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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶の飲み方(3)

皆さんは寿司屋で、最後に、「上がり」と言って、なみなみと溢れるほどに茶を入れた大きな湯飲み茶碗を出された経験があると思う。お茶は、通常、粉茶が用いられたものだ。最近は、すっかり、寿司屋から、その姿を消してしまっているから残念だ。

粉茶は、玉露や煎茶の精製工程中に生ずる"出もの"から、粉だけを集めて製造されたものなのだ。遅摘の茶葉を用いる過程で出る茶の粉は、番茶やカフェインを抽出するための材料として用いられた。しかし、一般に粉茶として売られているものは上質な茶葉の粉と思って良い。玉露の粉であれば、香りも良く鮮やかな緑色がはっきりしているので判別可能となる。寿司屋のものは、上煎茶の粉茶を用いていることが多かった。つまり、粉茶が用いられた場合は、上等のお茶が出されているお店と言って良さそうだ。
粉茶は竹茶こしを用いて入れられたものだ。それ故に、あまり細かいと茶こしの下に落ちてしまうから、あまり細かな粉茶は上等品ではないと言われていた。

寿司は魚介類を生のままで食べることが多い。現在では冷蔵庫等を用いて、食材を安全に保存することは困難でなくなった。しかし、一世代前までは、あまり容易なことではなかったのだ。それ故に、寿司を食べて下痢や食中毒になることは、現代より、遙かに多かったと想像出来る。そうした時代に、たっぷりと粉茶を飲みながら、寿司を食べていた先人達の知恵に感心する。

お茶は、昔の時代から食中毒に効くと言われてきた。今日では、お茶の主成分、カテキン類が有効成分と考えられている。カテキン類が胃潰瘍や胃癌の原因と考えられているピロリ菌の感染を予防したり、除去すると言われるようになって来た。また、腸内には無数の細菌がいることが知られているが、その腸内細菌のバランスを取るためにもカテキン類が有効という。腸内の善玉菌(ビフィジス菌等)と言われる菌を増やす。一方、悪玉菌(クロストリジュウム菌等)と呼ばれる菌を抑制するとのことだ。悪玉菌が減少すれば、便秘や悪臭の改善、大腸癌予防になると考えられている。

竹茶こしから漉した粉茶を差し出す鉢巻き姿、そのおかみさん姿の寿司屋の風情は日本の食文化の美しい型として残して欲しい。茶、寿司等は飲み方、食べ方も含めた心霊的な効果を発揮して健康に寄与するのでは。

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