文化講座
第6回:マダムのおもてなし弁当について学びます
前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介しています。
6回目のテーマは「マダムのおもてなし弁当」
マダムがもてなすホームパーティーの開き方と、おもてなし料理となるお弁当をご紹介します。
まずはマダムのおもてなし弁当を作ってみましょう。今回は古い九谷焼きの大鉢に盛ってみました。その中のいくつかのレシピをご紹介します。大皿に盛っても良し(写真A)、事前に取り分けて小皿に盛り付けた懐石点心スタイル(写真B)にしても、見た目も華やかで女性に特に喜ばれます。
1人分量 | |
---|---|
(1) 生鮭の柚庵焼き | 1切れ・50g |
(2) 菊花かぶ | 1切れ |
(3) 鯛の中華風ごまダレ | 1/4量・40g |
(4) ほうれん草としめじと黄菊のすだち浸し | 適量 |
(5) ゆり根の梅肉和え | 適量 |
(6) 里芋の揚げ煮(石川小芋) | 2コ |
(7) カニの押し寿司 | 1切れ・1箱の1/8 |
(8) 土瓶蒸し | 1瓶 |
写真A
写真B
(1) 生鮭の柚庵焼き
材料 | 4人分 | |
---|---|---|
生鮭(1切れ50g位・皮なし) | 4切れ | |
A | みりん | 大さじ2 |
酒 | 大さじ2 | |
しょうゆ | 大さじ2 | |
柚子(輪切り・種を取る) | 1コ | |
みりん | 適宜 |
作り方
- 鮭は(A)に3時間~1晩漬け、汁気を切ります。切り身の片側を下に折り込み、竹串を刺します。
- オーブン皿又は魚焼き器にオーブンペーパーを敷き、1.をのせて190度で10~12分間程焼きます。
- 2.の魚にみりんを塗って再度5~10分間焼き、照りをつけます。
(2) 菊花かぶ
材料 | 4人分 | |
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今市かぶ | 1コ(葉を落として120g) | |
塩 | 小さじ1/3~1/2 | |
A | すし酢 | 大さじ2 |
ミネラルウォーター | 50ml | |
赤唐辛子(輪切り) | 8~12枚 |
作り方
- かぶは皮をむいて横半分に切り、8等分にします。
- 1.に細かく碁盤目に切り込みを入れます。
- 2.に分量の塩をふって、しんなりしたら水で洗い流し、水気をしぼります。
- ボウルに(A)を合わせ、3.を浸けます。盛る際に上に赤唐辛子を添えます。
(3) 鯛の中華風ごまダレ
材料 | 4人分 | |
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鯛(刺身用・柵取り・皮なし) | 160g | |
A | しょうが(みじん切り) | 小さじ1/2 |
にんにく(みじん切り) | 小さじ1/3 | |
しょうゆ | 大さじ1強 | |
酢 | 小さじ1 | |
砂糖 | ひとつまみ | |
豆板醤 | 小さじ1/3~1/2 | |
白すりごま | 大さじ1/2 | |
ごま油 | 小さじ1 | |
昆布だし汁 | 大さじ1 |
作り方
- 鯛はごく薄く切り、細切りにします。
- ボウルに(A)を合わせ、1.を浸けます。
(4) ほうれん草としめじと黄菊のすだち浸し
材料 | 8人分 | |
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ほうれん草 | 400g(2束) | |
しめじ | 100g | |
松茸(又はエリンギ) | 適量 | |
A | 酒 | 大さじ3 |
水(又はかつおだし汁) | 大さじ2 | |
塩 | 小さじ1/3 | |
黄菊 | 30g(約6輪分) | |
B | しょうゆ | 大さじ1~1・1/2 |
すだちの絞り汁 | 大さじ1(1~2コ分) |
作り方
- ほうれん草は熱湯に塩(分量外)を入れて程よく茹で、水によく晒してから6等分位の長さに切り、絞ります。
