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私は麺食い人!

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第10回:アジアの麺料理(2)について学びます

前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介しています。

10回目のテーマは「アジアの麺料理(2)」
今回は、中国と韓国の麺や麺料理の特徴についてご紹介します。

まずは、中国の麺料理をご紹介します。

ジャージャン麺(炸醤麺)

ジャージャン麺(炸醤麺)

材料 4人分
干ししいたけ 4枚
ゆでたけのこ 100g
ねぎ(白い部分) 10cm
にんにく(みじん切り) 小さじ1
しょうが(みじん切り) 小さじ2
サラダ油 大さじ2
豚挽き肉 240g
A 豆板醤 小さじ1
※テンメンジャン 大さじ1
赤みそ 大さじ1/2強
しょうゆ 大さじ2
300ml
砂糖 大さじ1
※実山椒のしょうゆ漬け
(又は乾燥・粉)
大さじ1
  かたくり粉 大さじ1
大さじ1
きゅうり 2本
中華生麺(1玉120g) 4玉
B しょうゆ 大さじ2
ごま油 小さじ1
ゆで卵 2コ
紅しょうが 少々

作り方

  1. 干ししいたけは水に戻し、小角切りにします。
  2. たけのこは小角切りにします。
  3. ねぎ、にんにく、しょうがはみじん切りにします。
  4. 熱したフライパンに油を入れ、3.を入れて良い香りがするまでじっくり炒めます。
  5. 4.に豚挽き肉を加え、1.と2.も加えて炒めて(A)を加えます。
  6. 5.に刻んだ実山椒をしょうゆの水気を切って加え、水溶きかたくり粉でとろみをつけます。
  7. きゅうりはせん切りにして塩水にさらします。
  8. 麺はたっぷりの熱湯で茹でて水でよく洗い、(B)で下味をつけます。
  9. 8.を器に盛り、6.をかけてきゅうり、半分に切ったゆで卵、紅しょうがを添えます。

※テンメンジャンはスーパーで市販されています
※実山椒のしょうゆ漬けは実山椒と同じ重さのしょうゆに漬け込み、冷凍保存したものです
市販の実山椒の佃煮や乾物でも良いです

韓国の麺料理です。

チャプチェ

チャプチェ

材料 4人分
韓国春雨(乾燥) 200g
牛肩ロース薄切り肉 200g
A しょうゆ 大さじ4・1/2~5
大さじ1・1/2
砂糖 大さじ3~4
しょうが(すりおろし) 小さじ1強
にんにく(すりおろし) 小さじ1/2強
しめじ 1パック(100g)
赤パプリカ 1/2コ(100g)
万能ネギ 80g
むきエビ 8尾(90g)
  少々
黒こしょう 少々
サラダ油 大さじ1
B ごま油 大さじ2
サラダ油 大さじ1
しょうが(せん切り) 10g
少々
黒こしょう 少々
白いりごま 大さじ2
仕上げのごま油 適量
2コ

作り方

  1. 韓国春雨は沸騰した湯で、6~7分間茹でて戻します(食べて芯がなくなるくらい)。水に取ってもみ洗いし、水気を切ってざく切りにします。
  2. 牛肉は細切りにし、(A)をもみ込みます。
  3. しめじは石突きを取って2~3本ずつにほぐし、パプリカは種を取って細切り、万能ねぎは4cm長さに切ります。
  4. エビは背ワタを取り、塩と酒(分量外)でもみ洗いし、水で洗います。熱湯で茹で、ザルに上げて塩とこしょうで調味します。
  5. フライパンに油を敷き、4.のエビを焼き付けて一旦取り出します。
  6. 5.のフライパンに(B)を足し、しょうがをじんわりと炒め、しめじを加えて更に炒めます。
  7. 6.に2.を入れて炒め、肉の色が変わったら赤パプリカとねぎを入れ、1.を加えて炒め合せます。味をみて塩とこしょうで調味し、5.のエビを戻し入れて、ごまを混ぜます。仕上げにごま油をかけます。
  8. 卵は薄焼きにし、せん切りにします。
  9. 器に7.を盛り、その上に8.の錦糸卵をのせます。

