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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶と保健機能食品制度(7)

~お茶のアミノ酸・グルタミン酸~   今回はお茶に多く含まれるアミノ酸の内でグルタミン酸について述べる。グルタミン酸は化学調味料で知られる旨味成分、グルタミン酸ソーダの素になっているものだ。未だ、保健機能食品制度に基づく特定保健用食品や栄養機能食品となっていない。

 グルタミン酸は既に取り上げたことがあるアルギニンと共に茶葉に多く含まれるアミノ酸なのだ。アルギニンは生理活性物質のNO(一酸化窒素)を発生させるためには不可欠のアミノ酸である。

 一方、グルタミン酸はお茶に含まれる代表的な成分、テアニンとカテキン類が茶葉中で代謝合成されるためには不可欠のアミノ酸なのだ。又、血圧降下物質で知られるギャバ(GABA)というアミノ酸が合成されるためにも必要なのだ。このGABAはギャバロン茶と名付けられた血圧降下作用があるお茶の有効成分と言われるものだ。茶葉100グラム中に150ミリグラム以上のGABAを含んでいる緑茶をギャバロン茶と名付けている。しかし、未だ、血圧対策の保健機能食品とはなっていない。本当に有効なら、何故許可を取らないのかと思うのだが。

 GABAの作用機序は不明な点が多い。特に、血液脳関門を通過しないと言われることが問題だ。中枢神経内にあっては血液脳関門を通過することが出来るグルタミン酸から合成されている。又、グルタミン酸も中枢神経作用を持つ。つまり、グルタミン酸を摂取した方が有効と言うことになる。お茶に含まれるGABAは直接脳内に行って作用することにはならないと言うことだ。

 茶葉中にあっては、グルタミン酸からテアニンがまず合成される。更に、テアニンはカテキン類に変わるのだ。それ故にテアニンが多く含まれる上等の緑茶は旨味や甘味が強いことになる。

 一方、日光によく照らされた茶葉を用いる番茶ではテアニンからカテキン類に変わるから、カテキン類が多く含まれるお茶となる。それ故に渋味が強いお茶となる。
以上より、グルタミン酸は旨味成分となる上に、テアニン、カテキン類、GABAが茶葉で合成されるためには必要な成分と判る。つまり、特定保健用食品となり得る機能性成分の前駆物質と言うことになる。その意味で大切なアミノ酸と判る。

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