文化講座
ラヴェンナの初期キリスト教建造物群(Monumenti paleocristiani di Ravenna )
その1 サン・ビターレ教会(Basilica di San Vitale)とガッラ・プラチーディア廟(Mausoleo di Galla Placidia) 1996年登録
スケッチ画 樋口佳代
ラヴェンナはヴェネチアの南約140kmに位置し、エミリア=ロマーナ州の町で、人口が約14万人の都市でモザイクの町としてよく知られています。ローマ皇帝アウグストゥスがアドリア海沿岸に広大な干潟を持ったこの場所に海軍基地を築いた頃から歴史は始まる。402年西ローマ皇帝ホノリウスがゲルマン民族の東ゴート族から逃れるためにミラノからこの地に、西ローマ帝国の首都を移し、西ローマ帝国が滅びた後は、493年に、テオドリックによって東ゴート王国の首都が置かれたのであった。さらに東ローマ皇帝のユスティニアヌスは553年に東ゴートを滅ぼしイタリア統治の拠点として総統府を置き、後8世紀後半フランク王国のピピン3世に滅ぼされるまで、ラヴェンナの街は繁栄しました。東ローマ帝国のイタリア統治の夢は終わりを告げたのでした。
ラヴェンナの駅から町に向かって直ぐ左手に見えるのが、ラヴェンナで現存する最も古い教会、サン・ジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ聖堂(Basilica di San Giovanni Evangelista)です。ローマ皇帝テオドシウス1世の娘ガッラ・プラチーディアによって424年に建てられました。しかし中世以来破壊と改築が繰り返され、今では教会内部に古い時代の円柱が並び、壁面に断片的に舗装用のモザイクが残っているだけです。
サン・ビターレ大聖堂(Basilica di San Vitale スケッチ画)はイタリアを代表するビザンチン様式の教会です。547年にマクシミアヌス司教により献堂された。八角柱の堂内は二層の列柱アーチがぐるりと取り巻いています。八角形をした聖堂内部に入ると大理石による幾何学模様のモザイクが敷き詰められており、壁面はすべて黄金に輝くガラスモザイクにより埋め尽くされており、旧約・新約聖書を題材にしたものが多い。特に目を引くのは内陣の左右の壁面に額縁にはめ込まれたように設置された「ユスティニアヌス帝とその廷臣たち」と「王妃デオドーラとその従者たち」のモザイク画は目を釘づけにすること間違いないでしょう。しかしこのモザイク画に描かれている二人は、現実にラヴェンナに赴いたことはなかったようです。数多くの宗教的主題のモザイク壁画と同次元の空間の中にこの二人を誇らしげに登場させることにより、ビザンチン帝国に於ける政教一致の体制を示したのでしょう。
教会から外に出ると質素な煉瓦造りの小さな聖堂、ガッラ・プラチーディア廟(Mausoleo di Galla Placidia)がひっそりと建っています。中に入ると、外観とは対照的に、モザイクの色彩に目を奪われます。天井全面が美しい藍色に覆われ金色の十字架を取り巻くように99個の金色の星が隙間なく空間を埋め尽くしています。
402年、首都となったラヴェンナにローマから移ってきたガッラ・プラチーディアは、西ゴートの侵入により拉致され南イタリアに連れ去られたり、兄のホノリウスの怒りに触れコンスタンティノポリに追放されたり、ラヴェンナに戻って幼い息子ウァレンティアヌス3世のため摂政体制を敷いてラヴェンナの町を治めたという数奇な運命に弄ばれました。ガッラ・プラチーディアという女性の存在は、ラヴェンナの歴史と深く関わっています。
450年、ローマで死去したガッラ・プラチーディアの遺体が後にラヴェンナに運ばれここに納められました。彼女は皇帝に準ずる「アウグスタ」の称号が与えられ、彼女の肖像を印刻した一枚の金貨が伝えられています。
■ラヴェンナへのアクセス
ボローニャから直通の普通電車で約1時間20分。ボローニャまで特急を利用した場合、フィレンツェから約2時間半、ヴェネチアからは約3時間。
■ラヴェンナの観光と写真http://www.geometriefluide.com/pagina.asp?cat=artebiz
http://www.globopix.net/fotografie/ravenna_1.html
新シリーズ
◆誰でもわかるイタリア語 第11回
「...(A)することを(B)...する」Aの動詞 + Bの動詞というように2つの動詞を一緒に使う場合、2つの動詞を繋げるため、接着剤のような働きをする前置詞aまたはdiを動詞と動詞の間に入れることを学習しました。
しかし、動詞によっては接着剤のような働きをした前置詞aまたはdiを必要としない動詞があります。前回は従属動詞について学習しました。今回も引き続き2つの動詞の間に前置詞を必要としない場合について説明します。
B:動詞piacereの場合:piace + 動詞の原形
シリーズ「生きたイタリア語のフレーズ」第2回(2008年10月号)で、動詞piacere「~が好きです」の使い方について詳しい説明がありますので参考にして下さい。
ここでは「~することが好きです」という表現を学習します。piaceの後ろに動詞の原形(不定詞)をもってきます。
- 1. Mi piace ascoltare la musica.
- ミ ピアーチェ アスコルターレ ラ ムージカ
- 私は音楽を聴くのが好きです。
- 2. Le piace viaggiare all'estero?
- レ ピアーチェ ヴィアッジャーレ アルレステロ
- あなたは海外旅行をするのがお好きですか?
- 3. Non mi piace nuotare in piscina.
- ノン ミ ピアーチェ ヌオターレ イン ピシーナ
- プールで泳ぐのは好きでない。
C:使役動詞の場合:fare・lasciare + 動詞の原形
fare + 動詞の原形で「~させる」の意味になります。
lasciare + 動詞の原形は「~するままにしておく、~させておく」の意味で使います。
- 1. Faccio portare l'ombrello a mio padre.
