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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶の飲み方(6)

喫茶は中国で発生した。今回は中国での喫茶文化の起源を学んでおく。
茶樹の原産地は中国の西南地域と呼ばれる四川省、雲南省等と言われる。
インドのアッサム地方も、中国雲南地域を中心とした「東西半月弧」と呼ばれる地域に含まれる。

アッサムの紅茶は有名で、多くの皆さんがアッサムティーを 飲んだことがあるのでは。

茶に関する確かな最古の資料は前漢時代(紀元前202~紀元8年)で、宣帝時代の学者、王褒による「僮約」と言われる。
紀元前後時代の様子を語る。「茶を烹る」「茶を買う」などとあると言う。
当時、「買茶」が既に奴隷の仕事内容になっていたのだ。
「茶」の字は唐代に出来たもので、当時は「荼」が使われていた。
但し、荼が茶ではなく、苦菜を示すこともあるそうだ。
本格的な茶書は、唐代の陸羽による「茶経」(760年)である。
「茶経」にはそれ以前の喫茶について述べられており、「茶の飲みたるは神農に発す」そうだ。
紀元前28世紀頃の神農による「食経」では、「茶茗久しく服すれば、人をして力あらしめ、志を悦ばしむ」とあると言う。
但し、「食経」は今日に伝わっていない。
「茶経」は日本で言えば栄西による「喫茶養生記」に当たる様な書だ。

当時の茶の点じ方は次のようだ。釜に湯を沸かし、茶の粉末を入れて、竹筴でかき回すことによって泡立てる。それを碗にすくって飲んだのだ。茶の粉は団茶と呼ぶ茶葉を固めたものから砕く。
我が国の平安時代に永忠や最澄達によって伝わった喫茶法は保存に便利な団茶を用いたと思われる。
宋代になると竹筴に代わって「茶匙」と呼ぶ攪拌する道具が出現した。茶匙は金や銀で作った長柄の匙のようなもので、唐代の茶道具として陝西省西安郊外の法門寺から発掘されている。

当時、既に茶碾子や秘色碗と呼ばれる輪花口を型づくる青磁茶碗が発見されている。
宋代の蔡襄による茶書「茶録」(1067年)では黄金の茶匙を用いて茶碗の中で攪拌をして、泡立てるようになったとある。

現在と似たような茶筅は北宋の皇帝徽宗が書いたと言われる「大観茶論」に登場する。
茶の若芽を蒸した茶葉が現れるのもこの時代である。茶筅を振って雲霧のような細かい泡を立てたのだ。今日の薄茶に当たるものの出現だ。栄西によって伝えられたのは、こうした時代の中国の喫茶法だと判る。

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