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インターネット公開文化講座

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茶の湯文化は日本のグローカル文化

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

健康で文化的な日常茶飯の生活 6

心の絆・・4

「茶の美学」(淡交社)で哲学者・谷川徹三は茶の湯を構成する四つのファクターとして、社交性、儀礼性、修行性、芸術性を指摘しています。

私はそれに加えて、健康性、平和性が大切と思っています。

「茶の本」(The Book of Tea)で岡倉覚三(天心)は、日本が平和な茶の湯や文芸文化に親しんでいた間は、野蛮国と呼び、血なまぐさい戦争を始めたら文明国と呼ぶならば、いつまでも野蛮国に甘んじようとの主旨を唱えています。

そして、生の術を説く理想に尊敬が払われる時期を喜んで待とうとしているのです。
茶の湯は社会性と修行性を構成ファクターとすることから、貴賎や民族による差別を始めとする人間的格差を越えた自利利他円満平和な超民主主義の人間関係を求めています。

太平洋戦争責任として天皇制の継続憲法九条とをペアーとする連合国側の納得条件たる平和憲法を我が国が受け入れて守ってきたことは茶の湯の平和思想から見れば必然性があります。
まさに、人類文明史的貢献なのです。


共産主義体制は、基本的人権たる個人の自由を保障する「価値観による選択の自由」を抑制したが故に崩壊しました。

また、グローバルな行き過ぎた市場民主主義は、アメリカを起因とした世界金融危機によって一極支配の没落が始まりました。

前回取り上げのポランニー的不安によって、「人間、自然、聖性」に対する信頼が崩れてしまったのです。

経済人・品川正治は、2006年10月には「九条がつくる脱アメリカ型国家 財界リーダーの提言」(青灯社)によって、日本の平和主義による21世紀日本の形を提言しました。

フランスのジャック アタリは2006年11月に「21世紀の歴史 未来の人類から見た世界」(林 昌宏訳、作品社)によって、国家を越えた戦争・紛争たる超紛争の発生と民主主義を超える超民主主義の出現を提言して、利他博愛活動を実践しています。

その著書の日本語版に序文を寄せて「日本はアジアとの交差点、アメリカとの交差点、オセアニア地域との交差点といったように、地球的に重要な拠点に位置しており、この3つの円が交わった部分をうまく組織できれば、つまり、この3つの円を解体するのではなく、3つの円をすべて融合させることが出来れば、日本は多大な潜在的成長力を持ちうるだろう」としています。

私は日本が3つの円をすべて融合させることことの出来るキーは、平和憲法だと思います。
平和な茶の湯文化と平和憲法とを持つ我が国は、ポランニー的不安と地球レベルで広がるバーチャルも含めたノマド(遊牧民)の時代に世界の「中心都市」の可能性を秘めるのです。


信天流喫茶レトロモダン思考によって、自利利他円満な平和をキーとしたノマドとの偽りのない「真面目」な「麁相の心」を持って「心の絆」を築くのです。

茶の湯文化は日本のグローカル文化
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