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「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

石黒 秀嗣

サヴォイア王家の王宮群 後編:バロック建築 Le Residenze Sabaude 1997年登録


スケッチ 青山 博

 トリノの町は京都の町並みのように碁盤の目となっており、重厚なバロック様式の建物が整然とした街路に点在しています。トリノの玄関口であるポルタ・ヌオーヴァ駅(Stazione di Porta Nuova)は町の中心にあります。駅前に広がるカルロ・フェリーチェ広場(Piazza Carlo Felice)を超えると、王宮(Palazzo Reale)に至るローマ通り(Via Roma)が北に延びており、途中には「トリノの客間」と言われる美しいサン・カルロ広場(Piazza San Carlo)があります。
 サン・カルロ広場にはおしゃれなお店やカフェなどが並んでおり、いつも町の人たちで賑わっています。またポルティコ(柱廊)に囲まれた美しい広場としても有名であり、特に冬場は雪や雨の日が多いトリノではなくてはならない建築空間と言えるでしょう。中央にはトリノの英雄エマヌエーレ・フィリベルトの騎馬像が建っています。広場の南奥には、バロック様式の2つの教会サンタ・クリスティーナ聖堂サン・カルロ聖堂が建っており、広場の背景として装飾的効果を果たしています。
  サン・カルロ広場からローマ通りを更に北へ行くとカステッロ広場(Piazza Castello)に出ます。この広場の中央にはマダーマ宮殿(Palazzo Madama)、広場の正面には左右対称の優美な王宮があります。マダーマ宮殿は、もともとは古代ローマ時代の遺跡があった場所で、17世紀にヴィットリオ・アメーディオ1世の未亡人マリア・クリスティーナ、その後、カルロ・エマヌエル2世の未亡人であるマリア・ジョヴァンナ・バティスタという2人の夫人が住んだことからマダーマ宮殿という名前が付いたと言われています。現在は市立古代美術館(Museo Civico di Arte antica)となっており、中世初期から前世紀までの、特にピエモンテの美術品を収蔵しています。王宮は、1660年に建設され、荘厳なファサードをもつ壮大な宮殿で1865年までサヴォイア家の王宮として使われていました。サヴォイア王家の贅沢な調度品や装飾の数々、彫刻や絵画などの美術品などが展示されています。スカーラ・デッレ・フォルビチ(Scala delle forbici)と呼ばれる玄関の大広間から階上に上がる「はさみの階段」は大変斬新的な作品として有名ですので見落とさないように。また宮殿の背後には広大な王宮庭園(Giardini Reali)が広がっています。この庭園はヴェルサイユ宮殿を創つたアンドレ・ル・ノートル(André Le Nôtre)の設計をもとに1660年代末に完成されたものです。
 王宮の西側に隣接してひっそりと建っているのが、王宮付属の小さな聖堂(Duomo)です。聖堂後陣のサンタ・シンドネ礼拝堂(Cappella della Sindone)は、建築家グアリーノ・グアリーニ(Guarino Guarini)により「聖骸布(Santa Sindone)」を収蔵するために設計されました。聖骸布というのは、十宇架から降ろしたキリストの遺体を包んだ布で、キリスト教世界では聖遺物として代々受け継がれ信仰の対象でした。1453年からサヴォイア王家の所有になり大切に保管されています。一般公開はめったに行われていませんので注意して下さい。
 王宮に向かって西側にあるサン・ロレンツォ教会(Chiesa di San Lorenzo)は、グアリーノ・グアリーニの最高傑作の一つで、 トリノで最も美しい教会と言われています。内部に集中式のプランの中央に載ったクーポラ(円蓋)は8本のリブが交差し、楕円やハート形や五角形の開口部がとられ、教会内部に採光しています。クーポラの天井を見上げると、実にさまざまな幾何学模様が散りばめられておりグアリーニ特有の建築空間が見られます。
 サヴォイア王家の栄華と権力を際だたせるためにトリノおよびその周辺の田園地帯に多くの城や別荘、そして狩猟を目的とした館を多く建造しました。狩猟の為の館ではヴェナリア・レアーレ(Venaria Reale)やストゥピニージ狩猟宮殿(Palazzina di Caccia di Stupinigi)は規模も大きく大変有名です。またマンドリア城(Castello di Mandria)、ラッコニージ城(Castello di Racconigi)、アリエ城(Castello di Agliè)、モンカリエリ城(Castello di Moncalieri)、ゴヴォーネ城(Castello di Govone)、ポッレンツォ城(Castello di Pollenzo)やチェルトーザ・カソット城(Castello Certosa Reale di Casotto)などサヴォイア王家のバロック様式の城が多く点在しています。
 最後に、西へ約10km郊外の丘の上に、スペルガ大聖堂(Basilica di Superga スケッチ画)があります。アルプスを背景にトリノの町を一望できる丘の上にあるバロック建築の美しい大聖堂です。1731年に完成した王室礼拝堂であり、サヴォイア家の王たちとその一族の数多くの墓がここにあります。

