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私は麺食い人!

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第9回:アジアの麺料理について学びます

前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介しています。

9回目のテーマは「アジアの麺料理」
今回は、ベトナム料理とタイ料理の特徴や麺料理などについてご紹介します。

まずは、ベトナムとタイの麺料理をご紹介します。

フォーガー(鶏肉入りベトナムうどん)

フォーガー(鶏肉入りベトナムうどん)

材料 4人分
  鶏手羽元 6本(530g)
2000ml
ナンプラー 50ml
A にんにく(つぶす) 1かけ(5g)
白ねぎ(ぶつ切り) 7cm×4本(60g)
しょうが(薄切り) 4かけ(30g)
乾燥フォー(又は稲庭うどん) 320g
B ナンプラー 大さじ2
黒こしょう(粗挽き) 少々
C もやし(サッとゆでる) 120g
パクチー 5g
ミント 4枝
赤唐辛子(生) 1本(15g)
青唐辛子(生) 1本(10g)
ライム 1/4コ

作り方

  1. 手羽元と分量の水、ナンプラーを鍋に入れて煮立て、沸騰してから(A)を加え、鶏肉を中弱火で30~40分間程茹で、スープを取ります。
  2. 1.の鶏肉は水に取って芯まで冷やし、手で太めに裂きます。
  3. フォーは袋の表示通りに茹でます。
  4. 丼に(B)を1人分ずつ入れ(ナンプラーは1人分大さじ1/2です)、1.のスープを300ml入れてから3.を入れます。
  5. 2.と(C)をトッピングし、ライムを絞って召し上がります。

※フォーは米粉を水で溶かして固め、麺状にしたものです
フォーはハノイを中心としたベトナム北部が本場とされています

ヤム ウン セン(タイ風春雨サラダ)

ヤム ウン セン(タイ風春雨サラダ)

材料 4人分
中国春雨 90g
きくらげ 10g
エビ 8~10尾
セロリ(細軸) 10cm
A 大さじ2
大さじ2
  豚挽き肉 80~90g
しょうゆ 小さじ1弱
サラダ油 適宜
紫玉ねぎ 1/4コ
レタス 70g
B レモン汁 大さじ1
純米酢 大さじ2・1/2
ナンプラー 大さじ3・1/2
砂糖 小さじ1
輪切り赤唐辛子 小さじ1強
にんにく(すりおろし) 少々
パクチー 2本

作り方

  1. 春雨は熱湯の中に入れ、フタをして蒸らします。きくらげは水で戻して、熱湯でゆでます。
  2. 春雨は適当な大きさに、きくらげは千切りにします。
  3. エビは殻をむき、背ワタを取り除いておきます。
  4. 細かく刻んだセロリと3.のエビを鍋に入れ、(A)を入れて酒蒸しにします。蒸したエビは3切れにそぎ切りにしておきます。
  5. 豚挽き肉はしょうゆで下味をつけ、サラダ油で炒めます。
  6. 紫玉ねぎは薄切りにして、氷水に晒します。レタスはきれいに洗って小さく手でちぎります。
  7. ボウルに(B)を混ぜ合わせ、ソースを作ります。(パクチーは葉の部分は手で小さくちぎり、茎の部分はみじん切りにします)
  8. 7.のボウルに2.4.5.6.の具材を入れ、和えます。

※ウンセン...緑豆でできた麺、いわゆる春雨のこと
※春雨は、緑豆・じゃが芋・さつま芋などのでんぷんから作られる乾麺です

ベトナム料理とは

ベトナムでは米を主食とし、お茶をよく飲み、食事に箸や茶碗を使います。歴史的にみると、中国やフランスの食文化の影響を受けています。
ベトナムの稲作は、恵まれた土壌をもつ北部紅河エリアと南部メコン川エリアで、紀元前7~8世紀頃に始まりました。その後のベトナムの食文化は、諸外国からの支配の歴史の中で築かれました。
中国の支配下に置かれた中でその影響を強く受け、米食文化や、炒める・蒸す・煮るなどの中国の手法が定着していきました。その後19世紀にフランスの植民地となり、パンやサンドイッチを食べる文化やコーヒーを飲む習慣が根付きました。
今でもこれらの影響は強く残っており、ベトナム料理は中華料理・フランス料理の二つのまったく異なる食文化が合わさっています。