- ファッチオ ポルターレ ロンブレッロ ア ミオ パードゥレ
- お父さんに傘を持ってきてもらう。
- 2. Mio nipote mi fa sempre leggere il libro illustrato.
- ミオ ニポーテ ミ ファ センプレ レッジェレ イル リーブロ イッルストゥラート
- 私の孫はいつも絵本を読ませます。
- 3. Mi faccia vedere quella gonna in vetrina!
- ミ ファッチア ヴェデーレ クエルラ ゴンナ イン ヴェトゥリーナ
- ショーウィンドーのあのスカートを見せて下さい!
- 4. Lasciamo studiare Mario in pace.
- ラシャーモ ストゥディアーレ マーリオ イン パーチェ
- 私たちはマリオを静かに勉強させておきます。
- 5. Lascio fare come vuole.
- ラッショ ファーレ コーメ ヴオーレ
- 望むようにさせておく。
D:知覚動詞の場合:知覚動詞 + 動詞の原形
sentire(聞く), ascoltare(聴く), vedere(見る), guardare(見る、眺める), udire(聞こえる)などのように知覚や感覚を表す動詞を使うとき、直接動詞の原形をとります。
Sento suonare il pianoforte Maria.(マリアがピアノを弾いているのが聞こえる)
この場合も二つの動詞(sentire と suonare)との間に前置詞を付ける必要はありません。しかし二つの動詞の主語が異なります。この場合sentireの主語は「私」ですが、suonareの主語は「マリア」です。もし「マリア」を強調したいときは、Sento che Maria suona il pianoforte.という文章になります。知覚動詞の後ろに動詞の原形を持ってくると、その動詞の動きの内容や様子を生き生きと表現できます。構文も簡単ですのでしっかり覚えましょう。
- 1. Guardo giocare il calcio mio figlio.
- グアルド ジョカーレ イル カルチョ ミオ フィーリオ
- 私の息子がサッカーをしているのを眺めています。
- 2. Vedo tornare a casa mio padre.
- ヴェード トルナーレ ア カーザ ミオ パードゥレ
- お父さんが家に帰ってくるのが見える。
- 3. Sento Maria cantare spesso nel bagno.
- セント マリーア カンターレ センプレ ネル バーニョ
- マリアが風呂で歌っているのをよく聞きます。
単語帳
前回に引き続き前置詞を使った成句的表現をまとめてみました。ここでは日常会話などによく使うものを選びました。
E. 前置詞 con の場合
- con piacere[コン ピアチェーレ](喜んで)
- Accetto l'invito con piacere.[アッチェット リンヴィート コン ピアチェーレ](ご招待喜んでお受けします)
- con calma[コン カルマ](ゆっくりと、落ち着いて)
- Vorrei visitare il museo con calma.[ヴォッレイ ヴィジターレ イル ムゼオ コン カルマ](美術館をゆっくり見たい)
- con fiducia[コン フィドゥーチャ](安心して、信頼して)
- Ci telefoni con fiducia.[チ テレーフォニ コン フィドゥーチャ](安心して私共にお電話ください)
- con mezzo orecchio[コン メッゾ オレッキオ](上の空で)
- Mio ragazzo mi ascolta sempre con mezzo orecchio.[ミオ ラガッツォ ミ アスコルタ センプレ コン メッゾ オレッキオ](私の彼はいつも私の言うことを上の空で聞いている)
- con ghiaccio[コン ギアッチョ](オンザロック、氷をいれた)
- lo scotch con ghiaccio[ロ スコッチ コン ギアッチョ](オンザロックのスコッチ)
il caffè con ghiaccio[イル カッフェ コン ギアッチョ](アイスコーヒー)
- lo scotch con ghiaccio[ロ スコッチ コン ギアッチョ](オンザロックのスコッチ)
Con piacere! は、紹介されたときのあいさつの会話で、Piacere!(初めまして、よろしく)に対して、同じようにPiacere! 又はCon piacere!(よろしく)と返事を返します。 |
F.前置詞 da の場合
- da solo/a[ダ ソーロ・ソーラ](独りで、自分で)
- Maria prepara il pranzo da sola.[マリーア プレパーラ イル プランツォ ダ ソーラ](マリアは自分で食事の準備をします)
- lontano da[ロンターノ ダ](から遠くに)
- Silvia abita molto lontano da Firenze.[シルヴィア アービタ モルト ロンターノ ダ フィレンツェ](シルヴィアはフィレンツェから随分遠くに住んでいます)
- dal punto di vista[ダル プント ディ ヴィスタ](~の点では、~にかけては)
- Dal punto di vista artistico(turistico, economico politico)...[ダル プント ディ ヴィスタ アルティスティコ トゥリスティコ エコノーミコ ポリティコ](芸術〈観光、経済、政治〉の観点からすると...すると)
- da + 動詞の原形[ダ](~する何か)
- qualcosa da mangiare/bere[クアルコーザ ダ マンジャーレ ベーレ](何か食べるもの・飲むもの)
libro da leggere[リーブロ ダ レッジェレ](読む本)
camera da affittare[カメラ ダ アッフィッターレ](貸部屋)
- qualcosa da mangiare/bere[クアルコーザ ダ マンジャーレ ベーレ](何か食べるもの・飲むもの)
- da per tutto(=dappertutto)[ダ ペル トゥット](至るところに)
- Anche in Italia si trovano i prodotti giapponesi da per tutto.[アンケ イン イターリア シ トゥローヴァノ イ プロドッティ ジャッポネージ ダ ペル トゥット](イタリアでも日本の商品が至るところで見つけられます)