文化講座
レーティッシュ鉄道 アルプラ線/ベルニナ線と周辺の景観
La Ferrovia Retica nel paesaggio dell'Albula e della Bernina 2008年登録
スケッチ 青山 博
標高1,774mのサン・モリッツ(St・Moritz)駅から標高429mの終着ティラーノ(Tirano)駅を結ぶレーティッシュ鉄道(La ferrovia Retica 全長67km)ベルニナ線、そして同鉄道アルブラ線は、1904年開通した歴史と伝統ある登山列車。美しいアルプスを背景にひときわ目立つ赤い列車が、険しい山岳地帯を約2時間半走ります。この間に、山あり、氷河あり、湖ありと実に変化に富んだ景観が車窓から広がります。是非、ベルニナ急行(Bernina Express)を予約して行かれることをお勧めします。ひときわ大きな窓の開放感あふれる人気のパノラマ車両で絶景を満喫して下さい。車窓からの景色を楽しむのもよいのですが、2日間乗り放題というチケットを買って、途中下車してゆっくりと写真を撮ったり、軽いトレッキングなどで楽しむのもよいと思います。
まずスイスのエンガディン地方を代表するサン・モリッツは、スイス随一の高級リゾート地として知られ、高級なホテルやお店が軒を並べています。また年間平均322日もの晴天率に恵まれ、世界から観光客が訪れます。ツェルマットとの間を8時間かけて結ぶ氷河急行(Glacier Express)も有名で、世界からの利用客で大変賑わっています。
サン・モリッツ駅 | |
↓ | 時速40kmのゆっくりしたスピードでイタリアヘ向けて南下。 |
モルテラッチ氷河(Ghiacciaio del Morteratsch) | |
↓ | スギの樹木の彼方にモルテラッチ氷河が見えてきます。青い空と白い氷河のコントラストが美しい。時間に余裕のある方はここで下車して、片道約45分のハイキングでもいかがでしょうか? |
ディアボレッツァ駅(Diavolezza) | |
↓ | ロープウェーに乗りディアボレッツァ展望台まで上がることが出来ます。アルプスの景観を楽しむことが出来ます。 |
ラーゴ・ビアンコ(Lago Bianco) | |
↓ | 列車は更に高度を上げ進んでゆくと、黒い湖と言われるレイ・ネイルという湖が見えてきます。列車は、湖畔に沿ってカーブを繰り返しながら進み、鉄道の最も標高の高い2,328mの位置にあるラーゴ・ビアンコ(白い湖)の湖畔にある駅に着きます。湖の対岸にはカンブレナ氷河が眩しく輝いており、アルプスの雪解け水が湖に混じり、薄い水色が白く濁ったような色をしています。 |
アルプ・グリュム(Alpus Grüem 2,091m) | |
↓ | 2,091mの断崖絶壁の上にある駅。パリュ氷河が見える。列車は右に左に蛇行をしながら一気に標高を下げ、イタリアに向けて南下します。 |
ポスキアーヴォ(Poschiavo) | |
↓ | エメラルド・グリーンに輝くポスキアーヴォ湖。中世の趣きを色濃く残す街です。 |
ブルージオのループ高架橋(Bruscio) | |
↓ | アルプスを抜け終着駅に近づく頃、最大の見どころであるブルージオのループ橋に差し掛かります。ベルニナ急行のハイライトと言える、世界でも類を見ない360度のループ橋は、狭いスペースのなかで険しい標高をかせぐため、列車は円を描くように周りながら進んでいきます。列車は一気に高度を下げ、高架橋をくぐりに抜けてゆきます。 |
ティラーノ駅 | |
イタリアに向けて南下するにつれ、沿線の雰囲気も徐々に変わっていきます。そしてイタリアのティラーノの街に到着します。 |
ティラーノに着いた広場には、イタリア国鉄ティラーノ駅が建っています。駅前は、バールやレストランなどが立ち並んでおり、食事やショッピングを楽しむ観光客で賑わっています。
標高450m、人口約9,000人のティラーノ(Tirano)の町は、スイスとイタリアの国境の小さな街です。街の見どころはなんと言っても旧市街にあり、ルドヴィーコ・スフォルツァ(Ludovico Sforza,通称il Moro 1452-1508)によって建設された城壁の一部の3つの門が今でも残されています。またサリスの館(Palazzo Salis)をはじめ、貴族たちの館などが建ち並んでいます。また15世紀に建てられたサン・マルティーノ教会(Chiesa di San Martino)や16世紀に建てられた優美なルネサンス様式のマドンナ聖所記念堂(Santuario della Madonna)が残されており、歴史のある街です。
■Treninorossoの写真
http://www.flaviocapra-bernina.net/ViaggioBB.htm
■Tiranoの町の案内
http://www.comune.tirano.so.it/
■アクセス:MilanoからTirano,TiranoからSt.Moritzまでそれぞれ約2時間半
■Bernina鉄道についての観光情報
http://www.flaviocapra-bernina.net/Treni-RhB.htm
http://www.treninorosso.com/index.php?lang=it
■St.Moritz - Tirano絶景ルート
http://www.myswiss.jp/routeguide/index.html?r=Bernina
生きたイタリア語のフレーズ 第28回
感情を表現するフレーズ その10
自分の感情をうまく表現することは会話の中では大切だと思います。生きた会話にするためにもただ質問したり、答えたりという繰り返しの会話でなく、自分の感情をできるだけ率直に表現することが大切だと思います。日本人は自分の気持ちを言葉で表現することが少し苦手なように見えます。それに対してイタリア人は自分の気持ちをジェスチャーで表現したり、言葉で表現したりすることが大変うまいです。喜怒哀楽がイタリア語で表現できれば、相手にもわかりやすく、楽しい会話になり、本当の意味で人と人の触れ合いが会話によって生まれてくると思います。
今回も、会話を繋げるための表現を取り上げてみました。
■会話を繋げるためのフレーズ(2)
「実際、実は」を表す「インファッティ(infatti)」という言葉は、話している内容が事実であることを認めたり、その事実によって引き起こされた結果を述べるときに使います。
- Ieri non ti ho visto alla festa di Maria.