ベトナムの麺

ベトナム麺を象徴するフォーは、米粉を原料とした平麺です。ベトナムでは古くから稲作が盛んだったため、米粉麺が現在でもベトナム麺の主流になっています。
ベトナムの米の生産地は、北部紅河エリアと南部メコン川エリアの2か所で、北部と南部の気候の違いにより、北部は二期作、南部は三期作と複数回栽培します。
育つ品種は、基本的に長細のインディカ米ですが、南部の一部地域では日本人に馴染み深いジャポニカ米も生産されます。


【2019年ベトナムで食べたフォー】
左:フォーボー(牛肉うどん)
右:フォーガー(鶏肉うどん)

タイ料理とは

はるか昔から、東南アジア地域の貿易の拠点として様々な物資が行き来していたタイは、物の交流に合わせ、様々な国の食べ物や調味料、食べ方も流入しました。北部では中国やミャンマーの影響を受け、東部ではベトナム、南部ではマレーシアの影響がみられます。タイの料理はこれらの国々からの影響を柔軟に受け入れ調和させ、さらに味わいを発展させたものです。
タイ料理では、香辛料、香味野菜やハーブを多用し、「甘味」「酸味」「辛味」「塩味」「香味」を多彩に組み合わせた味付けが特徴です。

  1. パームシュガー・ココナッツの甘味
    タイ料理の刺激的な辛味や酸味をうまく中和し、まろやかさを与えます。
  2. マナオ(ライムの一種)の酸味
    さっぱりとした風味を加えます。
  3. 唐辛子の辛味
    タイには10種類以上の唐辛子があり、様々な料理にふんだんに使われています。タイでは生で食されることも多いです。
  4. ナンプラー(魚から作った醤油)の塩味
    料理の味を引き締める役割をします。
  5. ハーブやスパイスの香味
    レモングラス、コブミカン、パクチーなどの香りを添えるのがタイ料理の大きな特徴です。

タイの麺

日本にうどんやそば、素麺があるように、タイにも麺が存在します。タイの麺の原料は「小麦粉」「米」「緑豆」に分かれます。米からできた麺は最もポピュラーで、形状も様々です。

パッタイ(タイのライスヌードル)

パッタイ(タイのライスヌードル)

材料 4人分
タイビーフン(センレック・5mm) 300g
豚肩ロース肉(薄切り) 200g
A ナンプラー 大さじ1/2
大さじ1
紫玉ねぎ(又は玉ねぎ) 150g
ニラ 100g(1束)
もやし(根取り) 1/2袋(120g)
むきエビ 150g
干しエビ(あれば・ぬるま湯で戻す) 10g
サラダ油 大さじ2
B 4コ
小さじ1/5
サラダ油 大さじ2~3
少々
こしょう 少々
サラダ油 適量
C ナンプラー 50~60ml
砂糖 大さじ1/2
ライム(あれば) 1/2コ
皮むきピーナッツ(あれば・粗く刻む) 大さじ2

作り方

  1. ビーフンは熱湯で5分をメドにしてゆでてやわらかくし、ザルに上げて水気を切ります。
  2. 豚肉はひと口サイズに切り、(A)で下味をつけます。
  3. 玉ねぎは薄切り、ニラは4~5cm長さに切ります。もやしはきれいに洗います。
  4. むきエビはサッとゆでます。
  5. 干しエビは粗く刻みます。
  6. 深めのフライパンに油を入れ(B)で大きめの炒り卵を作り、取り出します。
  7. 6.のフライパンに油を足して、水気を拭いたエビを焼いて手早く塩とこしょうで調味して取り出します。
  8. 7.のフライパンに油を足して、干しエビをじんわりと炒め、玉ねぎを加えます。
  9. 8.に2.の豚肉を入れ、表面の色が変わったら1.のビーフンを入れて更に炒めます。
  10. 9.にニラともやしを加えて、(C)で調味します。
  11. 10.に炒り卵を戻し入れて器に盛り、エビ、ライム、ピーナッツを散らします。

パッタイとはタイ発祥の料理で、センレックと呼ばれる米粉で作った中太の平たい麺とエビやもやしといった具材を、甘酸っぱく味付けしたタイの焼きそばです。「パッ」とは炒める、「タイ」とは国名であるタイランドを指し、「パッタイ」はタイ風炒めという意味になります。現地では、屋台や食堂などの定番メニューで、多くの人々に親しまれています。
第二次世界大戦後、タイは不況による高い失業率で苦しみました。当時のピブーン首相は失業対策として、国民が米粉麺の製造や調理に関わることを奨励し、レシピを配布しました。これ以降、パッタイが国民の間に広く定着しました。

私は麺食い人!
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