「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

スケッチ 青山 博
紀元前7世紀にギリシャの植民地として誕生したナポリは、ギリシャ語のネオポリス「新しい都市」を意味しています。紀元前4世紀にはローマ帝国の支配下に置かれました。しかし西ローマ帝国が5世紀に滅んだ後のナポリは、支配者が目まぐるしく入れ替わりました。まずはランゴバルド族、そしてビザンチンがナポリを支配します。ビザンチン帝国の直属でありながら、小さなナポリ国家を形成し、その後の数世紀がナポリ史上最も輝かしい時代であったと考えられます。
1139年、シチリア王ルッジェーロが率いるノルマンに屈してからは、ホーエンシュタウフェン家の支配下に、13世紀にはアンジュー家が、15世紀にはアラゴン家が、16世紀前半にアンジュー家が衰退し、ナポリはスペインのハプスブルグ家の支配下に入り、18世紀以降はブルボン家による支配を受け、1861年にイタリア王国へ併合されました。
ナポリは、ありとあらゆる時代を経験してきたイタリアでも屈指の歴史的な街であるといえます。特に15世紀から18世紀のナポリは、アラゴン家とブルボン家の支配のもとで文化や芸術も盛んに栄え、またその時代に宮殿や建造物も多く建てられ現在に至っています。
前編では、サンタルチア地区を中心に案内します。
■卵城(Castel dell'Ovo):
サンタルチア港のシンボル的な存在。11世紀ノルマン人のオートヴィル家がナポリを支配すると、要塞として機能を拡大しました。要塞としての城の形は卵とは似ても似つかぬもので、誰もがその名の由来が気になるところです。卵城と呼ばれるのは、城を築くにあたって、基礎の中に卵を埋め込み、「卵が割れるとき、城はおろか、ナポリにまで危機が迫るだろう」と呪文をかけたことが城の名前の由来と言われています。現在は卵城の中を見学することはできませんが、雄大なヴェスヴィオ火山を背景にナポリ湾に浮かぶカプリ島やソレント半島を見渡せるところで、タベの散歩や出会いの場としてナポリ市民が憩う場所となっています。
■カステル・ヌオーヴォ(Castel Nuovo):
この城は中世の時代にアンジュー家が建設した最初の城でした。しかし王の居城として「卵城」は海に近すぎ、「カプアーノ城」は海から離れすぎているということから、アラゴン家のアルフォンソ1世が1443-1453年に全面的に改築し、古い城と区別するために「新城」(Castel Nuovo)と名付けました。城塞は台形で、急斜面の土台の上に銃眼をもつ城壁に囲まれており、四隅には太い円筒形の塔が突き出しています。西側正面左から「見張りの塔」(Torre di Guardia)、「中間の塔」(Torre di Mezzo)、「サン・ジョルジョの塔」(Torre di San Giorgio)、そして海側には「ベヴェレッロの塔」(Torre di Beverello)が聳えています。「中間の塔」と「サン・ジョルジョの塔」の間に挟まれて窮屈そうにあるのが「アルフォンソの凱旋門」(Arco di trionfo di Alfonso)です。アラゴン家のアルフォンソ1世のナポリ入城(1443年)を記念して造られた壮麗な凱旋門で、上下2つのアーチに、彫刻とレリーフの重厚な装飾が施されています。
■王宮(Palazzo Reale):
この巨大な王宮は、国王フェリペ2世のナポリ逗留のために造られた王宮で、17世紀初頭、ローマで活躍していた建築家ドメニコ・フォンターナ(Domenico Fontana 1543-1607)によって建設されました。時代とともに改築や増築が繰り返され、また1837年の火災のため大きな被害を蒙り、そのたびに修復を重ね新古典様式に装飾され今日に至っています。正面の地階はもともとは柱廊であったところを、建築家ルイジ・ヴァンヴィテッリ(Luigi Vanvitelli)が改築し、建物全体の安定性を考えて壁龕(nicchia)が付けられました。1888年にウンベルト1世の要望で、その壁龕にノルマン王ルッジェーロ、アンジュー家のシャルル1世やアラゴン家のアルフォンソ1世など歴代の王8人の像が組み入れられました。
王宮内部には、王宮住居博物館(Museo dell'appartamento storico)があり、王族の華麗な生活を垣間見ることができます。絢爛な室内装飾や家具調度品などを見ることが出来ます。見どころは「宮廷劇場」、「王座の間」、「ヘラクレスの大広間」などがあります。その他にビットリオ・エマヌエーレ3世図書館(Biblioteca Nazionale Vittorio Emanuele III)があり、ブルボン家から受け継いだファルネーゼ家の蔵書から始まったもので、蔵書数は200万冊を超える大変重要な図書館です。
■プレビシート広場(Piazza del Plebiscito スケッチ画):
サン・フランチェスコ・ディ・パオロ教会(San Francesco di Paola)と王宮に囲まれた柱廊の半円形の広場は、19世紀のはじめ、ブルボン家のフェルディナンド1世によって造られました。聖堂よりにブルボン家のカルロ3世とフェルディナンド1世のブロンズ製の騎馬像が立っています。この広場は、いろいろな式典や民衆の祭りに使われていました。今でも音楽ライブや集会などに使われており、ナポリでは人気の場所です。
■サン・カルロ劇場(Teatro San Carlo):
王宮に隣接して建っているこの劇場は、ミラノの「スカラ座」、ローマの「オペラ劇場」と並んで、イタリア三大歌劇場の一つに数えられ、劇場としてはヨーロッパで最古の由緒ある劇場です。
1737年、ブルボン家のカルロ3世の命によリジョヴァンニ・メドラーノ(Giovanni Medrano)が設計を担当しました。
ロッシーニの「モーゼ」と「湖上の美女」、 ドニゼッティの「ランメモールのルチア」などがこの劇場で初演されました。
■ウンベルト1世ガッレリア(Galleria Umberto I):
サン・カルロ劇場の向かいには、近代都市ナポリを象徴するウンベルト1世ガレリア(1887-1890)があります。ミラノにあるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世アーケード(1865-1877)を少し小さくしたようなアーケードで、高さ58mのドーム(円蓋)と屋根は鋳鉄とガラスを使った斬新な構造で出来ており、ナポリの近代的都市の象徴でもあります。
