文化講座
ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その8
カンピドーリオ広場 (Piazza del Campidoglio) 1980/1990年登録
スケッチ画 樋口佳代
ローマの七つの丘で最も高いカピトリーノの丘には、古代ローマ時代にはローマの3守護神ユピテル、ユノ、ミネルヴァを祀るユピテル神殿などがあり、宗教的な儀式や凱旋式などが行われた聖域でローマの中心でした。首都を意味するキャピタル(イタリア語はcapitale)の語源となった歴史的な場所です。
1536年、教皇パウロ3世はミケランジェロに廃墟化していた古代ローマの聖域である市庁舎前の整備を命じました。周囲の建物が完成するのは17世紀ですが、広場が幾何学的な敷石まで完成し現在のような姿になったのは1940年のことです。
広場へ通ずる階段(cordonata)は、当時は馬も上がり下り出来るように、段差を低くし奥行きを深くした緩い斜面となっています。坂道を登り切ったところで両端に双子の神(ディオスクロイ)が出迎えてくれます。カストールとポルックスの双子の神は、ローマから追放されたエトルリア人の王が敗北(紀元前499年)したことをローマ人に伝えたとされ、ローマが共和制へと転換する重要な場面に登場するシンボリックな双子の神です。
ミケランジェロは、広場に至る階段側を狭くして、市庁舎のある奥に行くほど広がっていくように設計し空間の広がりを演出しています。
広場中央の皇帝マルクス・アウレリウスの騎馬像は、甲冑を身につけずに、右手を差し出して、いかにもカピトリーノの丘の上からローマの町を見下ろしているかのようです。現在、ミケランジェロが作った台座の上にある騎馬像はレプリカであり、本物は大気汚染の被害のため博物館に避難し、修復された後博物館の中庭に展示されています。
正面奥には、古代ローマの公文書館(Tabularium)跡で現在はローマ市庁舎(Palazzo Senatorio)となっている建物です。市庁舎の右側にはコンセルヴァトーリ宮殿(Palazzo dei Conservatori)、左側にはパラッツォ・ヌオーヴォ宮殿(Palazzo Nuovo)の二つの建物があり、総称カピトリーニ美術館(Musei Capitolini)として公開されています。その多くは歴代の教皇や枢機卿たちによって精力的に収集され寄贈されたものです。また一般市民に公開された世界最古の博物館であり、ローマの歴史を語るうえでとても重要なものが展示されています。パラッツォ・ヌオーヴォ宮殿には「瀕死のガリア人」(前3世紀)をはじめとするヘレニズム期の彫刻群の傑作が展示されています。「哲学の間」や「皇帝の間」では肖像彫刻のコレクションが素晴らしい。また「カピトリーノのヴィーナス」(前4世紀)は、女神も人間的な羞恥心を示した代表的な作品です。
コンセルバトーリ宮殿には、ローマ建国のシンボルともなっている「牝狼」(前6世紀頃)のブロンズ像があります。しかしその下のローマを建国したとされるロムルスとレムスの双子は、ルネサンス期の彫刻家によって付け加えられたようです。その他にブロンズ像の「刺を抜く少年」(前1世紀)は有名です。中庭には、コンスタンティヌス帝の巨大な手、足、頭部が並べられています。本来は高さが12mの彫刻であったのでその大きさには驚かされます。
最後に、市庁舎の脇から東へ進むと、カピトリーノの丘の上からフォロ・ロマーノやコロッセオなどを見下ろせる絶好の場所に出ますので「永遠の都ローマ」の全景を堪能して下さい。
■カンピドーリオ広場のガイドと写真
http://www.tesoridiroma.net/luoghi_roma/campidoglio.html
http://www.italyguides.it/it/roma/monumenti/roma_rinascimentale/piazza_del_campidoglio.htm
■Palazzo Senatorio Musei Capitolini
http://www.museicapitolini.org/sede/piazza_e_palazzi/palazzo_senatorio
新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第24回
このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。 |
■命令法の用法
会話の中で、「...しなさい、...して下さい」等と話し相手に頼んだり勧めたりすることがよくあります。「命令法(形)」と言い、相手は常に二人称(tu又はvoi)となります。自分自身に語りかける場合も、もうひとりの自分に対して話しかけるので二人称(tu)となります。
a)
1人称単数つまり「私」に対する命令法はありません。
b)
3人称単数・複数の命令法は、「あなた=Lei」と「あなた方=Loro」に対して頼むときに使う。特にLoroは丁重で「...して下さいませ」となりますので、普通は2人称複数voiの命令法を使います。
c)
1人称複数(noi)の命令法は、自分を含めて一緒に何かをする場合に使います。
例:Andiamo!(行きましょう!)・Mangiamo!(食べましょう!)
