文化講座
第4回:うどんについて学びます
前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介しています。
4回目のテーマは「うどん」
うどんの栄養価や日本三大うどんについてご紹介します。
まずは、うどんを使った料理をご紹介します。
昔ながらのカレーうどん
材料 | 4人分 | |
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牛肉(こま切れ) | 200g | |
青ねぎ | 2本(50g) | |
もやし | 1袋(250g) | |
にんじん | 80g | |
かまぼこ | 1/2枚 | |
卵(半熟・茹で) | 2コ | |
A | かつお出汁 | 1300ml |
みりん | 大さじ2 | |
しょうゆ | 大さじ2 | |
砂糖 | 大さじ1 | |
塩 | 小さじ1/2~2/3 | |
カレーパウダー | 70g | |
茹でうどん(又はきしめん) | 4人分 |
作り方
- 牛肉はざく切りにし、ねぎは斜め切りにします。
- もやしはきれいに洗い、にんじんはせん切り器で突いて、熱湯で一緒に茹でます。
- かまぼこは1人2枚当ての薄切りにします。常温に出しておいた卵は熱湯に入れて半熟に茹でます(沸騰後7~8分を目安にします)。
- 鍋に(A)を入れて煮立て、煮汁でカレーパウダーをしっかりと溶いて加えます。ここに1.を入れてサッと煮ます。
- うどんは茹でてしっかりと水気を切ります。
- 器に5.を入れ、4.を注ぎ2.と3.を添えます。
天おろしうどん
材料 | 4人分 | |
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うどん(茹又は生麺) | 4人分 | |
えび(大) | 8尾 | |
小麦粉 | 適宜 | |
A | 卵 | 1個 |
水 | 150ml | |
小麦粉 | 100g | |
まいたけ | 1パック | |
花みょうが | 4個 | |
揚げ油 | 適宜 | |
B | みりん | 100ml |
しょうゆ | 100ml | |
砂糖 | 大さじ1・3/4 | |
出し汁(濃) | 250ml | |
大根(卸し) | 300g | |
土しょうが(卸し) | 1片 | |
ねぎ | 1/2本 | |
糸のり | 適宜 | |
かまぼこ | 8切れ |
作り方
- うどんは熱湯に通します。生麺の場合は程よく茹でて水にとってぬめりをとります。
- エビは尾を残して殻をむき、腹側に切り込みを入れて下衣をつけ、(A)の天ぷら衣をつけて色よく揚げます。まいたけは4等分にし、みょうがは縦半分に切りエビと同じように揚げます。みょうがは切り口だけに衣をつけて揚げます。残りの衣で天かすを作ります。
- 鍋にみりんを入れて煮切り、他の(B)の調味料を加えて、つゆを作ります。
- 大根はきめ細かくすり卸します。
- しょうがは卸し、ねぎは小口切りにします。
- 器にうどんを盛り、つゆをかけ、天かす、大根卸し、天ぷらなどの順に盛り、薬味をあしらいます。よくかき混ぜて召し上がります。
みそ煮込みうどん
材料 | 4人分 | |
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A | かつおだし汁(やや濃いめ) | 1200ml |
和風だしの素 | 小さじ2/3 | |
塩 | 小さじ1/3 | |
赤みそ | 80g | |
みりん | 大さじ4 | |
しょうゆ | 大さじ2 | |
みそ煮込みうどん用生麺 | 480g | |
豚肩ロース薄切り肉 | 200g | |
ほうれん草(半分に切る) | 200g | |
生しいたけ(そぎ切り) | 6枚 | |
長ねぎ(斜め切り) | 120g | |
なると巻き(又はかまぼこ) | 12切れ(60g) | |
卵 | 4コ | |
七味唐辛子 | 少々 |
作り方
- (A)をボウルに入れて泡立て器で混ぜ合わせます。
- 1人分の土鍋4コに1.を分けて入れます。
- うどんはサッと茹でます(水に取りません)。又はそのまま使います。
- 2.の鍋に3.を入れ、その上にほうれん草、豚肉、生しいたけ、ねぎなどをのせて手早く煮ます。卵を割り入れて、半熟状になったらいただきます。
※お好みで七味唐辛子を振ります
味噌煮込みうどん
味噌煮込みうどんは、代表的な名古屋めしのひとつです。
煮込んでも風味が損なわれない豆味噌のつゆで煮込んだうどんです。土鍋に麺を直接入れて火にかけるため、塩水ではなく真水で打った煮込み専用の麺を使います。そのため、一般的なうどんのもちもちしたコシとは異なり、独特の噛み応えがあります。
うどんとは?
