみの塩」 (un pizzico di sale)
「レモンのスライス1枚」 (una fetta di limone)
「一切れのパン」 (un pezzo di pane)
「レモン数滴」 (qualche goccia di succo di limone)
「ひとつまみの乾燥キノコ」 (una manciata di funghi secchi)
「タマネギ、ニンニク、ニンジンを刻んだもの」 (un trito di cipolla, aglio, carota)

A. 調味料(condimenti):

1. il sale
2. コショウ il pepe
3. 砂糖 lo zùcchero
4. バター il burro(溶かしバター burro fuso
5. l'aceto(ワインビネガー aceto di vino、バルサミコ酢 aceto balsamico
6. 洋がらし la mostarda
7. 唐辛子 il peperoncino
8. オレガノ l'orìgano
9. ローリエ(月桂樹) la fòglia d'alloro
10. サフラン lo zafferano
11. ローズマリー il rozmarino
12. たまご l'uovo(複数le uova
ゆで卵(uova bollite)、半熟卵(uovo alla coque)、固ゆで卵(uovo sodo)、卵白(albumebiancodell'uovo)、卵黄(tuorlorossodell'uovo)
13. オリーブ・オイル l'òlio d'oliva
14. ニンニク àglio(ニンニク一片 uno spicchio d'aglio)
15. ショウガ lo zénzero
16. 生クリーム la panna(泡立てたクリーム panna montata
17. チーズ il formàggio(粉チーズ formaggio grattugiato
18. 小麦粉 la farina di grano
19. ブイオン il brodo
20. マヨネーズ la maionese
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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