■命令法の活用
(parlare) | (prendere) | (sentire) | (capire) | |
---|---|---|---|---|
ー | ー | ー | ー | |
(tu) | parla | prendi | senti | capisci |
(Lei) | parli | prenda | senta | capisca |
(noi) | parliamo | prendiamo | sentiamo | capiamo |
(voi) | parlate | prendete | sentite | capite |
(Loro) | parlino | prendano | sentano | capiscano |
注意:
a)
-are動詞は、2人称単数と3人称単数の活用が直説法現在の活用と逆になるので注意する必要があります。
b)
-ere動詞、-ire動詞の2人称単数、そしてほとんどすべての動詞について、命令法1人称・2人称複数は、直説法現在の活用形と同じです。
c)
文章では《!》を付ける(付けない場合もある)とか、会話では口調を強めたりして区別します。
■
会話では、相手に失礼にならないように、できるだけ「どうぞ、お願いします」などの句を命令法にそえるとよいでしょう。
a) 相手に頼むとき: per favore (per piacere)!
例文:Ascoltate bene, per favore! どうかみなさん、よく聞いて下さい。
b) 相手にすすめるとき: prego!
例文:Prego, s'accomodi! どうぞ、お楽になさって下さい。
■再帰動詞の命令法の活用
(alzarsi) | (vestirsi) | |
---|---|---|
ー | ー | |
(tu) | alzati | vestiti |
(Lei) | si alzi | si vesta |
(noi) | alziamoci | vestiamoci |
(voi) | alzatevi | vestitevi |
(Loro) | si alzino | si vestano |
注意:
再帰代名詞《ti,si,ci,vi,si》の位置に注意して下さい。
3人称の再帰代名詞《si》だけ動詞の前に置き、他の人称の再帰代名詞は動詞の語尾に結びつけます。
■命令法と目的代名詞との結びつき
原則は、再帰動詞のときと同じです。つまり命令法の3人称のときだけ人称代名詞を動詞の前に置き、それ以外はすべて動詞の後に付けて下さい。
例文:
1. Scusami! | (私を許してくれ=ごめんね) とくに親しい人に対して謝る場合 |
2. Mi scusi! | (私を許して下さい=ごめんなさい) 相手はLeiで、丁寧な謝罪 |
3. Scusatemi! | (私を許してくれ=ごめんね) 親しい人たちに対して謝る場合 |
4. Mi scusino! | (私を許して下さい=ごめんなさい) 相手はLoroで、丁寧な謝罪 |
■命令法の否定形
「...しないように」という否定を表す命令法は、2人称単数に対する場合だけ、《non + 動詞の不定詞(原形)》にします。
例: Non entrare! Non fumare! Non parlare! Non andare! Non bere troppo!
また再帰代名詞・人称代名詞がかかるときは、《non》の後に置くか、動詞の不定詞(原形)の語尾の《-e》を省いて、直接付けます。
例: Non ti preoccupare! = Non preoccuparti! 心配しないで!
■不規則な命令法について
essere(ある・いる): | sii, sia, siamo, siate, siano |
---|---|
avere(もつ): | abbi, abbia, abbiamo, abbiate, abbiano |
andare(行く): | vai(va'), vada, andiamo, andate, vadano |
stare(いる): | stai(sta'), stia, stiamo, state, stiano |
dare(与える): | dai(da'), dia, diamo, date, diano |
fare(する): | fai(fa'), faccia, facciamo, fate, facciano |
dire(言う): | di', dica, diciamo, dite, dicano |
venire (来る): | vieni, venga, veniamo, venite, vengano |
注意:
上にあげた動詞の命令法《2人称単数》の活用に、人称代名詞などがつくと、《mi, ti, lo, la》などの子音が二重になることに注意して下さい。
例文:
1. | Fammi (fa' + mi) il favore di aiutarmi! お願いですから、僕を助けてくれ |
2. | Dimmi (di' + mi) qual è la strada per il centro! 町に行く道はどちらか私に教えて |
3. | Vattene (va' + ti + ne) in fretta! とっとと出ていってくれ |
4. | Fatti (fa' + ti) corggio! 勇気をだしなさい |
■命令法を使った例文
- 1. Ripeti il numero, non ho capito bene!
