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「イタリア世界遺産の旅」と「生きたイタリア語のフレーズ」

石黒 秀嗣

パドヴァの植物園 (Orto Botanico di Padova) 1997年登録


スケッチ 青山 博

 パドヴァは、イタリアではボローニャ大学に次いで2番目に古い1222年創立のパドヴァ大学があり、また聖アントニオの巡礼地でもあります。連載『旅に役立つイタリア語』レストランでの会話1「町の散歩」でパドヴァを紹介していますので是非一緒にお読み下さい。
 今回紹介するのは1997年に世界遺産に登録された世界最古の植物園(Orto Botanico)です。植物園といっても現在のような自然と親しむ公園のようなものでなく、薬草園(Giardini dei Semplici)です。ヨーロッパの学問と芸術の多くは古代ギリシャ・ローマの文化にその起源を求めるように、薬草の栽培と研究の歴史も古く、薬草の彩色挿絵に関する著作も多く書かれました。しかし残念なことに大半は失われ断片的にしかその内容を知ることができません。ポンペイなどの遺跡から、住宅の中庭に、芳香や刺激成分をもつ薬草が栽培されていたことがわかります。薬草は「神が定めた自然の効能をもつ」植物と考え、悪魔が生み出した不自然な効能をもつ邪悪な言葉や呪文から人々を守る効果があると信じていたようです。
中世の時代には、薬草の栽培と研究は修道院に引き継がれます。そしてイタリアを中心に都市に大学が創設され、学問研究の場が修道院から大学に移り、薬草の研究も、大学の付属の研究施設としての植物園が誕生することになります。16世紀にはパドヴァ、ピサ、フィレンツェそしてボローニャの大学に植物園が創設されました。
1545年、パドヴァ大学の植物園は、聖ジュスティーナ大聖堂のベネディクト会修道院の領地に、植物学者のフェデリーコ・ボナフェーデ(Federico Bonafede)が発案し、建築家のアンドレア・モローニ(Andrea Moroni)の設計により創設されました。敷地の面積は、2.196ha、輪状の池に囲まれた地球をイメージした円形の庭園となっています。1750年に植樹されたイチョウ(ginkgo)や、1786年に植えられたタイサンボクなどが現在も残っています。近代科学発祥の地であるパドヴァ大学は、解剖外科学を最初に行った大学でもあり、薬草の研究は医学の発展にも大きな貢献をもたらしたものと思われます。
 留学の最初の2年間は、この植物園に隣接するカレッジ(Collegio 学寮)に住んでいて、私の部屋の窓からいつも植物園の自然を親しんでいました。当時はまだ世界遺産ではなかったので、大学の生物学部の研究施設であることぐらいでそれ程関心を持っていませんでした。
しかし1786年、文豪ゲーテがここを訪れたときは私とは違い、大きな刺激を受け彼の植物に対する考えが生まれることになります。それは今も残っているシュロ(棕櫚)またはヤシ(椰子)の木(palma)を見て独自の自然観を得たようです。幼時から植物に親しんでいたゲーテは、この植物園での体験が、後に「植物変態論」(1790年)の中で「花は葉の変態(metamorphos)したものであり、根も茎もすべてが葉である。」と独自の生態論を主張し自然科学者としても大きな関心が寄せられることになります。
現在は周りをガラスで囲われて大切に保護されています。「ゲーテの棕櫚(シュロ)」(Palma di Goethe)という名前が付けられています。
この植物園では、ひまわりの花を、ヨーロッパで最初に開花させることに成功し、またイタリアでは初めてジャガイモの栽培も行われました。歴史を通じて植物学、化学、生態学や薬学に大きな貢献を果たしており、現在でも約6000種の植物が植えられ薬草の栽培や研究が行われています。
植物園の中では、原産地が日本(Giappone)と書かれたものをよく見ます。スギ(Cryptomeria japonica)はその代表的なもので、1828年に植樹されたものです。

Padova植物園の写真
http://commons.wikimedia.org/wiki/Orto_botanico_di_Padova

Padova植物園のホームページ
http://www.ortobotanico.unipd.it/index.htm

■ 植物園の開園時間
4月から10月 9.00 - 13.00 15.00 - 19.00 (毎日)
11月から3月 9.00 - 13.00 (祝祭日閉館)

■ 入園料
一般は4ユーロ
10人以上のグループ又は65歳以上が3ユーロ
小学生から高校生が1ユーロですが、大学生は無料です。

Padovaへのアクセス
Veneziaから約40km、列車で約30分。

生きたイタリア語のフレーズ 第19回

感情を表現するフレーズ その1

 イタリア人は、人とのコミュニケーションを大切にする国民で、顔の表現や様々に身振りや手振りを加えながら会話を表現豊かに話します。しかし外国語で自分の気持ちをうまく表現するのはなかなか難しいものです。だからといってだだ聞き役に回って「はい()」「いいえ(No)」だけでも少し寂しいような気がします。また必要な用件だけを伝える会話だけでも人と人のふれあいが生まれてこないと思います。そこで生きた会話にするために、適当なタイミングで、自分の気持ちや意見を表したり、またあいづちを打ったりするのも、会話のテクニックの一つといえます。

意見を表す表現

Anche io
アンケ イーオ
私も...です(肯定の場合)
Neanche io
ネアンケ イーオ
私も...ないです(否定の場合)
Penso(credo) di sì.
ペンソ クレード ディ シ
そうだと思います。
Penso(credo) di no.
ペンソ クレード ディ ノ
そうではないと思います。
Anche io penso così
アンケ イーオ ペンソ コジ
私もこのように考えます。
Spero! Speriamo!
スペーロ スペリアーモ
(期待をこめて)そうだといいね!
(Sono) d'accordo!
ソーノ ダッコルド
了解です(同感です) 。
Appunto! (Esattamente!)
アップント エザッタメンテ
そのとおりです。
Certamente!
チェルタメンテ
勿論だよ!
Magari!
マガーリ
(願望をこめて)そうだといいんだけど(そうであって欲しい)!
Magnifico!
マニフィコ
すごいね!
Sì, hai ragione!
シ アイ ラジオーネ
そう、(君が)ただしいよ!

相手に問い返す表現

È vero!
エ ヴェーロ
本当ですね!(そのとおりです!)
Davvero?
ダヴェーロ
本当ですか?
Proprio così!
プロープリオ コジ
まったくそのとおりです!

間をとる時の表現: 会話がスムーズに進めばよいのですが、相手の問いに即答ができなくて困ることがよくあります。しかし沈黙していても気まずいし、何かを言わなければなりません。そんなとき間をとるときの表現を覚えておくと便利かと思います。

Allora...
アッローラ
それなら...
Dunque...
ドゥンクエ
そうですね!
Vediamo...
ヴェディアーモ
ええと、そうですね...
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