■王宮(Palazzo Reale)
 http://it.wikipedia.org/wiki/Palazzo_Reale_di_Torino

■ストゥピニージ狩猟宮殿(Palazzina di Caccia di Stupinigi)
 http://it.wikipedia.org/wiki/Palazzina_di_caccia_di_Stupinigi

■スペルガ大聖堂(Basilica di Superga)
 http://www.parrocchie.it/torino/basilicasuperga/

■観光に便利な乗車券と観光パスについて
トリノ市内および郊外のトラム、路線バス、地下鉄などの公共交通機関は、市内普通切符は1ユーロで70分間有効。1日乗車券は3.5ユーロ。また旅行者用の便利な乗車券もあります。City Sightseeing Torinoは2階建ての赤色の観光バスで、市内観光名所の見学が出来る乗車券で、24時間有効で乗り放題です。料金は15ユーロ。
その他、トリノだけでなくピエモンテ州全域で観光が便利になるTorino+Piemonte Cardもあります。
Citysightseeing Torino YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=NcP2CKmibU&
feature=player_embedded#at=130

Torino+Piemonte Card
http://www.turismotorino.org/prodotti/IT/R9/A268/P1/
TorinoPiemonteCard

生きたイタリア語のフレーズ 第34回

否定を表すフレーズ I
 今回は否定を表すときのフレーズをまとめました。
 肯定文では「...も」はancheを使いますが、否定文ではneancheを使います。
 neanché, neppurenemmenoは、否定の接続詞と接続詞のanche・pureおよび副詞のmenoとの合成語で、「~ もまた...ない」、「~すらも...ない」、「~ さえも...ない」のように否定を強調します。否定文のなかで使うのが一般的ですが、否定を更に強調したいとき単独で文頭に置かれることがあります。続く文章全体も否定されますので、nonを付ける否定文にする必要はありません。

Anche tu vieni con noi?
アンケ トゥ ヴィエーニ コン ノイ
君も僕たちと来るかい?
Vieni al cinema con noi?
ヴィエーニ アル チネマ コン ノイ
僕達と映画を見に行かない?
Non ci penso nemmeno.
ノンチ ペンソ ネッメーノ
行きたくもない。
Se non vai al cinema, non ci vado nemmeno io.
セ ノン ヴァイ アル チネマ ノン チ ヴァード ネッメーノ イーオ
君が映画に行かないなら、僕も行かない。
Non ti aiuto nemmeno se mi preghi in ginocchio.
ノン ティ アイウート ネッメーノ セ ミ プレーギ イン ジノッキオ
たとえ膝をついてお願いしても君を助けない。
Per tutta la serata, Gianni non ha detto nemmeno una parola.
ペル トゥッタ ラ セラータ ジャンニ ノナ デット ネッメーノ ウーナ パローラ
ジャンニは一晩中ただの一言も喋らなかった。
Non la mangerebbe nemmeno il mio cane quella roba.
ノン ラ マンジェレッベ ネッメーノ イル ミオ カーネ クエルラ ローバ
あんなもの、うちの犬さえ食べやしない。
Non ho neppure un soldo.
ノン オ ネップーレ ウン ソルド
金は一銭ももっていない。
Neanche noi ci riposiamo la domenica.
ネアンケ ノイ チ リポジアーモ ラ ドメニカ
私達だって日曜日には休みませんよ。
Nemmeno tu sapresti rispondere.
ネッメーノ トゥ サプレスティ リスポンデレ
君でさえ答えられないだろう。

