文化講座
第1回:麺のルーツについて学びます
前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介します。
1回目のテーマは「麺のルーツ」
初回は、麺の発祥や歴史について簡単にご紹介します。
まずは、夏バテを吹き飛ばすような冷たい麺料理をご紹介します。
夏バテを防ぐためには、『バランスよく食べる』ことが一番大切です。暑い夏は食事量が減り、水分や口当たりのよいものばかりを食べて、栄養バランスが偏りがちです。
体力を養うことも大切です。食欲がない時でも、たんぱく質やビタミン、ミネラルを中心に、良質な栄養素を含む食材を少量でも食べるようにしましょう。さらに、食欲を刺激するために香辛料を使ったり、香りの強い野菜を摂取するのも良いでしょう。
冷たい麺や冷たい飲み物など、糖質中心の食生活になりがちな夏は、特にビタミンB1の摂取を心掛けましょう。
ビタミンB1は疲労回復やダイエットに効果があるとされていますが、夏バテ防止効果もあります。
ビタミンB1は糖質を体内でエネルギーに変える際に使われます。不足するとせっかくのエネルギー源もうまく活用されません。
ビタミンB1を多く含む食品(「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」のデータより引用)
食品名 | 100gあたり(mg) |
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豚ヒレ(焼き) | 2.09 |
豚ひき肉(焼き) | 0.94 |
うなぎ(かば焼き) | 0.75 |
たらこ(生) | 0.71 |
そらまめ(ゆで) | 0.22 |
韓国冷麺(ネンミョン)
材料 | 4人分 | |
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A | 豚肩ロース肉(トンカツ用塊) | 1枚(180~200g) |
鶏むね肉(中) | 1枚 | |
ねぎ | 適量 | |
にんにく | 適量 | |
しょうが | 適量 | |
きゅうり | 2本 | |
塩 | 小さじ1/2~2/3 | |
B | 酢 | 大さじ1~2 |
水 | 大さじ1~2 | |
砂糖 | 大さじ1/2~1 | |
塩 | 少々 | |
C | しょうゆ | 大さじ1/2 |
こしょう | 少々 | |
白ごま | 小さじ1~2 | |
D | 塩 | 小さじ1/3 |
こしょう | 少々 | |
白ごま | 小さじ1~2 | |
梨 | 1/4コ | |
韓国麺 | 4玉(1玉160g前後) | |
卵(半熟) | 2コ | |
E | (A)の茹で汁+冷水 | 8カップ(1600ml) |
塩 | 小さじ2~2・1/3 | |
薄口しょうゆ | 大さじ4~5 | |
砂糖 | 小さじ2 | |
こしょう | 少々 | |
白菜キムチ | 100g | |
すいか(又はトマト) | 適量 | |
糸唐辛子(あれば) | 少々 | |
松の実(あれば) | 少々 |
作り方
- 大鍋に(A)を入れ、たっぷりの水(10カップ位)を加えて水から30~40分程煮ます。
- 1.を漉してスープは氷水で冷やし、上に浮いた脂を取ります。豚肉と鶏肉は、たっぷりの水の中で冷やします。
- きゅうりは縦半分に切ってから薄切りにし、分量の塩を振ってしんなりしたら洗い流し、(B)で下味をつけます。
- 2.の冷ました豚肉は手で割いて(C)で、鶏肉も手で割いて(D)で調味して具材とします。
- 梨はくし形に切ります。
- たっぷりの熱湯で麺を袋の表示時間ゆで、水に晒して水気をしぼります。
- 卵は卵の穴あけ器で穴をあけてから、沸騰した湯で6分30秒ゆでて半分に切ります。
- (E)をボウルで混ぜ合わせてスープを作ります。
- 器に麺とスープを入れ、具をのせ、糸唐辛子や松の実を散らします。
韓国冷麺...韓国語では「ネンミョン」といい、そば粉をじゃがいものでんぷんでつなぎにした麺を使います。
キムチ | キムチは野菜にヤンニョム(薬念=薬味)を加えて乳酸発酵させて作るので、とても栄養価が高く、風味も豊かです。発酵食品は腸を活発にします。
粉とうがらし...カプサイシンが含まれ、脂肪の燃焼を促進します。食べると暑くなりますが、発汗作用でしばらくすると体温は逆に下がります。 にんにく...抗酸化作用、疲労回復、風邪予防に効果的です。 |
