愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

旅に役立つイタリア語

石黒 秀嗣

列車旅行での会話 その2

ステップ1 町の散歩

銀行城下町 : シエーナ(Siena)

 

シエーナはフィレンツェから南に約60㎞に位置し、標高332m、人口約57,000人のトスカーナ州にある町です。中世の面影が色濃く残っており、あたかも時計の針が中世で止まっているようです。三つの丘の上に造られた街で、周囲は中世の城壁に囲まれており、坂道が多く、歩いていると不思議に街の色が煉瓦色の赤茶色の建物が目立ちます。シエーナ南部はテラコッタ(terracotta)の産地で、この色がまさにこの町の色なんでしょう。絵の具にもシエーナ色があるようです。また歩いているとローマでよく見かける「牝狼に育てられる双子の兄弟ロムルスとレムス」の彫刻をよく見かけます。伝説ではロムルスによりローマを建国したことはよく知られているところですが、一体どうしてここシエーナでよく見かけるのでしょうか!兄に殺されたレムスの息子セニウスとアスキウスはローマを逃れてシエーナを建国したと伝えられており、シエーナはセニウスの名前に由来しています。

ローマ時代には軍事植民都市として栄え、中世・ルネサンス期にはローマと北ヨーロッパを結ぶ主要街道上にあったため、両替所が生まれ、やがては銀行業へと発展し銀行城下町としてのシエーナの繁栄を確固たるものにしたのでした。
隣国のフィレンツェとは長く激しい敵対関係にあって抗争が絶えませんでした。シエーナが最も栄えた時代は、「モンタペルティの戦い」(1260年)でフィレンツェに勝利をおさめてから約2世紀ぐらいの間でした。勝利の感謝の気持ちを示そうとして、シエーナの人々は芸術家たちに立派な聖母像を描くよう制作を依頼します。その代表作がドゥッチョの傑作「荘厳の聖母」(Maestà)で戦勝50年を記念して大聖堂の主祭壇を飾ることになる。現在は大聖堂横に造られた大聖堂付属博物館で見ることが出来ます。その他ロレンツェッティ兄弟、シモーネ・マルティーニ、ベッカフーミなどシエーナ派の画家たちの作品には「聖母」を描いたものが多いことに気付くでしょう。

カンポ広場

街の中心は、カンポ広場(Piazza del Campo)で煉瓦を敷きつめた扇の形をしており、白い大理石で9分割に目地取りされているのは市政を担った9人委員会の象徴とされている。手前の華麗なシルエットを見せながら聳えている102mもあるマンジャの塔(Torre del Mangia)とプッブリコ宮(Palazzo Pubblico)が、ちょうど広場の遠近法の消失点の位置を占めるかたちで調和のとれた美しい広場で、市民の憩いの場でもある。

パリオのお祭り
 

最後に、シエーナを観光地して脚光を浴びるようになったのは、1147年から引き継がれてきた競馬"パリオ"のお祭りです。これはシエーナに聖母が出現したという、7月2日と8月16日の「聖母被昇天祭」が年2回ここカンポ広場で行われます。パリオはシエーナの人々にとって誇りであり結束の象徴でもあり、街を17の地区に分割されたコントラーダ(contrade)といわれる自治組織の対抗競馬であり、ここでも聖母像の描かれた優勝旗(Palio)を獲得するためにすさましい競馬が繰り広げられるのでした。

ステップ2 あなたのイタキチ度は?

イタリアについての常識問題にチャレンジして下さい!
  1. 童話『ピノッキオ』の作者は誰でしょうか!
  2. イタリア北部を横断しているイタリアで最も長い川の名前は!
  3. イタリアで最も標高の高い山の名前は!
  4. 毎年行われているクラッシクカーレースの名前は!
  5. 料理やドルチェに使われるシチリアのワインの名前は!

ステップ3 列車旅行での会話 その2

予約するところでの会話

  • Prenotazione(Reservation)と書いてある予約専用の窓口へ行って予約します。予め行き先や出発の日時などメモしたものを準備しておくとよいでしょう。そのメモを見せて次のように言いましょう。
  • Vorrei prenotare questo treno!
    ヴォッレイ プレノターレ クエスト トゥレーノ
    この列車を予約したいのですが!
  • 次に予約するときの注意:イタリアでは多くの列車がコンパートメント(scompartimento)式になっており、車両の片側に廊下(corrdorio)があり、その反対側に客室が並んでいます。予約する際、窓側の席か通路側の席か、又は禁煙席(posto di non fumatori)か喫煙席(posto di fumatori)か希望を言います。
  • Vorrei un posto di non fumatori e vicino al finiestrino.
    ヴォッレイ ウン ポスト ディ ノン フマトーリ エ ヴィチーノ アル フィネストゥリーノ
    禁煙で窓に近い席をお願いします。
  • 少し表現は難しくなりますが、「~に面する」(dare su ~)という熟語を使って表現することも出来ます。
  • Vorrei avere un posto che da sul finestrino(corridorio)e di non fumatori.
    ヴォッレイ アヴェーレ ウン ポスト ケ ダ スル フィニストゥリーノ(コッリドーリオ)エ ディ ノン フマトーリ
    禁煙で窓(通路)側に面した席をお願いします。
  • 次に、予約するとき必ず日時を言わなければなりません。自信がなければ書いたメモを見せるのが一番簡単で確実に伝わると思います。もしイタリア語で予約したいのであれば、まず日にちの前には定冠詞 il 、時間の前には alle を付けることを覚えましょう!その日の予約であれば ペル オッジ(Per oggi!)、又は明日の予約であれば ペル ドマーニ(Per domani)で間に合いますが、例えば
    Vorrei prenotare per il (giorno) dieci(10) alle otto(8).
    ヴォッレイ プレノターレ ペル イル(ジョルノ)ディエチ アッレ オット
    10日の8時に予約したいのですが!

