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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶とバイアグラ(Ⅰ)」

バイアグラは言わずと知れた勃起改善薬、化学名はシルデナフィル。 お茶とは無縁、あるいは、むしろ、逆効果と思うかも知れないが、話はそう簡単でない。

鎌倉時代に書かれた無住道暁の説話集「沙石集」と言う本に僧侶が茶の効用を牛飼いに説いた話が出てくる。

眠気覚まし、消化促進、性欲を抑制するのに役立つと説明した。ところがその牛飼いは"それではお茶は飲めない"と言うのだ。 その理由が面白い。物事には両面性があって、立場が変われば意味は逆になってしまう。 つまり、独善的に自分が都合がよいと思うことが他の人達には迷惑にもなる例として滑稽だ。
今日でもこうした話は日常茶飯に起こっている。 眠気覚ましの効用には;昼中一生懸命仕事をして疲れている。 夜は足を延ばしてゆったりと眠りたいのだから、眠気覚ましは困る。

消化促進には;貧しくて少ししか食べられないから少ない飯の消化がよくなると空腹になってひもじいから不必要。

性欲の抑制;性欲がなくなれば女性も楽しみを奪われるから近寄らなくなる。それでは衣服なども洗ってくれない。

お茶が禁欲と節制によいと言うことについては「日本教会史」にも書かれている。
この本を書いたのは先に記したがイエズス会の宣教師、ポルトガルのジョアン・ロドリーゲスで、16世紀後半から17世紀初期にかけて日本に滞在した。
イエズス会の地域研究資料として日本の風俗、習慣、物の考え方をまとめたものだ。お茶の効能や利得について6項目を上げているのがその6番目に記されている。 ロドリーゲスが当時の一般的認識として取り上げたのか、前述の「沙石集」に基づいて書き上げたのかは定かでない。

お茶にはカフェインと呼ぶ眠気覚まし、興奮に有効な成分が含まれている。しかし、どんな成分が性欲抑制になるかは明らかでない。 お茶を飲む人に社会的に一見禁欲的な人達が多かったから、そのように理解をされていたのか興味のあるところだ。

ところで、バイアグラは勃起能力を高めるが性欲を増す作用はないことをお忘れなく。さて問題はお茶とバイアグラがどんな関係にあるかだ。

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