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「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」

石黒 秀嗣

フィレンツェ歴史地区 その1 ヴェッキオ橋 Centro storico di Firenze 1. Ponte Vecchio 1982年登録


スケッチ 樋口佳代

 フィレンツェについては、連載:旅に役立つイタリア語 第3回と第4回でサン・ロレンツォ教会やサンタ・クローチェ教会などについて案内していますので合わせて読んで下さい。

 フィレンツェの町は、古くは紀元前1世紀にカエサルによって建設された古代ローマの植民地都市として生まれました。花の都フィレンツェ(Firenze)の町の名前は、花の女神フローラの町としてフロレンティア(Florentia)と名付けられたことに由来します。場所はちょうどヴェッキオ橋のアルノ川周辺に住んでいたようです。
 12世紀頃から、毛織物や絹織物が発達し、さらに金融業にも力を入れ、フィレンツェ市の百合の紋章が入つたフィオリーノ金貨などを発行し、貿易や王や諸侯たちに貸し付けをして巨額の富を築いたのでした。
 そしてシエナ、アレッツォ、ピサなどを制圧したフィレンツェは、13世紀半ばから14世紀前半にかけてサンタ・クローチェ教会、花のサンタ・マリア・デル・フィオーレ、パラッツォ・ヴェッキオなど現在見られるルネッサンスの壮麗な建物が次から次へと建てられました。そのために有能な建築家や芸術家たちが全国から召集されルネッサンス文化の基礎が築かれました。
 15世紀から16世紀、フィレンツェの町がメディチ家の繁栄とともにルネッサンス文化が開花し栄えることになります。そして今もその貴重な芸術作品や建築物などは大切に保存されており「天井のない美術館」と賞賛されています。
 ヴェッキオ橋(Ponte Vecchio スケッチ画)は、フィレンツェで最も古い橋です。古代ローマ時代からアルノ川の最も狭まった所、今のヴェッキオ橋の位置に橋が架けられたようです。1170年に再建した石造りの橋は、1333年の洪水のため流失してしまいました。1345年、ネーリ・ディ・フィオラヴァンテ(Neri di Fioravante)の監督の下で橋が架けられました。橋は3つのアーチ状の橋桁からなり、両側には商店が建ち並んでおり、殆どが宝石商のお店(gioielleria)となっています。しかし中世の時代には、魚屋、肉屋、毛皮職人の露店が建ち並んでいて、川には店からでるゴミで溢れ、革のなめしのため長く川のなかに浸けられ異臭を放っていました。
 1593年、フェルディナンド1世(1549‐1609)は、悪臭のひどい商店を追放し、装身具点や金銀細工の店と入れ替えさせたのでした。そして今のようなヴェッキオ橋となり観光客で溢れる人気のスポットとなりました。
 ヴェッキオ橋の上部に長い回廊があることに気づくと思います。ヴァザーリの回廊(Corridoio Casariano)と言います。1565年、コジモ1世(1519‐1574)がヴェッキオ宮殿から居所のピッティ宮殿まで群衆と交わらずに行けるようにと、一種の襲撃防止のための回廊を造るようにヴァザーリに依頼します。この回廊は、ヴェッキオ宮殿からウフィツィ美術館を通り、ヴェッキオ橋の上を通しピッティ宮殿まで約1kmの長さにわたります。
 ヴェッキオ橋の入口には防護のために建造された中世の塔「マンネッリ塔」が見えます。よく見るとヴァザーリの回廊はこの塔をよけるように作られていることに気づくでしょう。この塔の所有者であるマンネッリ家は、ヴァザーリの回廊建設用地とするための取り壊し要請に頑固に拒んだ結果、このような形になってしまったようです。

Firenzeへのアクセス
ローマから特急で約2時間、ミラノから約3時間

Ponte Vacchioの写真
http://www.fotoeweb.it/firenze/Ponte%20Vecchio%20di%20Firenze.htm

Firenzeの観光公式サイト
観光インフォメーションオフィス(APT)は、Via Cavour 1 Rosso, Via Manzoni 16,
Borgo Santa Croce 29 Rosso, Piazza Stazioneにあります。

