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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶と老化予防[3]抹茶に期待

老化や癌の予防法を確かとするのは大変なことなのだ。その弱点を利用してか、いい加減な「効く効く」の食品や成分がはびこっている。

日本の栄養試験はまだ国際社会に通用するようなシステムで行われてはいないと理解しておくがよい。栄養試験の行われ方次第で今まで常識的にまで良いと言われている栄養法でも壊れている。例を上げる。減塩は高血圧予防になると思われていた。しかし、近年西欧で行われた2グループの大規模栄養試験で否定されてしまった。その理由が減塩による味覚の変化か、食習慣が変わり、低脂肪、野菜や果物とカルシウム摂取が上がった為の結果だったという。次に本年1月の国際的一流誌に、女性を対象として食物成分が大腸癌予防になるか検討した論文が出た。御利益なしと言うではないか。つまり、健康がらみの食品やその成分の効用は随分不確定な話しが多い。病気予防は単純でないのだ。

話をお茶に戻そう。多くの栄養試験が行われているのは主に西欧が用いる紅茶である。緑茶は今一つはっきりしない。しかし、抹茶については国際社会に通用するような論文は未だ目にしない。

抹茶が他のお茶と異なる点は水溶性の抗酸化物質のポリフェノール(ポリ)やビタミンC以外に脂溶性の抗酸化物質を含むことだ。ビタミンE(E)やカロチノイド(カロ)だ。カロも動物が体内で作ることの出来ないメジャー脂溶性抗酸化物質。その代表がベーターカロチン(ベーター)なのだが予想に反して、米国の合成されたベーターを用いた効用は否定的な結果を出した。複雑で今後の研究が必要。

しかし、人間も抗酸化物質は、水溶、脂溶性の両者が必要だ。それ故、両抗酸化物質を含む抹茶を飲用した栄養試験の結果を待とう。それまではどうしたらよい生活習慣か、いろいろ考えよう。仏国では一人当りのワイン摂取量が日本の70倍位なのだが、心臓死は逆に日本が半分以下。つまり「ジャパンパラドックス」といえる生活習慣がある。

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