文化講座
健康で文化的な日常茶飯の生活 8
心の絆・・6
現代はポランニー的不安な時代であると「心の絆・・3」で取り上げました。
人間は労働力として、自然は土地として、貨幣はバーチャルマネーとなって金融デリバティブとして、それぞれがグローバルな市場商品として流通するようになっています。
つまり、信頼があってこその貨幣から人間、自然までも市場資本主義の波を被って商品となっているのです。
喫茶文化の歴史は不安と相互不信の時代に発展しました。
平安時代の学問の神・菅原道真は太宰府に左遷されたことで有名ですが、「
栄西が今日の茶の湯に通ずる喫茶法を我が国に導入したことは、その著「喫茶養生記」とともに知られています。
栄西が悩み多き鎌倉三代将軍・源実朝にその著書と一緒に茶を進呈したのです。
実朝の悩み故の二日酔いと頭痛の改善に喫茶が振舞われたのです。
鎌倉後期、南北朝から戦国時代、安土桃山時代は今日に及ぶ茶の湯文化が胎動し、発展し、創造された時代です。
まず、鎌倉後期から南北朝時代では、闘茶、茶寄り合い、密談性などとバサラ大名・佐々木道譽を代表として躍動しました。
東山文化を築いた室町幕府八代将軍の足利義政も政治的には悩み多い将軍でした。
応仁文明の乱を誘発する原因となる徳政令を頻発したのです。
しかし、ワビ茶は始祖・村田珠光が義政とその同朋衆、一休宗純らの和漢兼帯者達との交流によって、和漢の界を紛らかすことから始まったのです。
戦国時代から安土桃山時代では、ワビ・サビの茶の湯創始者・武野紹鴎らの町衆によって積極的な和風化が行われたのです。
紹鴎は和歌の茶の湯への導入、竹茶道具の工夫、四畳半の茶室と露地の茶庭の工夫などに努めたのです。
そして、千利休は茶の湯に創作・デザインの世界を積極的に進めて、茶碗、茶道具、茶室などを今日で言う前衛芸術家的創造を行ったのです。
その後の茶の湯の世界は躍動的発展をしていません。
現代は、今や、地球レベルの不安と悲惨な正気と恐気が同居する社会で自然と人間が破滅する可能性がある時代となっています。
信天流喫茶は不安な時代にあればこその麁相の心を持って人々との心の絆を求めるのです。