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知って得するお茶ワールド

信天翁(アホウドリ)喫茶主
医学博士 山中 直樹(宗直)

お茶の飲み方(1)

女性用健康誌「ゆほびか」(本年五月号用)の記者から"美味しい"お茶の飲み方について取材を受けた。伝統的な美味しいお茶の出し方は良く知られたこと。
一般に、緑茶を抽出茶として飲む場合、玉露か煎茶の上等な茶葉を適正な温度(60℃位)で1~2分の間に抽出したお茶を美味しいとする。

加えて喫茶に集まる人、作法や茶を飲む環境、香りが大切となる。今日で言うアロマ的要因だ。つまり、人間一人一人の心のゆとりと言われるような気持も大切となる。
それを科学的な意味を持って説明すると次のようになる。

上等と言われるお茶葉は旨味、甘味成分となるアミノ酸の仲間、テアニンやグルタミン酸等を多く含む。その他の味成分は苦味、渋味成分となるカテキン類やカフェイン等だ。
カフェインも上等といわれる茶葉に多く含まれる。テアニン等のアミノ酸、カテキン類やカフェインが茶葉から抽出される量は熱湯の温度、時間によって変わる性質を持つ。
その差を利用して、茶湯中に抽出されてくる成分の量を調節出来る。抽出成分の差が出れば当然味が変わる。いわゆる、美味しい、渋い、苦い等の味覚が生まれるのだ。
そこで、腕の見せ所となる。

通常、美味しいお茶とはテアニン等のアミノ酸成分が沢山含まれるものを言う。逆に、カテキン類やカフェイン等はあまり抽出されないようにするのがよいとされる。
抹茶や玉露は新芽、新茶、八十八夜と言われるように早期に摘まれる茶葉。一方、番茶や焙じ茶となる茶葉は、通常、遅摘みの茶葉を用いる。
茶木ではテアニンはグルタミン酸から、カテキン類はテアニンから作られる。カテキン類は日照によって茶葉中に多くなる。

それ故に、早期で、あまり日に照らされていない茶葉はテアニンを多く含む。遅摘み茶葉程、カテキン類を多く含むことが判る。 紅茶やウーロン茶も同じ学名カメリア・シネンシスの茶木からだ。

日本茶の緑茶との基本的な製造法の差は茶葉を発酵させるかどうかである。紅茶の茶葉はカテキン類を多く含む茶葉を用いる。 紅茶が紅色や黒褐色を示すのはカテキン類が酸化されたものだ。

我が国でカテキン類が沢山含まれる茶葉は一般に高級茶ではない安いお茶と考えられてきた。しかし、考えようによっては、既成概念に縛られていると言える。
そこで、"多様化した価値観"時代での美味しいお茶について考えて見よう。

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