「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

スケッチ 青山 博
ギリシア時代のナポリの都市には東西に延びる三本の幹線道路(Decumano)が敷かれていました。現在ではナポリの旧市街となっています。一番北に位置する「上のデクマーノ」が、今日のサピエンツァ通り(Via del Sapienza)-ピサネッリ通り(Via Pisanelli)―アンティカーリア通り(Via dell'Anticaglia)-サンティ・アポストリ通り(Via Santi Apostoli)に重なっています。「中央のデクマーノ」は今日のトリブナーリ通り(Via D.Tribunari)、そして一番南に位置している「下のデクマーノ」は今日のクローチェ通り(Via B.Croce)の二つの通りから形成されたゾーンを、通称スパッカナポリ(SpaccaNapoli)と呼んでいます。スパッカナポリとは、「すぱっとナポリを真っ二つに割る」という意味です。丘の上からナポリの町を見下ろすと、本当にこの意味がよく分かります。
碁盤の目状に区画整理された旧市街には、沢山の教会や、市民で賑わう広場があります。また下町の風情もあり、お店や露店などが並んでいて町行く人で大変賑わっています。
■ドゥオーモ(Duomo):
ナポリの守護聖人サン・ジェンナーロが祀られている教会。5世紀の初期キリスト教時代の教会があったところに、13世紀末に大聖堂として建てられ、以後は現在に至るまで何度も改築や修復の手が入れられました。聖堂内はドゥオーモにふさわしく壮重で華麗な雰囲気を漂わせています。右側廊の2番目にサン・ジェンナーロ礼拝堂(Cappella di San Gennaro)があります。1527年のペスト大流行の後、ナポリ市民の祈願により、1608-37年にかけてバロック様式で建設されました。祭壇にはサン・ジェンナーロの銀製の半身像があり、その中には彼の頭蓋骨や血液などが聖遺物として納められています。この血液は聖人の殉教のとき(305年9月19日)、盲目をいやされた信徒が集めたと伝えられています。毎年5月の第一日曜日と、9月19日には奇跡祭が行われ、凝固された血液が液体に戻る奇跡が披露されます。これによってナポリの一年の運命を占う聖なるお祭りが今も受け継がれています。
■サンタ・キアラ教会とクラリッセの回廊つきの中庭(Santa Chiara e Chiostro delle Clarisse):
町の人で賑わうジェズ広場(Piazza del Gesu)に、ジェズ・ヌオーヴォ教会と向かい合う形で建っています。14世紀に建てられた教会でナポリ歴代王の霊廟(パンテオン)でもありました。しかし第二次世界大戦で大爆撃を受け、その殆どを焼失してしまいました。焼け跡の残骸の中から甦った今日の教会は、 14世紀のゴシック様式に復元されました。中央祭壇の奥にはアンジュー家のロベルト1世の廟墓が奉られています。ぜひ訪れていただきたいのが併設したクラリッセの中庭で、18世紀のマヨリカ焼きの彩色陶板で庭全体が装飾され、白地の陶板に黄色、緑、青で描かれた植物模様、ベンチの背もたれには「田園風景」や「神話の世界」などのモチーフが描かれています。
■サンセヴェーロ礼拝堂(Cappella Sansevero):
Piazza San Domenico Maggioreのすぐ近くにあり、16世紀後半にサンセヴェーロー族が築いた礼拝堂が、1749年ライモンド・ディ・サングロ公(Raimondo di Sangro)により再建されました。祭壇の前に置かれたジュゼッペ・サンマルティーノの最後の傑作 「ヴェールに覆われたキリスト(Cristo velato)」は最も有名な作品で必見。その優美な仕上げの完成度を表すには言葉もありません。また後陣には、アントニオ・コラディーニの「ヴェールに包まれた謙虚(Pudicizia velata)」があり、バラの花と石碑をもった女性がすっぽりと薄いベールをかぶった彫刻。また「あばかれた欺嚇(Disingnanno)」はジェノヴァ出身の彫刻家フランチェスコ・クエイローロの代表作で、男が太いロープで編んだ網を頭からかぶっている彫刻で、これが大理石で作られているとは思えない素晴らしい作品です。
■カーポディモンテ美術館(Museo Nazionale di Capodimonte):
