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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

ローマ歴史地区(Centro storico di Roma)その20
マルクス・アウレリウスの記念柱(Colonna di Marco Aurelio) 1980/1990年登録


スケッチ 樋口佳代

 ヴェネチア広場からポポロ広場(Piazza del Popolo)を繋ぐコルソ通り(Via del Corso)を500m程行くと、左手に唯一のコロンナ広場(Piazzo Colonna)があります。ここには首相官邸であるキージ宮殿(Palazzo Chigi)があり、広場の中央には、マルクス・アウレリウスの記念柱(Colonna di Marco Aurelio)が聳えています。
 この記念柱は、ローマ帝国全盛時代を統治した五賢帝の最後の皇帝であるマルクス・アウレリウス(在位161-180)が死去すると、実子の後継者コンモドゥス帝(在位180-192)によって建立されたとされています。この記念柱は、トラヤヌスの記念柱にならって皇帝マルクス・アウレリウスの栄誉を称えて建てられました。高さ10mの台座の上に記念柱が設置されており、全高が41.95mもあります。円柱の直径が3.7mで高さ約30mの柱身には、ドナウ国境でのゲルマニアの戦いとサルマタイの戦いの様子が螺旋状のレリーフによって描かれています。円柱の内部には頂上まで続く190段の螺旋階段があり、頂上まで登ると展望台に出ます。柱頭には皇帝のブロンズ像が冠せられていましたが、中世に入ると失われてしまいました。1589年、教皇シクトゥス5世によって行われた記念柱の復元作業によって、先端部には聖パウロの像が新しく設置されました。
 トラヤヌスの記念柱は、皇帝たちのフォロに設置されましたが、マルクス・アウレリウスの記念柱は、カンプス・マルティウスと呼ばれる地域で、パンテオンやナヴォーナ広場などがある地域です。またアウグストゥス帝自身と一族のための墓所として、前28年にアウグストゥス帝霊廟が建立されたのもこの地域です。そしてトラヤヌス帝の時代まで、皇帝たちの遺灰を納め、墓所としての役割を果たしてきました。トラヤヌス帝の遺灰は、前回で述べたようにその台座に安置されました。次代のハドリアヌス帝は、新たに自分の名を冠したハドリアヌス帝霊廟(後のサンタアンジェロ城)を建設し、以後、皇帝たちの墓所として機能することになりました。マルクス・アウレリウス帝の遺灰もこの霊廟に埋葬されました。神格化された歴代皇帝たちの結びつきを強調することで、皇帝たちの治世の正当性を主張したと考えられます。
 記念柱の付近には、かつてはマルクス・アウレリウスの火葬が行われた祭壇があり、また同じ広場には今はない凱旋門も建立されており、皇帝の偉業を称えるレリーフが装飾されていました。その一部はカピトリーニ美術館に納められています。
 またアントニヌス・ピウス帝(在位138-161)の記念柱もこの近くにあったようです。現在のイタリア下院が置かれているモンテチトーリオ広場に位置していました。地震などによって倒壊してしまい、現在はその台座が残るに過ぎません。台座は修復を受けた後バチカン博物館に移されました。絵画館の入り口に設けられた中庭に展示されています。台座のレリーフには、羽根の生えた精霊の力によってアントニヌス帝と妃ファウスティナを天上へ導いてゆく様子が描かれており、ここにも皇帝たちの神格化が強調されているようです。

■マルクス・アウレリウスの記念柱のガイドと写真
http://it.wikipedia.org/wiki/Colonna_di_Marco_Aurelio

新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第36回

このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にでもわかるようにまとめています。また「単語帳」のコーナーを設けていますので、少しずつ単語や簡単なフレーズを覚えるようにして下さい。

【関係代名詞】 その2

E) 関係代名詞 quanto

1.関係代名詞chiと同様に先行詞をとらない

2.quanto(男性単数形)は、tutto ciò che, tutto quello cheを表し、「~するところのすべてのもの(こと)」を意味し、ものと事柄に対して用いられます。

[例文]

(1) Capisco quanto hanno detto loro.
(彼らが言っていることは全部分かります)

(2) Spende quanto guadagna.
(彼は稼いだぶんだけ使ってしまう)

(3) Hanno potuto avere quanto volevano.
(彼らは望むものを全て得ることが出来た)

3.quanti(quante)は、tutti quelli che(tutte quelle che)を表し、「~する人はすべて」を意味し、ひと又はものに対して用いられます。

[例文]

(1) Possono partecipare quanti lo vogliono.
(それを望む人は誰でも参加できます)

(2) Ti sono piaciute le paste? Prendine pure quante ne vuoi.
(ケーキが気に入ったのね? 好きなだけ食べていいよ!)

