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「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

石黒 秀嗣

ハドリアヌス帝の別荘(Villa Adriana)(1999年登録)

ローマから東へ30キロのとろこにティヴォリという美しい町があります。かつてはティブルと呼ばれていました。古代ローマ時代の重要な道の一つであるティブルティーナ街道は、アペニン山脈を越え、アドリア海沿岸のペスカーラまで続いていました。温暖な気候に恵まれた美しい自然に魅了された皇帝や貴族たちが好んでこの地に別荘を建てました。ティヴォリにはハドリアヌス帝の別荘(Villa Adriana)と、エステ家の別荘(Villa d'Este)の二つの世界遺産があります。今回は賢帝と呼ばれたハドリアヌス帝の別荘を紹介します。


ハドリアヌス帝の別荘(Villa Adriana)


スケッチ 青山 博
 ティヴォリの南西6kmにある約60~70haの広大な敷地にある別荘遺跡。ローマの五賢帝の一人に数えられるハドリアヌス帝(76~138年 在位117~138年)が、皇妃サビーナの地所に20年余りを費やして建設しました。養父のドライアヌス帝から、117年に受け継いだ巨大なローマ帝国の領土を把握するため視察の旅を繰り返しました。そして旅行したギリシャやアレクサンドリアなど各地で見た建物や景色をこの別荘に再現しました。
 カノプス、セラーピス神殿、アカデミア、海の劇場、ローマ共同浴場や図書館などがあり、理想のパックス・ロマーナ(Pax Romana:ローマの平和)を思わせるスケールの大きさに圧倒されます。
 皇帝の死後は、しばらくは後継者たちが利用していたが、高価な大理石や彫刻が運び出されて廃墟化していました。15世紀になってようやく発掘作業が始まりましたが、本格的な発掘、修復は、遺跡がイタリア政府に買い上げられてからで、現在もその発掘作業と研究は今も続けられています。


カノプス(Canopo
 池はナイルの水を引いた運河でアレキサンドリアと結ばれ、セラーピスの神殿で有名なエジプトの町カノーポスを建築によって再現したと見られています。奥のニュンファエウムは、セラーピスの神殿(Tempio di Serapide)とされ、そこにはエジプトやギリシアの神々の模刻が列べられていました。
 ハドリアヌス帝は、ビチュニアの美しい若者アンティノウス(Antinoo)を寵愛しました。しかしエジプト視察中にこの美青年がナイル川で溺死してしまいます。悲嘆した皇帝は盛大な葬儀を行い、追悼記念貨幣を鋳造しました。溺死した場所にアンティノウスの町を建設によって供養を行ったとされています。更に毎年、アンティノウスの誕生日と命日には大記念祭が行われ、ついには神格化され彼の肖像が盛んに造られ祀られたと言われています。

海の劇場(Teatro Marittimo
 イオニア式円柱に支えられた柱廊と丸い島は、環状の運河で隔てられており、その上に可動式の橋がかかっています。島には列柱をめぐらせた中庭を囲むように各部屋を配した小さな宮殿があり、皇帝の憩いの場所であり思索の場所でもありました。その西には「哲学者の間」(Sala dei Filosofi)が、そして東にはギリシア語やラテン語の文献を収めた二つの「図書館」(Biblioteca)が隣接しています。また南には浴場施設の廃墟があり、日光浴・温水浴場の丸い浴場と、三方に柱廊のある冷水浴用の浴槽があります。

浴場(Terme
 女性専用と思われる小浴場(Piccole terme)の周囲はエクセドラのある中庭や庭園に取り囲まれていました。一方、男性用の大浴場(Grandi terme)があり、後陣を備えた広い冷浴室には長方形の屋外プールと、後陣に半円形の浴槽があります。その他この施設の大小さまざまの部屋は一つの円形の部屋の周囲に2組に分かれて配置されています。うち一つが浴槽と湯わかし用のボイラーを備えた熱浴室となっています。

皇帝の宮殿(Palazzo Imperiale
 暖房設備があることから皇帝の冬の宮殿と推定されています。敷地は5万m²で、私室と謁見の間からなる3つの建物が3つの列柱中庭を囲んで配置されています。そして南東端には黄金の広場(Piazza d'Oro)が見えてきます。

