文化講座
ウルビーノ:ウルビーノ歴史地区 (Urbino,Centro storico di Urbino)(1998年12月登録)
青山 博さんのスケッチ Duomo イタリア中部のマルケ州にあるウルビーノは、「マルケ州の宝石」と称される中世のルネッサンス芸術の都市。8世紀カロリング王朝時代、侯爵をおいて領主として統治させるMarca(辺境地方の意味)がこの地方に誕生しました。現在のマルケ州の地名の由来は、アンコーナやフェルモなどのmarcaが一つになってマルケ州(marcaの複数形)となっています。
12世紀中頃からこの地方の領主として脚光を浴びるのがモンテフェルトロ一族です。15世紀にはフェデリーコ(Federico da Montefeltro,1422年6月7日-1482年9月10日)の登場によってウルビーノは黄金時代を迎えることになります。
フェデリーコは傭兵隊長として活躍。一度も負けたことのない名将として名を馳せていました。領国支配でも寛容であり、貧窮の者を助け、住民の声をよく聴いたため、すべての住民に慕われたと言われています。一方では、周囲に多くの文化人を集め、ウルビーノ宮廷に優雅なルネサンス文化を栄えさせました。
ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)は、ルネサンス期に造られた宮殿で、要塞としての機能を持たない君主の宮殿です。ディズニーランドのお城のようにその姿は華麗さと優美さを備えています。現在はマルケ国立美術館が置かれており、学芸員の案内により見学が出来ます。特にピエロ・フランチェスカの「キリストの鞭打ち」と「セニガッリアの聖母」は有名で、後ルネッサンス芸術に大きな影響を与えることになります。更にフェデリーコ公の書斎では、壁の全面が褐色の寄木細工で覆われ、また遠近法、とりわけ短縮法を巧みに駆使しただまし絵などは当時の芸術の水準の高さに驚かされることでしょう。
フェデリーコはギリシャ・ローマの古典文芸を愛読し、各地から写本を系統的に収集しました。その蔵書はバチカン図書館をしのぐとも言われています。歴史家ブルクハルトは、ウルビーノの宮廷が全ヨーロッパで最も洗練されていたと賞賛しています。
フェデリーコの意思により宮殿の真横に大聖堂(Duomo)が建てられました。しかし1789年の大地震により1802年に全面的に建て替えられネオゴシック様式になっています。地震の災害を免れたフェデリーコ・バロッチ(Federico Barocci)の「最後の晩餐」(Ultima Cena)は必見です。
ウルビーノは、画家ラファエルロ・サンツィオ(Raffaello Sanzio 1483-1520)の生地でもあります。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスの三大巨匠の一人。聖母の画家としての異名を持つことから分かるように、聖母マリアと幼子イエスを描いた作品が有名。ラファエルロはレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロとはやや歳が離れており、この二人と師ペルジーノから多くを学び、その結果、盛期ルネサンスの集大成とも呼べる絵画作品の傑作を残しています。
またペルージアでの修行時代から画家としての才能は飛び抜けており、若くして独立し芸術の都フィレンツェでの有意義な滞在を送った後、25歳から死去する37歳まで、教皇ユリウス2世からローマに呼ばれ、ヴァチカンの宮廷画家として栄華を極めました。37歳という若さでこの世を去ったラファエルロはローマのパンテオンに埋葬されています。そこには墓碑銘にRAFHAEL SANCTIUS URBINAS(ラテン語)と書かれており、姓のRaffaello Sanzioがラテン語では「聖なる天使ミカエル」を意味しています。ラファエルロはまさにルネサンス美術の完成期をめがけて舞い降りてきた「聖天使ラファエル」を意味したのでしょうか! ちなみに、ミケランジェロは「大天使ミカエル」を意味します。
ウルビーノのラファエルロの生家(Casa di Raffaello)には、幼少の頃に描いたとされる「聖母子」のフレスコ画が残されています。その他には『La muta』(唖の貴婦人の肖像)が国立マルケ美術館にあります。この作品は、1710年にはフィレンツェのピッティ宮殿に所蔵されていましたが、ウッフィツィ美術館の所蔵を経て、1927年にはラファエルロの故郷なのに彼の作品が何もないのは寂しかろうと、『ラ・ムータ』がウルビーノに送られました。肖像のモデルとなった婦人についてはいろいろ説があります。
最後に、フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵のラファエルロの「ひわの聖母(La Madonna del cardellino)」が修復を終え、記念して「L'amore,l'arte e la grazia - Raffaello : La Madonna del cardellino restaurata」の特別展覧会がPalazzo Medici Riccardiにて開催されています。
