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私は麺食い人!

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回:しめくくりの麺料理について学びます

前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介しています。

12回目のテーマは「しめくくりの麺料理
今回は、「私は麺食い人!」の最終回です。「しめくくりの麺料理」として、日本人の大衆料理である麺料理についてご紹介します。

まずは、ソース焼きそばをご紹介します。

ソース焼きそば

ソース焼きそば

材料 4人分
豚肩ロース肉(薄切り) 180g
キャベツ 200g
長ねぎ 1/2本
サラダ油 大さじ2
少々
黒こしょう 少々
焼きそば用麺(1袋150g) 4袋
A 100ml
中華風だしの素 小さじ1/2
B ウスターソース 大さじ4
少々
こしょう 少々
C 天かす 大さじ2
粉かつお 大さじ1
青のり粉 適宜
紅しょうが 適宜
4コ

作り方

  1. 豚肉はひとくち大に切り、キャベツは2cm位の角切り、長ねぎは小口切りにします。
  2. フライパンにサラダ油を入れて豚肉を炒め、塩とこしょうで調味し、9分通り火が通ったら皿に取り出します。
  3. 同じフライパンにサラダ油を足し、キャベツを炒めます。キャベツが少ししんなりしたら、焼きそばと(A)を加えてさらに炒めます。
  4. 3.に2.を戻し入れ、(B)と小口切りにしたねぎ、(C)を加えて炒めます。
  5. 4.を器に盛ってお好みで青のり粉と紅しょうがをふり、目玉焼きをのせます。

焼きそばとは

焼きそばとは、中華麺を豚肉などの肉類・キャベツ・にんじん・たまねぎ・もやしなどの野菜類と一緒に炒めたものであり、日本では、ウスターソースを使用したソース焼きそばが主流となっています。
昭和10年代には東京の浅草でソース焼きそばが名物になっていたと「日本洋食物語大全」には記述されており、東京などの都市部においては、戦前から一般的な軽食として定着していました。また、昭和30年ころからは、家庭料理としても作られるようになり、お好み焼きやもんじゃ焼きと並ぶ子供のおやつとして駄菓子屋などでも提供されていました。
大衆料理=B級グルメの代表格と言えば、「焼きそば」です。
子供からお年寄りまで多くの年代で親しまれ、全国各地で独自文化を有しています。
ここでは、各地の焼きそばについてご紹介します。

瀬戸焼きそば(愛知県瀬戸市)

具はキャベツと豚肉のみで、蒸し麺に豚肉の煮汁をダシにした醤油風味の味付けが特徴です。
露店での販売を除いて、提供する際は瀬戸焼の陶器皿で出すこととされています。陶器のまちならではの特徴です。
昭和30年代から地元の深川神社参道を中心に始まったと言われています。

富士宮やきそば(静岡県富士宮市)※「富士宮やきそば」という名称は登録商標となっています。

一般的な焼きそば麺の製造工程では蒸した後に一度茹でますが、富士宮やきそばの麺は茹でずに急速に冷やし、油で麺の表面をコーティングします。そのため他の麺に比べ水分が少なく、独特のコシがあります。
また、肉かす(油かす)や完成後にサバやイワシの削り粉を振りかけて食べることも大きな特徴です。
店や家庭によっては、イカ、ひき肉、桜エビを入れることもあります。

横手やきそば(秋田県横手市)※「横手やきそば」はご当地の統一名称となっています。

横手やきそば(よこてやきそば)は、秋田県横手市周辺で販売されているご当地グルメです。片面焼きの目玉焼きがトッピングされているのが特徴です。
味は比較的甘口で、各店独自の出汁入りのウスターソースで味付けされています。キャベツや豚のひき肉などが具として入り、店舗によってはホルモンが入るところもあります。茹でたストレートの角麺を使い、柔らかくしんなりとした出来上がりで、付け合せとして、紅しょうがではなく福神漬けがついてくるのも大きな特徴です。

