「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

スケッチ 青山 博
シチリア中部にある小さな町ピアッツァ・アルメリーナは、エンナ(Enna)とカルタジローネ(Caltagirone)の間に広がる森と田園の風景に包まれた丘陵地帯に位置しています。1世紀から5世紀にかけてイタリアと北アフリカを結ぶ交通の要所として発展しました。「ピアッツァ」はイタリア語で「広場」の意味ですが、広場ではありません。人口2万人を超える町の名前です。ここから約5キロ郊外の丘の中腹に古代ローマ時代の別荘があります。しかし12世紀にマンゴーネ山から流れ落ちた土砂によってこの別荘は、農地として土の中にそっくり埋まってしまいました。発掘が開始されたのは1929年になってからです。「カサーレ地区のローマ時代の別荘」(La Villa romana del Casale)と呼ばれているこの別荘の面積は3,500平方メートルもあり、40を超える部屋と回廊には小さな自然石のテッセレ(tessere)を敷きつめた舗床モザイク(mosaici pavimentali)の装飾は、古代ローマ時代のものとしては世界最大規模です。
ラヴェンナ(Ravenna)やモンレアーレ(Monreale)に見られるようなビザンチンのモザイク画とは異なり、その絵柄には宗教色がなく、世俗的な具象や幾何学模様などで構成されています。キューピッドたちが漁をしている様子、イルカと戯れる様子、ビキニ姿の少女たちがボールを投げたり、鉄アレイをもってトレーニングしたりしている様子、子供たちが葡萄などの果物を収穫する様子、4頭の馬車で競技している様子、猛獣狩りの様子など大変ユニークで楽しい題材が描かれています。鮮やかな色彩から微妙なくすみまで、さまざまな色調で陰影が巧みに表現され、生き生きとしたモザイク画装飾の世界が描かれています。
別荘の所有者は、自らをヘラクレスになぞらえ、人々にゼウスとヘラクレスの信仰を説いたマクシミアヌス帝(Maximianus 250-310)であったと考えられています。
現在の別荘は、外から見るとガラス張りの温室のようにも見える別荘ですが、中に入ると床一面にモザイクが装飾されており、その規模といいその豪華さといい圧巻です。別荘の遺跡の見学は、モザイク画を見下ろすように床面から1-2mの高さのところに、鉄骨で組まれた足場を伝わって見学します。
別荘は機能別に配置されており、前庭(Atrio)からは浴場(Terme)、列柱回廊の中庭(Peristilio)と居間と客間を備える楕円形をしたペリステリウム(Peristilio elittico)、そして所有者の私室(Basilica)の三つのセクションに通じています。
浴場には、八角形の冷浴室(Frigidarium)、微温浴室(Tepidarium)と熱浴室(Calidaria)に各部屋が分かれており、床暖房装置も備えられていました。壁や床面には海や入浴に関する場面がモザイクで装飾されています。
コリント式円柱が並ぶ長方形の中庭では、モザイクに動物が描かれています。また北側に並ぶ部屋には、幾何学模様や図像を表すモザイクが施されています。東側には大狩猟の廊下(Corridoio della Grande Caccia)があり、60mもある廊下の床面には野生動物を襲う猛獣の姿を表した壮大なモザイク画に覆われています。南側には楕円形をしたペリステリウムがあり、両側に部屋が並んでいます。そこに「10人娘の広間」(Sala delle Dieci Ragazze)があり、有名なモザイクの「ビキニ姿の少女たち」(Fanciulle in bikini)を見ることが出来ます。奥には三つのアプシス(Abside:半円形の平面で半ドームの天井が架かった構造)を配した大食堂の間(Triclinium)があり、ギリシャ神話のヘラクレス伝説がドラマティックな描写で見事に描かれています。
大狩猟の廊下の奥には後陣をもつ玉座の間(Basilica)があり、その両側には私的な居室が並んでいます。どの部屋も美しいモザイクで装飾されています。有名な「オッデュセウスとポリュフェモス」(Ulisse e Polifemo)のモザイクはここで見ることが出来ます。
この別荘を訪れると、今でも当時の優雅な生活ぶりを窺うことが出来ます。
目下、発掘と修復のため閉館中ですが、今年(2011年)の3月末には開館の予定です。
■ La Villa Romana del Casaleの写真
http://www.globopix.net/fotografie/piazzaarmerina_1.html
http://www.sicile‐sicilia.net/italiano/villaromanadelcasale-foto.html
■ La Villa Romana del Casaleの案内
http://www.villaromanadelcasale.it/
■ 舗床モザイク
http://www.thejoyofshards.co.uk/visits/sicily/romana/
■ アクセス:Catania駅、あるいはCatania空港からバスで約1時間半。
バスの時刻表: http://www.interbus.it/Home/RicercaOrari.aspx
■物事を比べるときのフレーズI
会話のいろいろな場面でよく使う比較を表すフレーズをまとめてみました。
ピュ(più)は「もっと多く・さらに多く」、メーノ(meno)は「もっと少なく・さらに少なく」の意味です。また形容詞に付けて「より多く(少なく)~ である」は、「più(meno)+形容詞」で表し、形容詞を強めたり、弱めたりします。
più bravo/a「より素晴らしい」とかmeno caro/a「そんなに(値段が)高くない」のように使います。
また会話では、プレフェリーレ(preferire)という動詞を使って、「AよりBの方が好きです」(preferire B a A)と言うように、物事を比べて表現することがよくあります。
また物事を比べるときは、「~ より」にあたる言葉は、di又はcheを使います。
名詞や代名詞が比較されるときはdiを、形容詞や動詞などが比較されるときはcheを使います。
【di+名詞(代名詞)】の場合
【che+形容詞・動詞】の場合
(1)比較されるものが形容詞の場合
(2)比較されるものが動詞の場合
(3)比較されるものが名詞でも、その内容が数とか量が比較されている場合
(4)比較されるものが補足語(前置詞十名詞・代名詞)や副詞の場合
| チェルヴェテリとタルクィニアのエトルリア古墳(ネクロポリ) Necropoli etrusca di Cerveteri e Tarquinia 2004年登録 | 「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」 一覧へ戻る |
ナポリ歴史地区 前編: サンタ・ルチア地区Centro storico di Napoli 1995年登録 |