会期は、2008年11月23日から2009年3月1日まで。
■Urbinoの写真
http://www.fotoeweb.it/PesaroUrbino/Urbino.htm
http://www.comune.urbino.ps.it/multimedia/viste/index.htm
■Urbinoへのアクセス
Urbinoへ行くにはPesaro駅からバスで約45分
RomaのPiazza TiburtinaからUrbino行きの直行便バスがあります。7:30出発でUrbinoには12:30に着きます。
■Urbinoの観光に役立つサイト
観光インフォメーションオフィス
(Uffico Informazioni e di Accoglienza Turistica):
http://www.turismo.pesarourbino.it/
イタリア観光局(Ufficio Turismo Italiano):
http://www.urbinoculturaturismo.it/
■ラファエルロの作品
「ラ・ムータ」 http://cgfa.dotsrc.org/raphael/p-raphae44.htm
「ひわの聖母」 http://cgfa.dotsrc.org/raphael/p-raphae11.htm
生きたイタリア語のフレーズ 第3回
A.『~してもいいですか?』(Posso ~?)
B.『~していただけますか?』(Può (Potrebbe)~?)
A: Posso?は、動詞potere(~出来る)の一人称単数(io=私は)の現在形で、io posso(I can)は「私は出来る」という意味です。「...することが出来る」という場合は、動詞の不定詞(原形)を直接そのまま続けます。しかしその動詞や単語が分からなくても、Posso?(いいですか?)と言って、ジェスチャーで示せばたいていのことは通じますので大変便利な言葉です。
- Posso entrare?
- 中に入ってよろしいでしょうか?
- Posso fumare qui?
- ここでタバコを吸ってもいいですか?
- Posso fare una foto?
- 写真を撮っても良いですか?
- Posso provare questa giacca?
- このジャケットを試着してもいいですか?
- Posso avere la ricevuta?
- 領収書いただけますか?
- Posso usare la carta di credito?
- クレジットカードが使えますか?
- Posso lasciare un messaggio?
- 伝言していただけますか?
B: Può?は、動詞potereの三人称単数の現在形で、「していただけますか?」という意味です。 会話のいろいろな場面でお願いする時に使います。mi(私に・私のために)をつけると気持ちの入った表現となります。
- Mi può dare la mappa della città?
- 町の地図を頂けませんか?
- Mi può portare insieme al dessert un caffè?
- デザートと一緒にコーヒーもお願いします。
- Mi può chiamare al telefonino(cellulare),per favore?
- 携帯のほうに電話いただけますか?
- Mi può spiegare come funziona?
- どう動くのか説明してください。
非人称のsiを使って非人称的に表現することもよくあります。
- Si può usare la carta di credito?
- クレジットカードを使うことが出来ますか?
- Si può fare internet?
- インターネットは出来ますか?
- Non si può accendere la luce(la televisione).
- 電気(テレビ)がつきません。
Potrebbe?は、puòの条件法現在形で、「(できたら)...していただけませんか?」という意味です。相手に対して非常に丁寧に・控えめにお願いする表現ですのでこれも覚えましょう。
- Potrebbe ripetere,per favore?
- もう一度繰り返していただけますか?
- Potrebbe scrivere qua il Suo nome?
- ここにあなたの名前を書いていただけませんか?
- Mi Potrebbe chiamare un taxi?
- タクシーを呼んでいただけますか?
- Potrebbe Cambiare l'asciugamano da bagno?
- バスタオルを取り換えてください。
- Potrebbe farmi un po' di sconto,per favore?
- 少し安くしていただけませんか?お願いします。