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インターネット公開文化講座

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私は麺食い人!

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第3回:そばについて学びます

前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介します。

3回目のテーマは「そば
そばの栄養価や日本三大そばについてご紹介します。

まずは、そばを使った料理をご紹介します。

すだちそば

すだちそば

材料 4人分
かつおだし汁 1500~1600ml
A しょうゆ 大さじ2~3
みりん 大さじ2
小さじ2・2/3
日本そば(生そば)(更科そば又はひやむぎ) 4人分(480g)
すだち 6コ
みょうが 4コ(60g)
細ねぎ 4本

作り方

  1. かつおだし汁に(A)を入れて煮立て、すぐに冷やします。
  2. そばは程良く茹でて、たっぷりの流水で水洗いします。
  3. 丼に2.を入れ、1.をたっぷり注ぎます。
  4. 3.の上に、1人1コ当ての輪切りのすだちをのせます。
  5. 1人1/2コ当てのすだちの汁を絞りかけ、みょうがの薄切りや小口切りのねぎを薬味にして添えます。
すだち 香酸柑橘類(こうさんかんきつるい)のすだちは、徳島県が原産地とされ、現在でも県内各地に推定樹齢200年以上の木が残っています。果汁を酢の代わりに利用し、『酢橘(すたちばな)』と呼ばれていたことが名前の由来です。日本における90%以上が徳島県で収穫されています。
深い緑色がきれいなすだちは、「緑の宝玉」とも呼ばれます。露地すだちは9月頃が収穫時期で、香りが高く味もよいです。

茶そばの鉄板焼き

茶そばの鉄板焼き

材料 4人分
茶そば(乾麺・又は日本そば) 400g
適宜
牛平切り肉 240g
  小さじ1/3
黒こしょう 少々
  2コ
少々
万能ねぎ 12本
レモン(1人2~3枚当て) 1コ
大根 200g
一味唐辛子 適量
適宜
のり お好みで
サクランボ(又はすいか・トマトなど) 適量
A 出し汁(濃) 600ml
みりん 50ml
しょうゆ 50ml
~小さじ2/3~

作り方

  1. そばはたっぷりの熱湯で少し固めに茹でて水にとり、もみ洗いしてザルに上げます。
  2. フライパンに油をしき、一口大に切った牛肉を炒めながら軽く塩、こしょうをふります。
  3. 卵は薄焼きにしてせん切りにします。
  4. ねぎは小口切り、レモンは1人2~3枚当てに薄切りにします。
  5. 大根は皮をむいてすりおろし、お好みで一味唐辛子を混ぜます。ザルに上げて水気を軽くしぼります。
  6. 鉄板(又はホットプレート、フライパン)に油を塗り1.のそばをのせ、2.~5.、お好みでのりを散らし、サクランボを添えます。
  7. (A)を煮立ててつゆを作り、熱々のつゆに麺と具を入れて召し上がります。
瓦そば 山口県下関市豊浦町川棚の郷土料理で、熱した瓦の上に色鮮やかな茶そばをのせて、その上に錦糸卵、牛肉、のり、輪切りのレモン、もみじおろしなどをトッピングしたもので、温かいつゆにつけて食べます。
明治10年の西南戦争の野戦の合間に、薩摩軍の兵士たちが身近にあった瓦を熱してその上で食べ物を焼いたことをヒントに、考案されました。最近の民放ドラマに登場して、認知度も上昇しました。

そばの醍醐味が味わえる新そば

「新そば」の文字があちらこちらに躍る季節を迎えています。香り高く、旨味や甘味がひときわ引き立つ新そばは、そばの醍醐味を味わえる珠玉の逸品です。
新そばとは、収穫されてからおよそ1~2ヵ月で提供されるそばを言います。一般的に新そばと呼ばれる秋そばは、主に10~12月に収穫されます。夏の太陽をたっぷりと浴びて育ち、豊かな実を付けていて、色・味・香りに優れています。
近年は栽培方法の工夫もあり、春(主に5~6月)や夏(主に6~8月)に収穫する新そばも存在します。

そばの栄養価

そばは収穫までの期間が短い上に乾燥にも強く、痩せた土地でも育つため、昔から救荒作物(凶作に備えるための作物)としての役割も担ってきました。注目すべきはその栄養価の高さで、米や小麦などと同じ穀類の中では群を抜いています。殻をむいた実を精製せずにそのまま利用するため、生命の維持、成長に欠かせない良質たんぱく質、特に必須アミノ酸が多く、不足しがちなビタミンB群やミネラル、食物繊維も豊富に含みます。さらにビタミンの一種であるルチンは、抗酸化作用や血管強化、高血圧や動脈硬化予防効果があり、ルチンの含有量が格段に高い韃靼(だったん)そばもよく見かけます。また、昔ながらのそば殻枕は吸湿と放熱作用に優れ、根強い人気です。

そば(可食部100g当たり/全層粉)

エネルギー 339kcal
たんぱく質 12g
脂質 3.1g
炭水化物 69.6g
カリウム 410mg
ビタミンB1 0.46mg

日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

「引っ越しそば」と「年越しそば」

秋は人事異動、引越しのシーズンでもあります。引越しの際、ご近所への挨拶品としてそばを配る風習がありましたが最近はすっかりすたれてしまいました。「そば(近く)に参りました。末永くよろしく」との気持ちを込めてお届けしたものです。
一方で「年越しそば」は、現在でも多くの家庭で受け継がれています。これには諸説あり、(1)細く長いそばにあやかり「家運や身代、寿命が長くのびるように」、(2)そばは切れやすいことから「旧年の苦労や借財を切り捨てる」、(3)いくら強い雨風にさらされても翌朝には立派に立ち上がるそばにあやかり「来年こそはという期待を込めて」などがよく言われる理由です。

日本三大そば

わんこそば

岩手県南部地方では、茹でたてのそばをおいしく、たくさん食べてもらおうというおもてなしの心から、おかわり攻めにした風習がありました。政治家・原敬が帰省して大好物のそばを食べ、「そばはわんこに限る」と言ったことが広まり、有名になりました。

戸隠そば

長野県長野市戸隠発祥で、同地方の霧下そばを使用します。
そばの実の甘皮を取らずに挽いて粉にした「挽きぐるみ」のそば粉を使用し、麵棒は一本のみを使用して、四角ではなく丸く伸ばすのが特徴です。また、水をほとんど切らずに提供し、そばを少量ずつ束ねる「ぼっち盛り」と呼ばれる盛り付けで、地元の根曲がり竹で編まれた円形のざるに盛ります。

出雲そば

島根県出雲地方で穫れるそばの実を皮ごと製粉するため、黒っぽく香り高いのが特徴です。
出雲そばには「割子そば」と「釜揚げそば」の2種類の食べ方があります。「割子そば」は、朱塗りの丸い器に入ったそばに薬味を入れ、つゆを直接かけます。江戸時代に城下町松江で、野外でそばを食べるために割子と呼ばれる重箱にそばを入れて持ち運んでいたことが始まりと言われています。一方、「釜揚げそば」は茹で上がったそばをそのままそば湯と共に器に盛って提供し、そこにつゆや薬味を足して食べます。出雲大社周辺の屋台で参拝客に振舞われたのが由来とされています。

【参考文献】めんの本(小田聞多監修・食品産業新聞社発行)

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