- しめじは石突きを取って半分の長さに切り、サッと洗って鍋に入れます。(A)をふりかけ、中弱火でしんなりするまで酒蒸しにします。汁ごと冷まします(この汁がおいしいので捨てないこと)。
- 黄菊は花びらをむしり取り、熱湯で茹でて水に晒し、軽く絞ります。
- ボウルに(B)を入れて1.~3.を入れ、食べる直前に浸します。
※長く浸すとほうれん草の色が悪くなります - 器に汁ごと盛ります。
(5) ゆり根の梅肉和え
材料 | 4~6人分 | |
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ゆり根 | 1コ分 | |
梅干し(色が赤いもの) | 正味20g | |
みりん | 小さじ1 |
作り方
- ゆり根はほぐして洗い、蒸し器で7分間程やわらかくなるまで蒸します。
- 梅干しは種を取ってたたき、分量のみりんを加えます。
- 2.に1.を入れて和えます。
(6) 里芋の揚げ煮
材料 | 4人分 | |
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石川小芋(里芋) | 8コ(1コ=50~70g位) | |
A | かつおだし汁 | 400ml |
酒 | 50ml | |
みりん | 50ml | |
しょうゆ | 50ml | |
小麦粉 | 適宜 | |
揚げ油 | 適宜 |
作り方
- 芋は天地を落とし、蒸し器で10分間程蒸します。
- 1.の芋の皮をむきます。
- 鍋に2.と(A)を入れて煮て、冷まします(出来れば一晩浸けます)。
- 3.の芋の水気をペーパータオルで拭き、小麦粉をつけて高温の油でカラッと揚げます。
(7) カニの押し寿司
材料 | 押し型4箱分 (押し型7cm×15cm×4.8cm) |
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米 | 3カップ(600ml分) | |
水 | 700ml | |
酒 | 大さじ2 | |
A | 純米酢 | 90ml |
砂糖 | 大さじ5 | |
塩 | 小さじ1 | |
茹でズワイ蟹(棒) | 16本(150g) | |
トビコ | 80g | |
マヨネーズ | 大さじ4 |
作り方
- 洗った米に分量の水と酒を入れ、1時間程浸水してから炊き上げ、10分程蒸らします。
- 混ぜ合わせておいた(A)の合わせ酢を1.に混ぜ込み、手早く混ぜて冷まします。
- カニの身を薄く開き、ラップを敷いた型に下向きに1箱につき3~4本並べます。
- 型にすし飯を130g入れて押し、平らにします。
- 4.にとびこ(20g)とマヨネーズ(大さじ1)を混ぜてのせ、スプーンでのばし、残りのすし飯(140g)を入れてラップをかぶせてからフタをし、四隅をしっかりと押します。しばらく重石をしておくと良いでしょう。
- 5.の型をはずし、ラップごと8等分にし、器に盛ります。
※押し型がない場合は、密封容器などを使うと良いでしょう
※ラップで丸く握ってから手まり寿司にしても良いでしょう
(8) 土瓶蒸し
材料 | 4人分 | |
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きのこ | 適量 | |
エビ | 4尾 | |
酒 | 少々 | |
ギンナン | 12粒 | |
鶏肉(皮なし) | 80g | |
みつ葉(小) | 1/2束 | |
A | かつおだし汁 | 800ml |
うす口しょうゆ | 大さじ3 | |
酒 | 大さじ2 | |
すだち | 2コ |
作り方
- きのこは薄切りにします。
- エビは背ワタを取って酒をふりかけます。ぎんなんは鬼皮を割って取り、茹でて玉じゃくしの底でこすりながら渋皮をむきます。
- 鶏肉は小口切り、みつ葉はザク切り、又は結びます。
- エビと鶏肉はサッと熱湯を通します。
- 土瓶にみつ葉以外の材料を入れて(A)を注ぎ、フタをして蒸し器に入れ、8~10分間蒸します。
- 5.にみつ葉を入れて火を止め、フタをしたまましばらく蒸らし、半分に切ったすだちを添えます。
ホームパーティーを成功させるためには...
