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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

茶道裏千家・故千登三子家元夫人と日本女性

裏千家の家元夫人がこの三月九日に亡くなられた。私も裏千家の準教授を拝受しており、お世話になっている。しかし、故人は私が所属しているかどうかをご存じない頃よりご支援下さった。私の茶に関する文や本に初めから温かい目を注いで下さっていたことを忘れることは出来ない。心残りなことに、直接、お話することなく昇天されてしまった。

愛知県共済が行う「健民DOC」は愛知県コロニー名誉総長の村地俊二先生を学術委員長として行われており、私もそのお手伝いに参加している。偶然にも村地先生が故人のご親戚に当たる。先生は私の書くお茶関係のものを故人に送って下さっていた。淡交社から出版した「お茶健康記」の折には、編集者にわざわざ「お茶にはこうした立場もあり、大変すばらしい」と申し送って下さったとのことを伺った。

日本が世界に誇るべき総合生活文化、茶の湯は、故人が私に示されたような「心」を持って、日常茶飯な努力をされてきたからこそ、今日までも家元制は続き、貴重な文化として保持、発展させてきたのだと思えてくる。

このシリーズで、夢窓疎石、ロドリーゲス、立花実山、井伊直弼と茶の湯が内包している人の生き方について示唆に富んだものを紹介してきた。今日の日本社会に必要な指摘をしている。現代の我々が日常忘れてしまっているが、二十一世紀の国際社会には不可欠なものだ。次は岡倉天心(覚三)とする。

そうした時代に、故人が家庭の主婦、家元夫人、女性団体への参加等々自立した女性として果たされた姿は国際性ある日本女性の在り方を示していると言える。
病気療養の姿勢、選ばれた治療法の選択を伺うと日本人が忘れている精神を持った方であったことがよく判る。自然体の茶の湯の精神だ。和菓子を熱心に研究されたのも、そこに日本的な美と先端芸術性を見ておられたからに相違ない。

多くの人達にもっと茶の湯を素直に見てもらいたい。私の経験では噂されるような"高い許状料"も虚礼を排すれば嘘だ。

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