■Napoliの写真
http://www.fotoeweb.it/sorrentina/Napoli.htm
■Napoliの案内
http://www.comune.napoli.it
■アクセス:Romaテルミニ駅からNapoli中央駅まで約2時間。
■カンパニア・アルテカード(Campania Artecard)
指定美術館など2箇所が無料、3箇所目から半額にて入場可能。またナポリ市内の全公共交通機関と指定美術館を巡るシャトルバスなどが無料で利用できます。
料金: 12ユーロ 有効期限:3日間
http://www.napoliartecard.com
■ウニコ ナポリ(Unico Napoli)
ナポリ市内の移動はこのチケットでバス、地下鉄、トラム、
ケーブルカーなど全て乗り放題。
また、ナポリ近郊への便利なバスチケット(Unico Campania)もあります。
料金:90分券(biglietto orario)が1.10ユーロ
1日券(biglietto giornariero)が3.10ユーロ
土日祝日券(big lietto Week-end)が2.60ユーロ
http://www.unicocampania.it/
■物事を比べるときのフレーズII
今回も比較を表すフレーズをまとめてみました。
会話の中で、比較されるものが「同じぐらい~だ」という場合があります。例えば「これも、あれも美味しい」という場合です。「あれも」は、「~ も」(anche)を使って表現できます。また「~のように」(come)を使って表現できます。
■比較されるものの違いを聞くときは、「違い」を表すイタリア語differenzaを使って尋ねます。
■comeを使う比較の表現は、「~と同じぐらい~です」という構文で、「così... come...」あるいは「tanto... quanto」という構文を使います。実際の会話ではcosì・tantoは省略することが多いようです。
■「~と似ている」(simile a ~)または「~と同じである」(~ uguale a ~)を使って表現することも出来ます。
■また会話の中で、「大変(最も)~だ」と強調したいときがあります。副詞(molto, assai)などで強調したり、接頭辞(arci-, stra-, ultra‐, sopra-, extra-, super-)などを付けたりして表します。また形容詞を繰り返して表すこともあります。
| 例: | ricco (お金持ち) | - molto ricco, straricco, ricco ricco |
| forte (強い) | ‐ molto forte, extraforte, forte forte |
| arcicontento (ご満悦の) | stracarico (積みすぎの・過重の・荷重の) |
| ultramoderno (超モダンな) | sopraffino (極上の) |
| extravergine (エクストラバージンの) | supermercato スーパーマーケット |
■形容詞や副詞の語尾を操作して表すことも出来ます。語尾に issimo を付けます。
| 例: | buono | → | buonissimo (=molto buono), bravo → bravissimo, bene → benissimo, |
| magro | → | magrissimo | |
| ただし語尾が -co と -go で終るものは -chi, -ghi に直し ssimo を付けます。 | |||
| 例: | poco | → | pochissimo, stanco → stanchissimo, largo → larghissimo, lungo → lunghissimo |
■以下の形容詞には固有な比較級と最上級があります。それぞれ固有の形容詞としてよく使われます。
| 原級 | 比較級 | 最上級 |
| buono(善い) | migliore | ottimo |
| cattivo(悪い) | peggiore | pessimo |
| grande(大きい) | magggiore | masssimo |
| piccolo(小さい) | minore | minimo |
| alto(高い) | superiore | supremo/sommo |
| basso(低い) | inferiore | infimo |
| 例: | il piano superiore (上の階) | l'uomo migliore (最良な人) |
| la velocità massima (最高速度) | il tempo pessimo (最悪の天気) | |
| la corte suprema (最高裁判所) | la merce di infima qualità (粗悪品) | |
| l'ottima qualita (最高品質) | la maggiore età (成年) |
■「最も(いちばん)~だ」という最上級の表現は、比較の表現とよく似ています。作り方は、「定冠詞+più(meno)+形容詞」で、più の前に定冠詞を付けることを忘れないでください。
「~のなかで」には di を使うのが普通ですが、tra や fra を用いることもあります。
■「これは(それは)~です」を最初に説明し、さらに最上級で表現する構文もよく使われます。作り方は、「定冠詞+名詞+più(meno)+形容詞」の順で表します。
■「いちばん~なものの一つ」という言い方もあります。
uno dei (男性名詞複数) più+形容詞
una delle (女性名詞複数) più+形容詞という構文となります。
| ピアッツァ・アルメリーナのカサーレ地区のローマ時代の別荘 La Villa Romana del Casale di Piazza Armerina 1997年登録 |
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ナポリ歴史地区 後編: ドゥオーモ地区とカーポディモンテ美術館 Centro storico di Napoli 1995年登録 |