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私は麺食い人!

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第11回:アジアの麺料理(3)について学びます

前シリーズでは「お弁当作りを楽しむ」と題し、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピをご紹介しました。
今シリーズでは、「私は麺食い人!」というテーマで、日本独自の発展を遂げたラーメンをはじめ、アジア各国の食文化ともつながりの深い麺料理など、バラエティに富んだ麺料理をご紹介しています。

11回目のテーマは「アジアの麺料理(3)
今回は、シンガポール料理の特徴や麺料理、そして、暑くなってくると食べたくなる「冷やし中華」についてご紹介いたします。

まずは、シンガポールの麺料理(ビーフン)をご紹介します。

牛肉ビーフン

牛肉ビーフン

材料 4人分
(実習分量)
  ビーフン 180g
少々
中華風だしの素 少々
牛肉(国産薄切り) 200g
少々
こしょう 少々
ゆでたけのこ 100g
にんじん 90g(中1/2本)
もやし 1/2袋(100g)
キャベツ 3枚
パプリカ(赤) 1/2コ
ピーマン 1コ
サラダ油 大さじ3
A カレー粉 大さじ1~1・1/2
小さじ1
しょうゆ 大さじ1・1/2~
こしょう 少々
300ml
中華風だしの素 小さじ1/3
ゆで卵 2コ

作り方

  1. 沸騰した湯に塩と中華風だしの素を入れ、ビーフンを入れます。フタをして2~3分間もどし、半透明になったらザルに上げます。
  2. キッチンバサミで1.のビーフンを切っておきます。
  3. 牛肉はせん切りにして軽く塩とこしょうをふります。その他の具の材料はすべてせん切りにします。
  4. フライパンにサラダ油を入れ、牛肉を軽く炒め、その他の具も入れて全体がしんなりとしてきたら1.のビーフンを加えます。
  5. 混ぜ合わせた(A)を4.に加え、炒め煮にします。
  6. 器に盛って、スライスしたゆで卵を添えます。

※ビーフンは、漢字では「米粉」と表記し、うるち米を原料とするライスヌードルの一種です。

シンガポール料理とは

東南アジアのシンガポールの料理のことをいいます。中国南部(福建省、広東省)やマレー、インド、イスラムなどの周辺地域の多様な料理文化の影響を受けています。
代表的な料理としては、茹で鶏とその茹で汁で調理した米飯を共に皿へ盛り付けた米料理の「海南鶏飯(ハイナンジーファン)」やすでに焼き上げられたパンにカヤと呼ばれるスブレッドを塗った上でもう一度焼き上げて作られる「カヤトースト」、小麦または米の麺にもやし、青梗菜、チャーシュー、蟹肉などを入れて、醤油、胡椒、カレーパウダー、唐辛子などで味付けた「シンガポール・ヌードル」などがあります。
シンガポールの人口の15%がイスラム教徒ということもあり、豚肉が禁忌となっていることから、鶏肉料理が好まれています。

シンガポールの麺料理

シンガポールで食されている麺料理の多くは米作地帯である東南アジアで発達した「米麺」を使ったもので、多民族国家シンガポールならではの、多様性をもって独自に発達しました。
シンガポールのローカルフードには多種多様な麺料理があります。1皿あたりの量も少なく、さらっと食べられるということから、シンガポールでは、麺料理は朝に食べるものと根付いています。

ビーフン

ビーフンの起源は、紀元前220年頃、秦の始皇帝が中国統一を成し遂げたころの中国南部と考えられています。北方の兵士が長江以南へ進軍した際、米を食べることに慣れていなかったため、米を挽き、麺にして食べたことが始まりだと中国の米粉文化博物館で説明されています。
その後、ビーフンは中国南部から台湾へ伝わり、お客様をもてなす時の"便利な食材"として発達したと言われています。
来客があってから米を研いで炊くのでは遅すぎるので、すぐに調理できるビーフンは重宝されました。

粿條(クェイティャオ)

平たい中幅の米麺です。シンガポールの代表的な炒め料理、『チャークェィティャオ』(=チャーは炒めることなので、クェイティャオを炒めたもの、という意味)に使われています。生麺タイプなので食感はツルツルと柔らかく、甘辛く濃い味付けにとてもよく合う麺です。

河粉(ホーファン)

ホーファンは、クェイティャオをもっと幅広にした麺です。かなり幅広なのですが、調理するときにはあらかじめ醤油で軽く炒めてから使うのでしっかり味が染み込みます。上から中華丼風の餡をかけたり、地域によっては牛肉をトロトロに煮込んだものをかけたりして食べます。

続いて、「冷やし中華」についてご紹介いたします。

冷やし中華~タレも手作り~

冷やし中華~タレも手作り~

材料 4人分
(実習分量)
鶏ささ身 4本
500~550ml
A ささ身の茹で汁 200ml
すりごま(白) 大さじ1
ごま油 小さじ1
しょうゆ 大さじ5
砂糖 大さじ3~4
大さじ6
2コ
きゅうり 1本
ロースハム 8枚
中華そば(生) 4玉(480g)
B しょうゆ 大さじ2
ごま油 小さじ1
さくらんぼ
(又はスイカ)
8枝
カニの身
(カニかまぼこでも可)
4本
マヨネーズ 適量

作り方

  1. ささ身は観音開きにして分量の水を沸かして茹で、水(分量外)に浸けて芯までしっかり冷やし、(水に浸けておくと肉がパサパサになりにくい)細かくさきます。茹で汁はタレに使用するため残しておきます。
  2. (A)を混ぜ合わせます。
  3. 卵は薄焼きにしてせん切り、きゅうりは斜め薄切りにしてからせん切り、ハムは5mm幅に切ります。
  4. たっぷりの熱湯にそばをほぐし入れて袋の表示時間茹で、冷水で手早くもみ洗いしてぬめりをとり除き、ザルに上げてしっかり水気を切ります。
  5. 4.をボウルに入れ、(B)をまぶします。
  6. 器に5.の麺を盛って具をのせ、2.のタレをかけてマヨネーズを添えます。

冷やし中華とは

冷やし中華とは、冷やした中華麺を使った料理で、野菜や叉焼、ハム、錦糸卵など色とりどりの具材を麺にのせて、冷たいかけ汁(醤油と酢あるいは芝麻醤(ゴマだれ))をかけて食べます。夏の麺料理として、日本各地で食べられています。
家庭食、中食、外食ともに夏期、それも昼食として食される傾向が見られ、夏の風物詩として7月の季語になっているほど、日本に定着している麺料理です。

冷やし中華の発祥

日本では昭和初期から食べられています。
中国の冷やし麺「涼拌麺(リャンパンメェン)」をルーツに持つともいわれますが、味も作り方も大きく異なるものであるため、「中華」とありますが、一般的には日本発祥の料理とみられています。
1929年(昭和4年)に発刊された「料理相談」には「冷蕎麦(ひやしそば)」として、また、1936年(昭和11年)に発行された雑誌『栄養と料理』には三絲涼麺(サンスーリャンメン)として紹介されています。

地域による特色

薬味や呼び名も地域によって、特色があります。
薬味は練りからし、わさび、紅しょうが、マヨネーズなど多様です。東北地方や東海地区ではマヨネーズを添えることが多いです。
呼び名も北海道では「冷やしラーメン」、岩手県では「冷風麺」、関西では「冷麺」などと呼ばれます。また、韓国では「冷ラーメン」、中国では「日本式涼拌麺」、台湾では「日式中華涼麺」と呼ばれ、アジア各国で親しまれています。

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