新シリーズ
 ◆誰でもわかるイタリア語 第1回

 「旅に役立つイタリア語」のシリーズは、「町の散歩」では観光地を中心にイタリアの有名な町を紹介しました。「あなたのイタキチ度は?」では質問形式でイタリア雑学を通してイタリアの生活・文化について学びました。「旅に役立つイタリア語」では、出国から入国に至るまで、旅行のいろいろな場面において役に立つイタリア語を紹介しました。
 次の「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」シリーズでは、ガイドブックとは違った視点でイタリアの世界遺産を案内しました。また「生きたイタリア語のフレーズ」では、日常会話で使ういろいろな感情表現などを中心によく使うフレーズをまとめてみました。
 今回から「誰でもわかるイタリア語」と題して新しいシリーズとなります。
 過去2回のシリーズでは、イタリア語の文法は殆ど重要視せずに進めてきました。会話の決まり文句を暗記すれば十分だというレベルもあるでしょう。例えば、イタリアヘ旅行する前に簡単な会話文を勉強して出掛けるというケースです。Buongiorno![ブオンジョールノ](こんにちは)、Grazie![グラーツィエ](ありがとう)、Quanto costa![クアント コスタ](いくらですか)などを覚えて勇気を出して実践します。実際旅行先でそれが通じると嬉しいものです。単語やフレーズを暗記し、それでキャッチボールするだけの会話だと思います。
 イタリア語を勉強する、あるいはイタリア語を身につけるには次のレベルに進まないといけないと思います。イタリア語の文法の基礎を勉強しなければなりません。日本語を喋っている日本人でも日本語の文法について知っているかというと殆どの方が知らないのではないでしょうか!それなのに外国語の文法を学習するということは少し抵抗もあるのではないでしょうか?語学の学習経験から離れている人にとっては文法用語を聞いてもよく分からないというのが実情だと思います。例えば、「定冠詞」、「三人称」、「不定詞」、「過去分詞」、「半過去」や「先立未来」など、もう聞いているだけでもいやになってしまうのではないでしょうか!また参考書などを開いてもみんな同じ文法用語を使って説明しているので、語学の勉強は難しいと思っている方が多いように思います。
 このシリーズ「誰でもわかるイタリア語」では、イタリア語の基礎を文法用語に頼って説明することを出来るだけ避け、誰にもわかるイタリア語にしていきたいと思っています。また「単語帳」のコーナーを設けましたので、少しずつ単語や簡単なフレーズを暗記するようにして下さい。

名詞に男性と女性の区別があるの?

 日本語にも英語にも男性・女性の区別がないのに、イタリア語では全ての名詞が男性名詞か女性名詞にわかれます。
 下に挙げたイタリア人の名前をよく見ると、男性の名前の語尾が‐o、女性の名前の語尾が‐aで終わっています。

男性の名前:Mario[マーリオ], Marco[マルコ], Angelo[アンジェロ],
Carlo[カルロ], Alessandro[アレッサンドゥロ]など
女性の名前:Maria[マリーア], Lucia[ルチーア], Rita[リータ],
Caterina[カテリーナ], Monica[モニカ]など

 しかし、語尾が‐eで終わる名前もあります。例えば、Michele[ミケーレ](男性)、Alice[アリチェ](女性)、Beatrice[ベアトゥリーチェ](女性)のように男性にも女性にもあります。また男性の名前でLuca[ルーカ](男性)、Andrea[アンドゥレーア](男性)のように語尾が‐aで終わる場合もあります。

 名前以外の名詞も全く同じで、基本的には語尾の形で男性名詞(‐o)。女性名詞(‐a)と決まっています。

 決して名詞のイメージから決められていません。

例: libro[リーブロ](男性:本) museo[ムゼーオ](男性:博物館)
  pizza[ピッツァ](女性:ピッツァ) musica[ムージカ](女性:音楽)

 また名詞の中には少数ですが、話尾が‐eで終わる名詞があります。これは男女ともにあるので単語ごと覚える必要があります。

例: pesce[ペーシェ](男性:魚) pane[パーネ](男性:パン)
  carne[カルネ](女性:肉) chiave[キアーヴェ](女性:鍵)

 勿論、男性・女性の性がはっきりしている人の場合はその性に従います。

例: padre[パードゥレ](男性:お父さん) madre[マードゥレ](女性:お母さん)
  zio[ツィーオ](男性: おじさん) zia[ツィーア](女性:おばさん)
  fratello[フラテッロ](男性:兄弟) sorella[ソレッラ](女性:姉妹)

単語帳

  1. Buongiorno![ブオンジョールノ] おはようございます!/こんにちは!(朝から夕方まで使います。)
  2. Buonasera![ブオーナセーラ] 今晩は! (夕方から深夜まで使います。)
  3. Ciao![チャオ] やあ!/ハーイ! (親しみ込めたあいさつ。)
  4. Salve![サルヴェ] やぁ! (若い人や、気の知れた人たちの間でよく使います。)
  5. Grazie! Molto grazie![グラーツィエ モルト グラーツィエ] ありがとう。大変有り難う!
  6. Prego![プレーゴ] どういたしまして!(お礼を言われたら言いましょう。)
  7. Scusi![スクージ] すみません! (道を尋ねたりするときなどに使います。何か失礼なことをした時に謝る場合はMi scusi![ミ スクージ]と言う方がよいでしょう。)
  8. Mi dispiace![ミ ディスピアーチェ] 残念です!(あまりよくないことを聞いて返す言葉です。「それは大変ね!」とか「(それを聞いて)お気の毒です!」という意味です。)
  9. Piacere![ピアチェーレ](Molto piacere[モルト ピアチェーレ]) よろしく! (自己紹介の時に交わす言葉です。)
  10. Arrivederci![アッリヴェデルチ] さようなら!(別れの挨拶でつかいます。ただ相手に丁寧に言う場合は ArrivederLa![アッリヴェデルラ]と言った方がよいでしょう。
「イタリア世界遺産の旅」と「誰でもわかるイタリア語」
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