- イエーリ ノン ティ オ ヴィスト アルラ フェスタ ディ マリーア
- 昨日、マリアのパーティーで君を見かけなかったよ。
- Infatti ero a casa con il raffreddore.
- インファッティ エーロ ア カーザ コン イル ラフレッドーレ
- 実際、風邪で家にいたんだ。
- Ma è vero che l'aereo è in sciopero?
- マ エ ヴェーロ ケ ラエレオ エ イン ショペロ
- 飛行機がストライキしているって本当なの?
- Sì, infatti non posso partire per l'Italia.
- シ インファッティ ノン ポッソ パルティーレ ペル リタリア
- ええ、実際、イタリアに発つことが出来ません。
反対に、話している内容にただ否定するだけでなく、率直な自分の気持ちを述べるときに使うのが「それどころか、むしろ」を表す「アンツィ(anzi)」という言葉です。
- Ti disturbo?
- ティ ディストゥルボ
- お邪魔かしら?
- Anzi!
- アンツィ
- とんでもない!(反意的に)
- Questo libro non è noioso, anzi è molto divertene.
- クエスト リーブロ ノネ ノイオーゾ アンツィ エ モルト ディヴェルテンテ
- 退屈な本でなく、それどころかとてもおもしろい。
「しかし」を表す「マ(ma)」よりやや強い反意を表す言葉「それにもかかわらず、しかしながら」が「ペロ(però)」という言葉です。やや強い驚きなどを表す言葉でもあります。
- Se anche non puoi perdonargli devi però vederlo.
- セ アンケ ノン プオイ ペルドナルリ デーヴィ ペロ ヴェデルロ
- 例え君が彼を許すことが出来なくても、彼に会うべきだ。
- Che ne dici di questo orologio?
- ケ ネ ディーチ ディ クエスト オロロージオ
- この時計どう思う?
- Però! Mi sembra troppo caro.
- ペロ ミ センブラ トゥロッポ カーロ
- おやまあ!高すぎるよ。
相手の話している内容に肯定的にあいづちをうつ言葉には次のようなものがあります。
- È vero!
- エ ヴェーロ
- 本当だ!
- Esatto!
- エザット
- そのとおりだ!
- Giusto!
- ジュスト
- それは正しい!
- Certo!
- チェルト
- 勿論!
- Proprio così!
- プロプリオ コジ
- 正にそのとおりだ!
- Ho capito.
- オ カピート
- なるほど。
- Ah, già!
- ア、ジャ
- あ、そうだ!(話しているさなか、思い出しながら使います)
最後に、相手の話の内容にただ聞き入るだけでなく、生きた会話にするには気持ちを言葉で表さなければなりません。賛成したり反対したりするときの気持ちを言葉で返さなければなりません。
■賛成を表すフレーズ
- Sono d'accordo.(=D'accordo)
- ソーノ ダッコルド
- 了解。(わかりました)
- Anche io penso così.
- アンケ イーオ ペンソ コジ
- 僕もそう思う。
- Mi sembra giusto.
- ミ センブラ ジュスト
- 正しいと思う。
- Mi pare di sì.
- ミ パーレ ディ シ
- そうだと思う。
- Hai ragione.
- アイ ラジオーネ
- 君は正しい。
- Buona idea!
- ブオーナ イデーア
- よい考えだ!
- Sicuramente!
- シクラメンテ
- 勿論!
- Naturalmente.
- ナトゥラルメンテ
- 当然!
- Va bene!
- ヴァ ベーネ
- いいですよ!(オーケー)
日にちなどを決めるとき次のように聞かれます。
- Che ne dici di domani?
- ケ ネ ディーチ ディ ドマーニ
- 明日はどう?
他の人についてはわからないが、自分は大丈夫だという場合は、
- Per me va bene.
- ペル メ ヴァ ベーネ
- 私はそれでいいですよ。
■ 反対を表すフレーズ:基本的には、賛成を表すフレーズを否定する「ノン(non)」を付けることによって反対を表すフレーズとなります。
- Non sono d'accordo.
- ノン ソーノ ダッコルド
- 了解していません(賛成できません)。
- Io non la penso così.
- イーオ ノン ラ ペンソ コジ
- 私はそうは思わない。
- Non ci credo.
- ノン チ クレード
- そんなこと信じないよ。
- È impossibile!
- エ インポッシービレ
- ありえないよ!
- Non è vero!
- ノンネ ヴェーロ
- ウソだ!
- Non dire assurdità!
- ノン ディーレ アッスルディタ
- ばかなこと言うなよ!