続いて、もう一つの大衆料理である「焼きうどん」についてご紹介します。

焼きうどん

焼きうどん

材料 4人分
A 生しいたけ(中) 4枚(100g)
にんじん 150g
ピーマン 4コ
キャベツ 200g
玉ねぎ 1/2コ(80g)
豚ロース薄切り肉 150g
サラダ油 大さじ2
白玉うどん
(1玉・220g)
4玉(880g)
  80~100ml
和風だしの素 小さじ2/3
B しょうゆ 大さじ5
少々
こしょう 適宜
花かつお 適宜
青のり(粉) 適宜
紅しょうが 適宜
ゆで卵 2コ

作り方

※2人分ずつ作ると良いでしょう。

  1. (A)の野菜はせん切りにし、豚肉はひとくち大に切ります。
  2. フライパンに油を入れて玉ねぎを炒め、にんじん、豚肉を加えて更に炒めます。
  3. 2.にピーマン、しいたけ、キャベツの順に加えます。
  4. うどんはサッと水で洗ってほぐし、水気をきって3.に加えます。
  5. 分量の水にだしの素を溶かし、4.に入れます。
  6. 5.に(B)で味付けし、更に炒めます。
  7. 器に6.を盛り、花かつお、青のり、紅しょうがを散らし、ゆで卵を添えます。

焼きうどんとは

調理法は焼きそばと同じであり、ウスターソースを使ったり、醤油・麺つゆや、塩コショウを味付けに使います。
醤油味の焼きうどんには、酢をかけて味を整える例も見られます。中にはミートソースをかけたり、ケチャップでナポリタン風、ニンニク・唐辛子でぺペロンチーノ風、カレー粉・たらこ・バジル・クリームーズといろいろな味で楽しむことがあります。
焼うどんもご当地メニューがたくさんあります。各地の焼うどんについてご紹介します。

亀山みそ焼きうどん(三重県亀山市)

三重県亀山市内にある焼肉店の「裏メニュー」として40年以上にわたって提供されていたものです。焼き肉を楽しんだ後に、肉の出汁が残った鉄板にうどんを入れ、赤味噌ベースの調合した味噌だれを利用して焼きます。

小倉焼うどん(福岡県小倉市)

終戦直後、鳥町食道街の「だるま堂」店主が、焼そば用のそば玉がなかったため、干しうどんをゆがき焼いて出したところ大好評だったのが始まりとされており、小倉は焼うどんの発祥の地とされています。
乾麺を使用する、若松産キャベツを使用する、豚肉はバラ肉を使用する、玉ねぎの甘みを引き出す、削り節はアジ・サバ節を使用する、小倉の地酒で香り豊かに仕上げるなどが特徴といわれています。

大邱の焼きうどん(大韓民国大邱広域市)

焼きうどんは日本だけではありません。韓国でも人気の大衆食となっています。
大韓民国大邱広域市では、日本から伝わった焼きうどんがヤキウドン(야끼우동)という名前でご当地グルメになっています。唐辛子粉とニンニクで甘辛く味付けされ、具にはタマネギ・キャベツ・カボチャ・モヤシ・キクラゲ・ニラ・ホウレンソウ・エビ・イカ・豚肉など季節に合わせた具材が使われています。約30年前に開発され、主に中華料理店で提供されています。

1年にわたってご紹介してきた「私は麺食い人!」シリーズ、お楽しみいただけましたでしょうか?
世界には本当にたくさんの麺があり、各国の人々に愛される大衆食となっていることが分かります。

次回からは、新たなシリーズをご紹介したいと思います。
名付けて「日本食って素晴らしい!」です。「和食」がユネスコ無形文化遺産になって来年で10年を迎えます。
日本食の代表である「天ぷら」「寿司」「餅」「蕎麦」など、国内外で人気のある日本食についてご紹介させていただきます。

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