文化講座
ローマ歴史地区・教皇領とサン・パオロ・フォーリ・ムーラ大聖堂 (Centro storico di Roma,le Proprietà della Santa Sede che
godono dei diritti di extraterritorialità, e San Paolo Fuori le Mura)(1980・1990年登録)
スケッチ 青山 博
ヴァチカン市国とは別に、ローマ歴史地区では多くの歴史遺産を訪ねることが出来ます。代表的な「トレビの泉」と「コロッセオ」については、『旅に役立つイタリア語』第1回と第2回で扱いましたので是非お読み下さい。
今回はBasilica di San Paolo Fuori le Mura(城壁の外にあるサン・パウロ大聖堂)について説明したいと思います。
キリストの使徒の一人である聖パウロの墓の上に建てられた教会です。ローマの四大聖堂の一つです。(注1)
では何故fuori le mura(城壁の外にある)という言葉が付いているのでしょうか?まだキリスト教が受け入れられなかった時代は、Romaの城壁の中には教会は建てることが出来ませんでした。
聖パウロは64年、皇帝ネロの時代に斬首され殉教し、後パウロの遺体はこの地に埋葬されました。
386年、キリスト教を公認したコンスタンティヌス帝によって、聖パオロの墓の場所に教会が建てられました。
しかし1823年の7月15日の夜、大火災で教会は壊滅的な被害を受けました。
フランスの文豪スタンダール(Stendhal 1783‐1842)は『ローマ散策』のなかでつぎのように書き描いています。「私は火災の翌日、サン・パオロ大聖堂を訪れました。私がそこで見たものは、モーツァルトの音楽のみが伝えることが出来るような峻厳で物悲しげな美しさという印象でした。すべてが、この悲しむべき出来事のもたらした災禍と混乱を物語っていました。聖堂の建物は、半分燃え尽きてまだ燻っている黒焦げの梁に埋もれていました。ちょっとした振動で、縦に裂けた円柱から大きな塊が崩れ落ちる恐れがありました。愕然としたローマの人たちの群衆が火災にあった教会を見に行きました。かつて見たこともない壮観な光景の一つでした」
スケッチ 青山 博
現在の大聖堂は当時の教皇12世によって、原形に忠実に修復再現されました。地下鉄サン・パオロ駅で降り、オスティエンセ通り(Via Ostiense)に沿って歩いていくとまず目に入るのが、大聖堂の後陣に通じる古い入口(スケッチ)です。そこから大聖堂を囲むように186本の白い大理石の美しい回廊が並んでいます。そして内陣に通じる柱廊玄関が整備され、ファサードは金色のモザイク画で飾られ、手前には聖パウロの像が建っています。
聖堂内陣は壮大な五廊式で、華麗でスリムな天蓋があり、聖パウロのお墓がその下に祀られています。中央祭壇のすぐ脇に柱のように立っているのが1170年頃に制作された復活祭用の燭台(スケッチ)で高さ6mもあり、そこには新約聖書の歴史が刻み込まれています。後陣のモザイク画は奇跡的に火災から免れた数少ない部分で「玉座のキリストと四聖人」が描かれています。また中央には聖パウロが繋がれていた鎖(catena)が祀られています。
2008年6月28日から2009年6月29日までの1年間を使徒パウロ生誕2000年を祝って「パウロ年」(Anno Paolino)と定めいろいろな行事が行われています。
(注1) 四大聖堂: San Pietro(Vaticano),San Giovanni in Laterano,
Santa Maria Maggiore,San Paolo Fuori le Mura
■Basilica di San Paolo Fuori le Muraの写真
http://www.rome-roma.net/basilica-san-paolo-fuori-le-mura.html
■Basilica di San Paolo Fuori le Muraへのアクセス
地下鉄B線を利用して、テルミニ駅から6つ目の駅「サン・パオロ駅」で下車、徒歩数分。
■Basilica di San Paolo Fuori le Muraについての資料
7:00~ 19:00 入館料無料
http://www.vatican.va/various/basiliche/san_paolo/index_it.html
生きたイタリア語のフレーズ 第5回
『Amore mio!』
「生きたイタリア語のフレーズ」第2回でpiacere(~が好きです)の使い方を説明しました。
- Mi piace questa canzone.
- 私はこの歌が好きです。
- Mi piacciono queste scarpe italiane.
- 私はこのイタリアの靴が好きです。
- Mi piace viaggiare all'estero.
- 私は海外へ旅行するのが好きです。
以上のようにpiacereの対象は物や事柄でした。 ではその対象が人だったらどうでしょう!
「僕は君が好きだ!」と言う場合、Mi piace tuとは言わず(Tu) mi piaciと言います。piacereという動詞は自動詞ですので、直接目的語を取ることが出来ません。「 ... にとって」という間接補語(a +人)をとり、「君は、僕にとって好ましい」という形になります。勿論「僕のこと好き?」と言う場合は「僕は君にとって好ましい?」ということになりますのでTi piaccio?ということになります。
例えば次のような会話で
- Maria,sei carina e simpatica! Mi piaci!
- マリア 君は可愛くて感じが良い!僕は君が好きだよ!
に対して、「僕も好きだよ」をAnche io!と答えると間違いで「僕も僕が好き」の意味になってしまいます。Anche tu!と答えなければいけません。
piacereという動詞は、気に入っているとか好みが合うとかという意味合いで使うことが多いです。
それに対して「Ti voglio bene」(君のことが好きです。)という表現は、恋人同士以外にも、友達の間で、又は家族の間でもよく使われます。街の壁やトイレなどに見掛ける落書きや、最近ではメールなどにもよくお目見えするT.V.B.はそれを略した文字です。
- Ti voglio tanto bene.
- 君のことが本当に好きです。
- Mamma! Ti voglio bene sempre.
- いつもお母さんのこと思っているからね!
最後に、Ti amo!(君を愛している)という言葉は、どちらかというと恋人との間とか夫婦の間で使われることが多く愛情告白に使われますので、あまり日常的に軽い気持ちで使うのは勧めません。
それに対してamore(愛)という名詞はよく日常的に使います。恋人や子供など好きな人に対してAmore mio!と呼びかけます。「私のいい人!」とか「私の可愛い子!」の意味です。自分の子供に対してはMio tesoro!「私の宝物」もよく使います。
■その他の恋愛感情を表す代表的なフレーズを紹介しましょう。
- Sono innamorato/a.
- (恋をしています。)
- Mi sono innamorata di lui.
- (彼に恋をしています。)
- Sono pazzo di lei.
- (僕は彼女に夢中です。)
- Anna mi fa impazzire.
- (アンナは僕を夢中にさせる。)
- Muoio dalla voglia di vederla[vederlo].
- (彼女・彼に会いたくてたまらない。)
- Penso sempre a te, giorno e notte.
- (いつも君のことを考えています。)
- Non riesco a toglierti dalla mia mente.
- (君のことが頭から離れない。)
- Non posso vivere senza te.
- (君なしでは生きられない。)
- Ti amo con tutto il cuore.
- (心の底から君を愛している。)
- Ti amerò per sempre.
- (君を一生愛し続けます。)