ナポリの町を見下ろす丘の上に立つ美術館。カルロ7世がナポリ王になって、たった3年後の1738年に王宮の建設が始められましたが、完成するのはちょうど1世紀後の1835年でした。総面積124haの広大な庭園をもっており、1743年にはその庭園に王立の陶器工房を造りました。 17世紀頃からヨーロッパ中に広まった東洋趣味の影響もあり、宮殿のなかでひときわ華やかな輝きを放つのが、王妃マリアの居室として造られた「陶器の間」です。部屋全体が陶器で飾り付けられた大変豪華な空間です。美術館では歴代のナポリ王が収集した美術品の数々を堪能できます。カルロ7世は、その大部分をイタリア最大の美術品コレクターとして名を馳せたパルマ公国のファルネーゼ家の財産を母エリザベッタから譲り受けたのでした。美術館2階から4階に展示があり、2階にはイタリア絵画が、流派ごと、年代順に並べられています。また3階にはナポリ派の絵画、4階には近代・現代絵画が展示されています。なかでもティツィアーノ作の「パオロ3世の肖像」、ジャヴァンニ・ベッリーニ作の「キリストの変容」、ボッティチェッリ作の「聖母子と二人の天使」、そしてマザッチョ作の「キリストの磔刑」はとくに有名です。
■国立考古学博物館(Museo Archeologico Nazionale di Napoli):
1585年、騎兵隊の兵舎として建てられたピンク色の建物ですが、1616‐1777年まで大学として使われていました。ナポリ王となったブルボン家のカルロ3世が母方のファルネーゼ家から継承した厖大な美術コレクションを収蔵しました。現在では、絵画はカーポディモンテ美術館に移されていますので、古代ギリシア・ローマ時代の彫刻や、ポンペイやエルコラーノの遺跡から発掘されたものが多く展示されています。中でも「アレクサンドロス大王とペルシアのダレイオス3世の戦闘」を描いたモザイク画は有名で必見です。
■ドゥオーモ(Cattedrale di Santa Maria Assunta e di San Gennaro)
http://www.duomodinapoli.it/
■サンタ・キアラ教会(Santa Chiara)とクラリッセの中庭(Chiostro delle Clarisse)
開館時間:9:30-12:30/14:30-17:30 休館日:無休 入館料:4ユーロ
http://www.monasterodisantachiara.eu/
■サンセヴェーロ礼拝堂(Museo Cappella Sansevero)
http://www.museosansevero.it/index.php/
■ナポリの教会について
http://it.wikipedia.org/wiki/Chiese_di_Napoli
■カーポディモンテ美術館(Museo Nazionale di Capodimonte)
開館時間:8:30-19:30 休館日:水曜日 入館料:7.5ユーロ
http://www.polomusealenapoli.beniculturali.it/index.html
■国立考古学博物館(Museo Archeologico Nazionale di Napoli)
開館時間:9:00-19:30 休館日:火曜日 入館料:6.5ユーロ
http://museoarcheologiconazionale.campaniabeniculturali.it
■物事を比べるときのフレーズIII
今回は「~と比べると」という比較・参照の表現をまとめてみました。いろいろな表現がありますが、特によく使われる「rispetto a~ 」と「in confronto a ~」のフレーズを取り上げてみました。
■「rispetto a ~」または「a ripetto di ~」は、「~に比べて」「~に比較して」「~に対して」という意味の表現で、物事の程度などを比較したり対比したりするときに使います。
rispettoは、「尊敬、敬意」を意味する言葉です。
■「in confronto a ~」「a confronto di ~」は、「~と比べると」「~に対して」という意味の表現で、物事の比較によく使います。
confrontoは、「比較、対照、対比」を意味する言葉です。
| ナポリ歴史地区 前編: サンタ・ルチア地区Centro storico di Napoli 1995年登録 | 「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」 一覧へ戻る |
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