うどんの原材料は、小麦粉・塩・水です。小麦から生成されるたんぱく質の一種である「グルテン」が、うどん特有のもちもちとした食感を生み出します。小麦粉に塩と水を入れてよくこねるほど、たんぱく質が絡み、グルテンがしっかり形成されてコシも強くなります。
また、塩にはたんぱく質を分解する酵素の働きを抑えたり、生地が発酵し過ぎないようにする作用や、防腐作用もあります。これにより、うどんは冷蔵・冷凍保存に優れた食品といえます。
うどん生地をうどんにするためには、うどん生地をしばらく寝かせる必要があります。生地を寝かせるとは、生地を熟成させて安定化させるための工程です。熟成させることにより、うどんに弾力と粘り、強いコシが生まれます。また、小麦粉の粒子に水分を充分行きわたらせ、麺の透明感を失わせる原因となる気泡を抜く効果もあります。
現在うどんは機械製麺が主流ですが、製麺行程を手作業で行うものを手打ち、もしくは手延べと呼びます。
うどんの栄養価
うどんは主に炭水化物を含み、エネルギー源となります。脂肪が少なく炭水化物が主であるため、消化が良いので胃の働きが弱っているときや病後などのエネルギー補給源に向いています。
うどん(可食部100g当たり/生)
エネルギー | 249kcal |
たんぱく質 | 6.1g |
脂質 | 0.6g |
炭水化物 | 56.8g |
ナトリウム | 1000mg |
ビタミンB1 | 0.09mg |
日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
日本三大うどん
さぬきうどん
近年ではうどん県として知られる香川県(旧讃岐国)特産のうどんです。古くから小麦・塩・水・しょうゆといったさぬきうどんの原料が、この地域で容易に入手できたことから広まったと考えられています。弘法大使空海が唐の国からうどん作りに適した小麦と製麺技術を伝えたという伝説や、空海よりもさらに100年前の遣隋使、遣唐使の時代に伝えられたという説もあります。
讃岐国に初めてうどん屋が現れたのは、およそ300年前の元禄時代(江戸時代前期)です。金毘羅宮の表書院に保存されている屏風絵のひとつにも、うどん屋が描かれています。この屏風絵は讃岐のうどんに関する最古の資料であり、うどんの先進地域であったことを物語るものです。
さぬきうどん作りに適した条件
小麦
- 香川県産の小麦は、兵庫県や岡山県と並んで「三県もの」と称され、高い評価を得ました。
- 香りや適度な粘りと弾力があり、口あたりのまろやかなうどんが県産小麦で作られました。
塩
- 瀬戸内海域は、古くから塩が作られていたところで、日本の塩作りの中心地でした。
しょうゆ
- 県内で最初にしょうゆが作られたのが小豆島で、気候が麹菌の発育に適していたため、品質の良いしょうゆが作られました。
いりこ(煮干し)
- うどんのだしの素材として「いりこ」が用いられました。
- 香川の近隣の伊吹島がいりこの名産地であることから、いりこを使った濃厚なだしが昔からよく使われました。
- 煮干しの臭みをとるために、焼いた鉄の棒をだしに入れたり、最後に加えるしょうゆで生臭さを消すなど工夫してだしを作ってきました。
水
- 香川県中部を北流する綾川は38kmの小河川ですが、古くから多くの水車が設けられたため、水量が多く水が枯れることはありません。
薬味
- 青ねぎは香川県内で多く栽培されています。
- しょうが(高知名産)、すだち(徳島名産)など、近県で採れる食材も薬味として使用されています。
香川県にあるさぬきうどんの名店を訪れました。
有名店は長い行列が出来ていました。
【筆者が作った手打ちうどん】
冷たいうどんに辛い調味料を添え、生じょうゆとすだちをかけます。
稲庭うどん
秋田県湯沢市稲庭町発祥で、練る・綯う(より合わせること)・延ばす・かけるの工程をすべて手作業で行う伝統的な手延べ製法で作られている干しうどんです。食用食物油を使用せずに打ち粉にでん粉を使う点や、平べったい形状が特徴です。麺の中に多く含まれる気泡が、独特のつるりとした滑らかな食感や、コシの強さを生んでいます。
江戸時代から秋田藩主に献上されており、昭和47年に佐藤養助がその製造技術や粉の配合を家人以外に公開するまでは、一般には食されることはありませんでした。
【筆者作】
筆者特製の青唐辛子のしょうゆ漬けを混ぜます。
水沢うどん
群馬県伊香保地方の名物うどんです。およそ400年前、水澤寺に参拝する人々に、上州産の小麦と水沢山から湧き出た名水で作った手打ちうどんを提供したのが起源と言われています。水澤寺の参拝道には、約4kmに渡ってうどん店が並び、「水沢うどん街道」とも呼ばれています。