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梨 | クエン酸、りんご酸...疲労回復効果 アスパラギン酸...スタミナアップ カリウム...余分なナトリウムを排出、高血圧予防 ソルビトール...果物の中で一番多く含みます。便通促進作用、生活習慣病予防 酵素...たんぱく質の消化を助けます。 |
卵 | たんぱく質...人の体の臓器や筋肉、骨、皮膚、髪など主要な部分の材料となります。 ビタミンA...視覚を正常に保ち、皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。 |
豚肉 | たんぱく質...人の体の臓器や筋肉、骨、皮膚、髪など主要な部分の材料となります。 ビタミンB1...疲労回復やダイエットに効果があるとされています。 |
かぼちゃとトマトの冷製うどん
材料 | 2人分 | |
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かぼちゃ | 160g | |
トマト | 1コ(200g) | |
ツナ缶 | 小1缶(80g) | |
A | にんにく(みじん切り) | 小さじ1/2 |
オリーブ油 | 大さじ2 | |
酢 | 小さじ1 | |
塩 | 小さじ2/3 | |
白こしょう | 少々 | |
青じその葉(粗みじん切り) | 4枚 | |
稲庭うどん(又はパスタ、中華めんなど) | 200g |
作り方
- かぼちゃは種を取って1cm角に切り、電子レンジ700wで3分間(500wで4分間)かけます。トマトは種を取って小角切りにします。
- ボウルにツナ缶を油ごと入れ、(A)と1.を入れます。
- うどんを程良く茹でます。
- 水気を切ったうどんを2.に入れ、よくからめて仕上げます。
麺の起源
麺と一口に言っても、種類豊富なラーメンやパスタなど、私たちの身近には様々な麺料理が溢れています。
日本はうどん、そば、パスタ、ラーメンなど多くの麺類が食べられる、世界でも有数の麺大国です。
その麺の歴史は古く、中国北部の黄河流域が発祥といわれています。紀元前8000年頃から西アジアで栽培されていた小麦がシルクロードを経て、中国に伝わりました。
石臼のような道具とともに伝わった小麦文化は、中国で普及していきます。当時は、小さくちぎったすいとん状や平たいワンタンの皮状のものを食べていたようです。
中国の2世紀頃の文献『四月月令』の中で、すいとんやワンタン状の「煮餅」と、ひも状の「水洩餅」という言葉が出てきます。その後、550年頃に書かれた『斉民要術』には、「小麦粉をよくふるい、さめた肉の煮出汁でよくこね、箸の太さほどの棒状にし、水を張った器の中で、指でもみ押さえながら引き伸ばす」という「水引餅」の作り方が書かれています。
中国では「麺」という言葉は小麦粉のことを指し、「餅」は小麦粉を使った食品全般を指します。この餅は、水で煮る「湯餅」、蒸して作る「蒸餅」、焼いて作る「焼餅」、油で揚げる「油餅」の4種類があります。この中で、茹でる湯餅が日本語でいう「麺」に発展していきます。
日本の麺の歴史
日本では、奈良時代に中国から渡来した唐菓子に「索餅」というものがあり、当時の菓子の中で最も広く普及しました。索餅が、索麺、素麺と変化したとされており、そうめんの原型といわれています。
索餅は、小麦粉や米粉に塩水を加えて練り、縄のような形にねじった麺で、「麦縄」ともいわれていました。現在のうどんよりも太く、そのまま食べていたようです。
室町時代には、現代に近い製法が確立され、そうめんという呼び名に変わっていきました。
江戸時代になると、そうめんの名産地として名高い三輪、播州などで特色あるそうめん作りが始められました。
鎌倉時代に伝えられた「点心」と呼ばれる寺院食品の中に、饂飩があり、これがうどんの元祖です。饂飩は、室町時代の日記類に、小麦粉で作った麺を細く切って煮て食べたと書かれており、すでに現在のうどんとほぼ同じ製法で作られていました。
そばの歴史も古いですが、当初は脱穀したそばの実を煮て「そば米」として食べていました。その後、石臼が普及しそば粉を練って団子にした「そば練り」や「そば団子」にして食べました。
江戸時代に朝鮮僧・元珍が、つなぎとして小麦粉を使用することを伝授し、「そば切り」という名称で麺として広まっていきました。
【参考文献】めんの本(小田聞多監修・食品産業新聞社発行)