- リペティ イル ヌメロ ノン オ カピート ベーネ
- よく解らなかったので、もう一度番号を言ってくれ
- 2. Stai attento a non cadere a terra!
- スタイ アッテント ア ノン カデーレ ア テルラ
- 転ばないように注意しなさい
- 3. Sediamoci un momento a quel bar e beviamo qualcosa di fresco!
- セディアーモチ ウン モメント ア クエル バール エ ベヴィアーモ クアルコーザ ディ フレスコ
- あのバーで少し座って、何か冷たいものでも飲みましょう
- 4. Portami un bicchiere d'acqua, ho sete!
- ポルタミ ウン ビッキエーレ ダクア オ セーテ
- のどが渇いているので、コップ一杯の水を持ってきてくれ
- 5. Rendimi i libri che ti ho prestato la settimana scorsa!
- レンディミ イ リーブリ ケ ティ オ プレスタート ラ セッティマーナ スコルサ
- 先週、君に貸した本を私に返して下さい
単語帳
前回に続いて自己紹介に必要な単語をまとめてみました。
出身地や故郷についての会話が終わると、次に「お仕事は何をなさっていますか?」というように「仕事」についての話題に進むと思います。今回は、仕事についての尋ね方と、それに対する答え方についてまとめてみました。
相手の仕事を尋ねるときの会話
Che lavoro fa (Lei)?
何の仕事をしているのですか?
または少し丁寧な尋ね方
Quale è il Suo impiego attuale?
どんなお仕事をしていらっしゃるんですか?
Di che cosa si occupa?
あなたのお仕事は何ですか?
In che campo lavora?
どんな分野でお仕事をされているのですか?
自分の仕事について答える会話
1. 動詞「仕事をする」lavorareを使って表す場合
Lavoro in banca.
私は銀行で働いています。
Lavoro in un'agenzia turistica.
私は旅行代理店で働いています。
2. 動詞「する」fareを使って表す場合 : 職業を表す言葉の前に必ず定冠詞を付けて下さい。
Faccio la casalinga.
私は専業主婦をしています。
Faccio il medico.
私は医者をしています。
3. 動詞「...です」essereを使って表す場合:職業を表す言葉に定冠詞を付けません。
Sono cuoco.
私はコックです。
Sono avvocato.
私は弁護士です。
職業を表す言葉:男性と女性では語尾が違うことが多いので注意して下さい。また「ピアニスト」pianistaのように男性と女性の語尾が同じ場合は、定冠詞を付けてil pianista, la pianistaのように男性と女性を区別します。
(職業) | (男性) | (女性) |
---|---|---|
会社員 | l'impiegato | l'impiegata |
公務員 | l'impiegato pubblico | l'impiegata pubblica |
学生 | lo studente | la studentessa |
アルバイト | il lavoratore part-time | la lavoratrice part-time |
医者 | il medico(il dottore) | la medica(la dottoressa) |
先生 (中学・高校・大学の) |
il professore | la professoressa |
教師 | l'insegnante | l'insegnante |
先生 (幼稚園や小学校の、音楽や習い事などの) |
il maestro | la maestra |
店員 | il commesso | la commessa |
エンジニア | l'ingegnere | l'ingegnere |
ウエイター・ウエイトレス | il cameriere | la cameriera |
看護士 | l'infermiere | l'infermiera |
美容師 | il parrucchiere | la parrucchiera |
音楽家 | il musicista | la musicista |
芸術家 | l'artista | l'artista |
ジャーナリスト | il giornalista | la giornalista |
男優・女優 | l'attore | l'attrice |
画家 | il pittore | la pittrice |
モデル | il modello | la modella |
スポーツ選手 | il giocatore | la giocatrice |
通訳 | l'interprete | l'interprete |
建築家 | l'architetto | l'architetta |