(3) Quanti lo conoscono hanno la massima stima di lui.
(彼を知っている人はみんな彼に敬意を払っています)

4.quantoは、名詞と共に用いることも出来ます。しかし名詞の性・数によりquantoの語尾が変化するので注意する必要があります。

[例文]

(1) Ho speso quanti soldi avevo in tasca.
(ポケットにあったすべてのお金を使いました)

(2) Ti posso prestare quanti CD vuoi ascoltare.
(君が聴きたいすべてのCDを貸してあげる)

(3) Puoi prendere quante mele vuoi.
(欲しいだけリンゴを持っていっていいよ)

5.その他の用法
慣用句的にquanto以下の従属節の内容を表します。(quanto+従属節)

[例文]

(1) Faremo quanto è possibile.
(出来る限りのことを僕らはやってみましょう)

(2) Questo è quanto ti ho voluto dire.
(これが君に話しておきたかったことだ)

(3) Per quanto riguarda quell'affare, non so nulla.
(あの件に関しては、私は何も知りません)

F) 関係副詞 dove

先行詞が場所をあらわす言葉のときに、《関係代名詞a cui, in cui, su cui》の代わりに用いる。
使用頻度が高いのでしっかり覚えましょう。

[例文]

(1) La venezia dove sono nato io è la bella città.
(私が生まれたヴェネチアは美しい町です)

(2) L'appartamento dove abito è molto rumoroso.
(私が住んでいるアパートはうるさいです)

(3) Nel centro c'era un bar dove potevamo bere l'espresso.
(町に、エスプレッソコーヒーが飲めるバーがありました)

(4) Il ristorante dove conosco, si mangia bene.
(僕が知っているレストランは、美味しいですよ)

(5) Questa è la trattoria dove si mangia bene e si spende poco.
(こちらが美味しくて安いトラットリアです)

(6) Siamo saliti sulla collina da dove potevamo godere un bel panorama.
(私達は素晴らしい景色が楽しめる丘の上に登りました)

G) 関係副詞 quando

先行詞をとらない関係副詞quandoは、il giorno in cuiのように時を表し、「~の時」を意味します。

[例文]

(1) Ricordo bene quel giorno quando ci siamo incontrati.
(あったその日のことをよく覚えています)

(2) Da quando ti ho vista non ti ho più dimenticata.
(君〈女性〉に会ったその時から君のことを忘れたことがない)

(3) Arriverà proprio in quel giorno quando non ci sarà nessuno.
(彼はちょうど誰もいない日に到着することになるだろう)

(4) Mi hai telefonato il momento quando ti inviavo una mail.
(君にメールを送ろうとしているその時に、私に電話をかけてきた)

単語帳

パスタの名前から学ぶイタリア語 その3

C. 詰め物入りや平打ちパスタなど(Paste ripiena e Altri):

1.パスタの名前:ラヴィオリ(Ravioli)

ジェノバ地方の方言で、「残り物」を意味するravioleが語源。
航海中に、野菜のくずや肉の切れ端をパスタで包み、茹でて食べたことに由来。
クリームやトマトソースがよく合います。ペースト・ジェノヴェーゼをかけて食べても良し。

2.パスタの名前:フェットチーネ(Fettuccine)

「スライス」を意味するfettaが語源。リボンやテープを意味するfettuciaは、さらに薄く切ったものfettucce di patate(ポテトチップス)にも使います。
クリーム系のソースとよく合います。

3.パスタの名前:ラザニア(Lasagne)

古代ローマでは、鍋などをのせる五徳を意味するラテン語lasanum(イタリア語はtreppiede)が語源です。
ホワイトソースやミートソース等を層状に重ねオーブンで焼くパスタ料理。
ジェノバ地方では「シルクのハンカチ」Mandilli de saea(Fazzoletti di seta)というパスタ料理があります。

4.パスタの名前:パッパルデッレ(Pappardelle)

「たらふく食う」を意味するpappareが語源。
幅の広いきしめん状のパスタ。
どんなソースでも合うが、煮込んだ重めのソースが合います。
牛ホホ肉の赤ワイン煮込みが有名です。

5.パスタの名前:タリアッテレ(Tagliatelle)

「切る」を意味するtagliareが語源。
フェットチーネとよく似ているがタリアッテレの方が少し細め。ソースは何でも合うが、ボロネーゼ・ソースで合わせることが多い。

6.パスタの名前:タリオリーニ(Tagliolini)

タリアッテレの細いもので卵の入ったパスタ
生クリームのソースによく合います。キノコやオイル系のソースと合わせることが多くイカスミを練り込んだ魚介のパスタ料理もよく知られています。

7.パスタの名前:スキアフォーネ又はパッケリ(Schiaffone / Paccheri)

「平手打ち」を意味するschiaffo(pacca)が語源。「大きな平手打ち」の意味。
超太のリング状のパスタ。
一般的に、ミートソースや魚介ソース等と絡めて食べます。

8.パスタの名前:カネロニ(Cannelloni)

「管」「パイプ」「ストロー」を意味するcannelloが語源。
筒状のパスタの中に挽肉、刻んだ野菜、チーズなどの具材を入れ、オーブンで焼くパスタ料理。

9.パスタの名前:トルテリーニ(Tortellini)

「ひとひねりすること」「タルト」を意味するtortaが語源。
形状から、別名Ombelico di Venere(ヴィーナスのおへそ)と呼ばれています。
ラビオリのように詰め物をして、それを三角形に折り、両端を合わせて指輪状にしたパスタ。
スープに入れても良し、生クリーム風味のTortellini alla pannaも美味しいです。

「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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