車内での会話

  • 日本のように「自由席」「指定席」が車両で分かれていません。車両に乗ったらコンパートメントのガラス扉に座席番号の横に「予約席」を意味するプレノタート(Prenotato)と書いてなければ空いていると言うことです。もしお客さんがいたら次のように尋ねてください。
  • È libero questo posto?
    エ リーベロ クエスト ポスト
    この席空いていますか?
  • いろいろな返事が返ってくると思います。
  • ノン ロ ソ Non lo so!(分かりません!)
    シ プレーゴ Sì,prego!(ええ、どうぞ!)
    ペンソ ディ シ Penso di sì.(と思いますよ!)
    ノ、エ オックパート No, è occupato.(いいえ、ふさがっていますよ!)
  • もし自分が予約している席に座っている場合には、指定席券を見せて次のようにハッキリ言いましょう!
  • Scusi! questo è il mio posto.
    スクージ クエスト エ イル ミオ ポスト
    すみません!ここは私の席なんですが!

  • もし直接言う勇気がなければ、車掌さん(controllore)にお願いしてもよいでしょう!
  • Qualcuno è seduto al posto che ho prenotato.
    クアルクーノ エ セドゥート アル ポスト ケ オ プレノタート
    予約した私の席に誰かが座っています。
  • 最後に、検札にくる車掌さんにいろいろ尋ねてみましょう!
  • Per andare ad Assisi dove devo cambiare?
    ペル アンダーレ アドゥ アッシジ ドーヴェ デーヴォ カンビアーレ
    アッシジに行くには何処で乗り換えるのですか?
    C'è subito la coincidenza?
    チェ スービト ラ コインチデンツァ
    直ぐに接続の列車ありますか?

    Quanto tempo c'è per cambiare treno?
    クアント テンポ チェ ペル カンビアーレ トゥレーノ
    乗り換えの時間はどれくらいありますか?

    Vorrei cambiare questo biglietto con uno di prima classe.
    ヴォッレイ カンビアーレ クエスト ビリエット コン ウーノ ディ プリーマ クラッセ
    この切符を一等に変えたいのですが!

    Si può mangiare sul treno?
    シ プオ マンジャーレ スル トゥレーノ
    列車で食事が出来ますか?

    Sì,c'è il vagone ristorante e il bar.
    シ チェ イル ヴァゴーネ リストランテ エ イル バール
    はい、食堂車とコーヒーショップがあります。
ステップ2の答え
  1. カルロ・コッローディ(Carlo Collodi: 1826-90)
    実はペンネームで本名はCarlo Lorenziniと言い、フィレンツェ出身です。ピストイア(Pistoia)郊外にあるCollodiの町にあるVilla Garzoni荘で彼の祖父が管理人であったことから、子供の頃しばしばそこに滞在し、思い出の場所でもあり、ペンネームにその地名を付けたようです。世界中に読まれているこの本のタイトルはイタリア語で「Le avventure di Pinocchio.Storia di un burattino」(ピノッキオの冒険:ある人形の物語)といい1881年に書かました。童話として親しまれただけでなく、教育書としても長い間影響を与えました。Villa Garzoniにはピノッキオ公園(Parco di Pinocchio)があるのでピサ(Pisa)へ行く途中立ち寄って、ピノッキオの童話の世界を体験するのも良いのではないでしょうか。
  2. ポー川。
    延長652m、ポー川流域には稲作が盛んで米の産地としても有名です。
  3. イタリア・スイス国境沿いにありイタリア側には標高4,634mのモンテ・ローザ(Monte Rosa)があり。一方スイス側には標高4,478mのマッターホルンが聳え立っています。イタリア語ではモンテ・チェルビーノ(Monte Cervino)と言います。
  4. ミッレミリア(Mille Miglia)。
    1927年から1957年の間に行われた伝説的な公道自動車レースで、北イタリアのブレシアからローマ間を往復するレース(1000マイル: イタリア語でmille miglia)。しかし1957年アルフォンソ・デ・ポルターゴ(Alfonso de Portago)侯爵がドライブしていたフェッラーリが観衆を巻き込む大事故を起こしたため中止となり、30年間の輝かしい歴史に幕を閉じることになりました。しかし、現在ではクラッシクカーレース(Mille Miglia Storica)として毎年開催されています。
  5. シチリア島の西海岸に位置するマルサーラ(Marsara)で作られているマルサーラ酒で、仔牛のスカロッピーネや、ティラミスやサバイオーネなどのドルチェにはこのマルサーラ酒が使われています。
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