そのほかの見どころとしては、古美術館(Antiquarium)、ポイキレ(Pecile)、図書館の中庭(Cortile delle Biblioteche)、テンペのテラス(Terrazza di Tempe)、ギリシャ劇場(Teatro Greco)などがあります。見学には2~3時間は必要と思います。

Villa Adrianaの写真
http://commons.wikimedia.org/wiki/Villa_Adriana

■アンティノウスについて
http://en.wikipedia.org/wiki/Antinous

Tivoliへのアクセス
バスが便利です。ローマ地下鉄B線でPonte Mammoloまで行くと、COTRAL社のバスが出ています。Tivoliの中心Pizza Massimoまで行きます。所要時間は約1時間。また途中Villa Adrianaにも止まります。ティヴォリ市内から5キロのところにあるVilla Adrianaへは市内のCAT社のバス4番でも行くことが出来ます。

Villa Adrianaの開館は9:00~日没1時間半前まで 6.5ユーロ
http://www.tibursuperbum.it/ita/monumenti/villaadriana/index.htm

生きたイタリア語のフレーズ 第6回

Va bene!

イタリア語の会話を聞いていると「Va bene!」という言葉がよく聞こえてきます。また軽く「Vabè」「Vabbè」といったり、方言(dialetto)により微妙に異なった発音をしています。
Vaは、andare(行く)という動詞の三人称単数現在形です。
あいさつの会話で、「Come sta(stai)?」(お元気ですか?)を覚えました。この場合は人が主語です。似た表現で「Come va?」(調子はどうですか?)がありました。この場合は事柄(相手の仕事や生活など)が主語となります。

Come va la vita?
生活のほうはどう?
Come va il lavoro?
仕事の調子はどうですか?
Come vanno le cose?
いろいろ調子どう?

その他にもいろいろな使い方があります。
「Va bene!」 (よいです!)
「うまく行く・うまくいっている」の意味で、「よいです」「OK」「大丈夫」「分かった」などと会話ではよく使う便利な表現です。

Tutto va bene?又はTutto OK?
もろもろすべてOKですか?
Va bene così?
これでいいかい?
Possiamo andare al cinema questa domenica? / Va bene.
この日曜日、映画を見に行かない? / いいですよ。
Ci vediamo stasera a casa mia, va bene?
今夜、私の家で会いましょう、いいですか?
Un caffè, va bene? / Va benissimo, grazie!
コーヒーでいいですか? / 勿論いいです、有り難う!
Queste scarpe sono troppo strette? Adesso vanno bene? /
 Sì, così va bene.
この靴はきつ過ぎますか? 今度は大丈夫ですか? /
ええ、これならいいです。
Va bene questa direzione per arrivare alla fontana di Trevi?
トレヴィの泉へはこの方向でいいですか?
Mi dispiace, ho sbagliato! / Va bene, non ti preoccupare!
ごめんなさい。間違えてしまいました。 / いいですよ、気にしないで!

相手の気持ちを尋ねるときにはti(君に)とかLe(あなたに)を一緒に使うとよいと思います。また「・・・すること(動詞)」をもってきたいときは「di+動詞の不定詞」の形となります。

Ti va un caffè? / Ora non mi va.
コーヒーはどう? / 今はいらない。
Le va di andare con me al ristorante italiano domani?
明日、私とイタリアンレストランへ行きませんか?
Non mi va di stare sempre in casa.
いつも家にいるのは好きじゃない。

Ma va?

「本当に!」「マジかよ!」「冗談じゃない!」「どんでもない!」「まさか!」
「本当に?」の意味では「Davvero?」「È vero?」「Veramente?」をよく使いますが、「Ma va?」は驚いたとき、あきれた時などによく使う表現です。また語調を変えると「まさか!」「とんでもない!」という意味になりニュアンスが少し変わります。

Maria ha deciso di sposarsi con Luca. / Ma va?
マリアがルーカと結婚することを決心したよ! / マジかよ!
Andiamo fino alla stazione a piedi! / Ma va! È troppo lontano.
駅まで歩いてゆきましょう! / 冗談でしょ! 遠すぎるよ!
「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」
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