■会話の中で、「...でも...でもない」とか「...も...も...でない」と言うように、2つのものや事柄などを否定する場合があります。否定の文のなかで「non ~ né A né B」を使います。この場合もを文頭において強調する場合は、nonを付ける否定文にする必要はありません。

Oggi non fa freddo piove.
オッジ ノン ファ フレッド ネ ピオーヴェ
今日は寒くないし雨も降っていない。
Non posso aiutarti darti un consiglio.
ノン ポッソ アイウタルティ ネ ダルティ ウン コンシリオ
私は君を助けることも、助言することも出来ない。
Maria non mi dice no.
マリーア ノン ミ ディーチェ ネ シ ネ ノ
マリアはイエスともノーとも言わない。
Non sono stato a Roma a Milano.
ノン ソーノ スタート ネ ア ローマ ネ ア ミラーノ
僕はローマにもミラノにも行ったことがない。
Non piace a mia moglie caffè tè.
ノン ピアーチェ ア ミア モーリエ ネ カッフェ ネ テ
私の奥さんはコーヒーも紅茶も嫌いです。
Non ho visto queso film quello.
ノン オ ヴィスト ネ クエスト フィルム ネ クエルロ
この映画もあの映画も見ていません。
Non è venuta alla festa Laura Giovanna.
ノンネ ヴェヌータ アルラ フェスタ ネ ラウラ ネ ジョヴァンナ
ラウラもジョヴァンナもパーティには来なかった。
Non mi resterebbe tempo per mangiare per dormire.
ノン ミ レステッレッベ テンポ ネ ペル マンジャーレ ネ ペル ドルミーレ
僕には食べる時間も寝る時間も残っていないだろう。
Pino non ha voglia di fare niente: di studiare di lavorare.
ピーノ ノン ア ヴォーリア ディ ファーレ ニエンテ ネ ディ ストゥディアーレ ネ ディ ラヴォラーレ
ピーノは何もしたがらない。勉強する気も働く気もない。
tu io vogliamo fare come questo lavoro.
ネ トゥ ネ イーオ ヴァリアーモ ファーレ コーメ クエスト ラヴォーロ
君も僕もこのような仕事はしたくない。
oggi domani posso andarci.
ネ オッジ ネ ドマーニ ノン ポッソ アンダルチ
今日も明日も私はそこに行けない。

■その他を使った慣用的表現

non andare né su né giù
(どうにも我慢できない←上にも下にも行かない)

Questo cappuccino è freddo, non mi piace, non mi va né su né giù.
クエスト カップッチーノ エ フレッド ノン ミ ピアーチェ ノン ミ ヴァ ネ ス ネ ジュ
このカップッチーノは冷えているから嫌いだ。どうにも我慢できない。

non avere né capo né coda
(何が何だか分からない←頭も尻尾ももっていない)

Il tuo rapporto, per me, non ha né capo né coda.
イル トゥオ ラッポルト ペル メ ノンナ ネ カーポ ネ コーダ
君の報告書は私には何が何だか分からない。

non fare né caldo né freddo
(関係ない、痛くもかゆくもない←暑くも寒くもない)

Quel problema non mi fa né caldo né freddo.
クエル プロブレーマ ノン ミ ファ ネ カルド ネ フレッド
あの問題は僕には関係ない。
「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」
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