愛知県共済

インターネット公開文化講座

文化講座

インターネット公開文化講座

お弁当作りを楽しむ

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第12回:ボックススタイル(お弁当スタイル)で楽しむ伝統的なイギリス料理とアフタヌーンティーについて学びます

前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介しています。

12回目のテーマは
ボックススタイルで楽しむ伝統的なイギリス料理とアフタヌーンティー

先日開催したイギリスパーティー料理とデザートを、お弁当箱に盛り込んでみました。参加できなかった大切な友人にお届けして、大喜びしてもらいました。その際のパーティーの様子をお伝えします。

【パーティー料理とデザートのお弁当箱】

左側がデザート、右側がイギリス料理の詰め合わせ


では、イギリス料理とデザートのレシピをご紹介します。

フィッシュ&チップス~イギリスの代表的な料理です~

フィッシュ&チップス
オーブンで焼いたポテトを添えました。カレー塩を振りました。

材料 4人分
真タラ(身おろし)(又はタイ) 350g
A 小さじ2/3~3/4
白こしょう 少々
白ワイン 大さじ1
薄力粉(下衣) 適量
B 薄力粉 70g
片栗粉 40g
ベーキングパウダー 小さじ1/4
小さじ1/4~1/3
ビール(よく冷えたもの) 130ml
揚げ油 適量
じゃがいも(小~中) 320g(約4コ)
小さじ2/3
オリーブ油 大さじ1
青味 適量
レモン 1/2コ
カレー塩(カレー粉1:塩7) お好みで

作り方

  1. タラは1人3~4切れ当てに、棒状に切ります。
  2. 1.に(A)をまぶし5~10分おいてから、水気を取って薄力粉(下衣)をまぶします。
  3. ボウルに(B)を入れ、ビールを勢いよく注いで混ぜます。
  4. 2.を3.にくぐらせて油で揚げます。
  5. じゃがいもはしっかり洗い、皮ごと1コを6等分に切って水に晒します。
  6. 5.の水気を切り、塩、オリーブ油をまぶします。
  7. 天板にオーブンペーパーを敷き、6.をのせて180~200度のオーブンで15分焼きます。
  8. 器に青味やレモンと共に4.と7.を盛り、お好みでカレー塩をふって食べます。

※フィッシュ&チップス
タラなどの白身魚のフライに、棒状のポテトフライを添えたもの。
19世紀中頃に、食事に帰宅できない工場労働者のためにできた料理と言われ、今でもイギリスの国民食として親しまれています。

フィッシュケーキ(サーモンコロッケ)

フィッシュケーキ(サーモンコロッケ)

材料 40gで12コ分
じゃがいも 450g(大2コ)
小さじ1/2
バター 20g
  トラウトサーモン(生鮭・塩鮭可) 240g(約2切れ)
小さじ1/3
こしょう 少々
白ワイン 70ml
70ml
ハーブ(ディル・バジル・青じそなど) 適量(ディルなら5~6軸、バジル・青じそなら10枚位)
卵黄 1コ分
卵白 1コ分
小麦粉 適量
生パン粉 2~3カップ
揚げ油 適量
レモン 1/4コ
ハーブ 適宜
マヨネーズ お好みで
マスタード お好みで

作り方

  1. じゃがいもは8等分程に切り、皮ごと水から茹でます(沸騰後、15~20分をメドに茹でる)。
  2. 1.のじゃがいもをザルに上げて、皮をむきます。
  3. 2.を熱々のうちにマッシャー又はすりこ木でつぶし、熱々のうちに塩とバターを加えます。
  4. 鍋を水でぬらして、サーモンを並べ、分量の塩とこしょうをふってからワインと水を加え、フタをして蒸し煮します。
  5. 4.に火が通ったら皮と骨を取り、細かくほぐします。
  6. 3.に5.と刻んだハーブ、卵黄を加えてしっかり混ぜ、12コに丸めます。
  7. 卵白に水大さじ1強を加えてしっかりほぐします。
  8. 6.に小麦粉、7.、パン粉をつけて揚げます。レモンやハーブを添えます。

※フィッシュケーキ
Cakeという単語には「魚などのすり身を固めたもの」という意味があり、フィッシュケーキは魚とじゃがいもをパン粉や小麦粉で包んで揚げたものです。

紅茶のパンナコッタ(180mlプリン型4コ分)

紅茶のパンナコッタ(180mlプリン型4コ分)
最上段が紅茶のパンナコッタ

材料 4人分
パンナコッタ
A 生クリーム 200ml
牛乳 200ml
砂糖 30g
アールグレー(紅茶の葉) 大さじ2強
  粉ゼラチン 2袋(5g×2)
50ml
ミルクキャラメルソース
  砂糖 60g
大さじ2
湯(さし湯) 大さじ3
バター 10g
牛乳 大さじ2
季節のフルーツ 適宜