中国の麺料理

ジャージャン麺

ジャージャン麺は本来、炸醤麺と書き、中国北部の家庭料理である麺料理の一つです。豚の挽き肉や細かく切ったものを黄醤(豆味噌)や甜面醤で炒めて作った「炸醤」と呼ばれる肉味噌を、茹でた麺の上に乗せた料理です。中国の明王朝の時代に、汁なし麺が開発されたとされています。その後、日持ちするように塩辛く味付けされた味噌挽き肉をかけるようになって、炸醤麺の原型となりました。このジャージャン麺が韓国や日本に伝わって、その国に合う風味に仕上げられました。
韓国では、ジャージャン麺はチャンジャンミョンと呼ばれ、韓国風中華料理の代表格ともいえる麺料理です。子どもから大人まで世代を問わず親しまれているメニューで、中国料理店だけでなく、宅配やテイクアウト、インスタント麺など国民食として愛されています。
味付けは黄醤や甜面醤などは使わず、チュンジャン(春醤)と呼ばれる黒味噌にカラメルを加えたものを使用していて、かなり黒い色をしています。
韓国では4月14日を「ブラックデー(Black Day)」と呼び、ジャージャン麺を食べるという風習があります。バレンタインデーやホワイトデーを経ても恋人がいない人たちが4月14日に寄り添い、黒い服に身を包み、真っ黒なジャージャン麺を食べながらお互いを励まし合う日として、知られています。

韓国の麺

韓国も日本と同様に麺料理のバラエティに富んだ国です。長いものは長寿を表すとされ、結婚式や満一歳の誕生日には必ず麺を食べます。

韓国麺:「ミョン」・「グクス」

「ミョン」と「グクス」という言葉はどちらも「麺」を意味します。「ミョン」は中国語の「麺」に由来していて、小麦粉をこねた生地を広く意味します。一方「グクス」は「掬水」という漢字を当て、「ミョン」とほぼ同じ意味で使われてきましたが、材料は小麦粉のみならず、そば粉や緑豆、葛なども使われてきました。
現在、韓国の麺料理は発達して材料、製法とも多くありますが、製法を大きく分けると「切り麺」と「圧搾麺」の二つに分類されます。
「切り麺」は穀物粉に水を加えてこね、薄く延ばして折りたたみ、包丁で細く切った麺です。小麦粉の生地で作った「カルグクス」や、そば粉の生地で作った「メミルグクス」がその代表です。
「圧搾麺」とは穀物粉を熱湯でこねて粘性のある生地を作り、それに圧力をかけて小さな穴から熱湯の中に押し出して作る麺です。「ネンミョン(冷麺)」などがこれに当たります。

韓国の麺料理

韓国冷麺(ネンミョン)

韓国冷麵の麺の主原料はそば粉で、太く黒っぽい色が特徴です。もともとは寒い冬にオンドル(韓国の床暖房)がきいた温かい部屋で食べる料理でした。朝鮮半島の文献『東国歳時記』(1849年)の中で、冷麺は11月(新暦で12月)の季節料理として紹介されており、冬の料理だったことが分かります。

※韓国冷麺のレシピは、2021年8月号でご紹介しています。

チャプチェ

チャプチェは伝統的な韓国料理のひとつです。一般的な家庭料理であり、お祝いの席などでも食べられます。
「タンミョン」と呼ばれる韓国の春雨を使います。タンミョンは、さつまいものでんぷんを原料として作られ、色は灰色で太く、食感はコシがあってモチモチしています。
漢字では「雑菜」と書き、細切りにしたいくつもの材料を使った料理という意味です。
チャプチェは韓国で17世紀に発祥した料理で、初めは春雨を使わず野菜だけで作られていました。その後、中国料理の影響を受けて春雨や牛肉を入れるようになり、現在のスタイルが定着しました。

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