おもてなしを成功させるためには、以下の点に注意しながら進めましょう。
一般的に5W1Hといわれるものです。
- When(いつ)→日時(時間帯なども)、季節
- Who(主催者「誰が」)→主催者はホストかホステスか
- With(ゲスト「誰と」)→お客様は男性?女性?年齢層は?人数は?
- Why(何のために)→パーティーの主旨(=目的)は?
- Where(どこで)→開催場所は?
- How(どのようなスタイルで)→立食か着席か、洋食か和食かスナックスタイルか
1. プランニングノートを作る
その日のゲストや献立などをメモしておくと、今後同じお客様の時に献立がダブる心配がありません。私はいつも、メニュープランをするときに、食前酒・前菜・大皿料理(人数の変動に対応しやすい)・ご飯・デザート・コーヒーor紅茶...etcというようにメモしています。事前に買い物リストも作り、当日のパーティーがスムーズに進むように心がけています。
2. 献立について
献立を考えるポイント
- どんなパーティーなのかを考えて パーティーの目的、メンバー、人数、季節、時間帯によって、料理の内容を考えましょう。
- 主菜、副菜(前菜含む)、デザートの3つの献立を基本に 和・洋・中いずれの料理でも言えることですが、この基本にそって考えると、献立が作りやすくなります。主菜を決めたら、副菜の品数で全体のボリュームを考えましょう。
- 飲み物やパンなどを用意する
ワイン、ビール、ウイスキーなど、料理との相性とお客様の好みを考え、2~3種類は用意しましょう。
また、ノンアルコールの飲み物も用意しましょう。
※お弁当を料理店から取り寄せたり、料理の持ち寄りを提案するのも、気軽にパーティーを楽しむひとつの方法です。
3. メニューカードを作る
メニューカードを見ながら、「次はどんな料理が出るのかしら?」と、料理を心待ちに思うことも、お客様の楽しみのひとつではないでしょうか。また、カードはその日の記念にお持ち帰りしていただくとよいでしょう。
ご参考までに私のメニューカードを添えてみました。
料理研究家のもてなし料理は「豪華」が自慢です(笑)
4. テーブルコーディネートでお出迎え
「玄関を開けるとテーブルコーディネートが華やかだね」とお客様に言っていただけると、うれしいものですね。特に来客時には、すぐに目に入る位置に美しいコーディネートをしておくと効果的です。
先日開催したホームパーティーの室内の様子。
グリーンを飾り、テーブルセッティングを終えたところ。
キャンドルスタンドに花を飾りました。
家にある小物を活用しています。
お客様ひとり一膳ずつご用意しました。
沖縄料理をテーマにしたので、テーブルにはシーサーも置いています。
沖縄の琉球柄のエプロンをつけてお出迎え。
5. まずは一杯のおもてなし
お客様が到着されたら、「まずは1杯の飲み物でおもてなし」を心がけています。ウェルカムドリンクと呼ばれるもので、季節の甘くないノンアルコールドリンク(旬のフルーツジュースなど)をほんの少量用意しています。
6. 食器・カトラリーなどの揃え方
人数分の取り皿を用意できれば良いのですが、現実は厳しいものです。お皿はお揃いのものでなくてもOKなんです。私はむしろ違う小皿や箸置きなどを使います。お客様にもいろいろな食器を紹介することができ、会話が弾みます。
左上:ふきと牛肉の当座煮
右上:マグロの湯引き菊花仕立て
左下:イカの柚子塩
左下手前:桑名産ハマグリの磯辺揚げ
真中:もって菊とカニの身のしょうが酢&自家製からすみ
真中手前:ひさご形のだし巻き卵
右下:ゆり根の梅肉和え
右下手前:干し柿のチーズ巻き
小皿を使い、お弁当スタイルで盛り付けています。
何かのご参考になれば幸いでございます。