作り方

  1. (A)を鍋に入れて火にかけ、あたたまったらアールグレーを入れてフタをして蒸らします。
  2. 1.に水でふやかしたゼラチンを加え、茶こしでこして型に入れ、冷やし固めます。
  3. 鍋にソースの砂糖と水を入れて火にかけて焦がし、さし湯をしてソースをゆるめます。温かいうちにバターを入れ、少し冷めてから牛乳を加えます。
  4. 器に2.を盛り、3.のソースをかけます。フルーツを添えます。

チョコレートのムース

チョコレートのムース

材料 4人分
  大さじ2
粉ゼラチン 1袋(5g)
ミルクチョコレート(板チョコ) 60g
牛乳 200ml
生クリーム 100ml
グラニュー糖 15g
インスタントコーヒー 小さじ1
棒チョコ 適宜
生クリーム 適量

作り方

  1. 分量の水にゼラチンを振り入れてふやかします。チョコレートは細かく刻みます。
  2. 小鍋に牛乳、生クリーム、グラニュー糖を入れ、沸騰直前まで温めます。
  3. チョコレート、インスタントコーヒーを加え混ぜます。
  4. 1.のゼラチンを加えて、溶けてから火を止めます。
  5. ボウルに入れ、ボウルの底に氷水を当てて泡立てるようにして冷やします。
  6. 器に入れ、氷水で冷やし固めます。
  7. 棒チョコを突き刺し、泡立てた生クリームで飾ります。

イギリス料理の特徴

イギリス料理は簡素で実質的な家庭料理として知られ、素材の持ち味を生かす調理法が特徴です。食で有名なフランス、イタリア、スペインなどの他のヨーロッパ諸国と違い、「イギリス料理=まずい」といったネガティブな印象があるかもしれません。好みに応じて塩や酢などで味付けすることを想定し、調理の段階では味付けがされていないことも多い調理法は、他国の人たちにとって物足りなく感じられたのでしょう。また、ローストビーフやシチューなどの調理法、獲った鳥やウサギを鍋で煮込んだり丸焼きにしたりする料理のように、手間をかけない物が多く、素材そのものの味に左右されることも影響しています。
イギリスの伝統的な朝食「イングリッシュ・ブレックファースト」は、トースト、卵料理、ベーコン、ソーセージ、マッシュルーム、トマト、ポテトなどが並び、非常にボリュームがあります。これは中世のイギリス貴族の習慣にさかのぼりますが、産業革命時代からは、労働者階級にも昼間の重労働に耐えるだけのボリュームある朝食を食べる習慣が確立しました。イギリスの作家サマセット・モームは「イギリスでおいしい料理にありつきたかったら、朝食を3回食べるのがよい」という言葉を残しています。
現在、イギリスは多民族・多文化国家になっていて、特にロンドンは世界各地の食べ物や料理を楽しめる世界有数の都市になっています。これらの外国料理やその技法を取り入れた新しい料理を取り入れ、伝統的なイギリス料理を改革し、「イギリス料理=まずい」は払拭されてきています。

アフタヌーンティーとは

アフタヌーンティーはもともと、英国で始まった夕方のお茶の習慣です。日本のホテルのコーヒーハウスやティールームでもいただけ、スコーンや小ぶりのケーキ、ティーサンドイッチと共に紅茶を楽しむ優雅なひとときです。

家庭でアフタヌーンティーを楽しみましょう

ホテルなどでアフタヌーンティーを楽しむ女性が増えています。紅茶やケーキの種類も多く、にぎやかです。
しかしともすると、ケーキバイキングのような慌しさがあり、ゆっくりとくつろいでお話をすることが難しいようにも思えます。もともと、アフタヌーンティーはイギリスの貴婦人たちが、家庭で催した社交の場でした。家庭で手作りケーキやサンドイッチを、ゆったりと楽しむスタイルをおすすめします。

筆者の自宅でのイギリス料理とアフタヌーンティーパーティーの様子を写真でご紹介します(2021年5月)


大皿に盛ったケーキやティーサンドイッチ


エリザベス女王に敬意を表しロイヤルハットとパールをつけておもてなししました


ローストポークは厚手鍋に入れてオーブンで焼いて


ローストポークの大皿

ローストポークの付け合わせに使ったヨークシャープディング。焼き立ての熱々です。
ヨークシャープディングとは、イングランドのヨークシャー地方で生まれた家庭料理の一つです。
いわゆる菓子の「プリン」ではなく、シュークリームの皮のようなもので、ローストビーフなどの肉料理の付け合わせとしてよく用いられます。


お取り寄せしたスコーン


焼き上がり


白ねぎとベーコンのホットパイ

 
お弁当作りを楽しむ
このページの一番上へ