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インターネット公開文化講座

文化講座

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お弁当作りを楽しむ

郷土料理研究家
栄中日文化センター提携 インターティアラ・お料理サロン 主宰
伊藤 華づ枝

第5回:思春期のお弁当について学びます

前シリーズでは「旬の食材大事典~今食べたいのはこの食材!!~」と題し、その季節に最もおいしい食材や調理法を取り上げ、その効能はもちろん、それらにまつわる様々な事柄の説明を、オリジナルレシピとともにご紹介しました。
今シリーズでは、「お弁当作りを楽しむ」というテーマで、幼児や学童期から、中高年者が楽しめる弁当や、おもてなしも含めたマダムのためのおしゃれ弁当など、その作り方の注意点なども含めてお弁当に向くレシピを皆様にご紹介しています。

5回目のテーマは「思春期のお弁当 その3・塾弁
思春期のお子さんの中でも、受験生のために意識したい点などをご紹介します。

まずは受験生のための塾弁当を作ってみましょう。

塾弁当 ~塾に行く前に食べるお弁当~
消化吸収が良く、食べやすい弁当を心がけて作りましょう

(1) チキンピカタ(参考レシピ添え)
薄切りにした鶏むね肉に塩こしょうで調味し、パルメザンチーズ入りの卵をまぶして焼きます。
(2) たっぷり野菜のカポナータ(野菜のトマト煮)(参考レシピ添え)
玉ねぎ、なす、パプリカなどを、カットトマトで煮込んだものです。
(3) 菜飯としらす干し・ゆかり粉の三色ごはん
青菜を茹でて細かく刻み、水分をギュッとしぼって、ごまと塩で和えたもの、甘酢に浸けたしらす干し、ゆかり粉を彩りよくごはんの上にのせたものです。
(4) 果物
いちごはヘタを取ってから、きれいに洗って添えます。

(参考レシピ)

チキンピカタ~野菜のグリル添え~

チキンピカタ~野菜のグリル添え~

材料 作りやすい分量
鶏むね肉 2枚
  少々
白こしょう 少々
小麦粉 適量
A 1コ
粉チーズ(パルメザンチーズ) 大さじ1
サラダ油 大さじ1
バター 10g
なす(中) 1/2本
ピーマン 1コ
  少々
オリーブ油 適量
青味(セルフィーユなど) 少々

作り方

  1. 鶏肉はひとくち位の大きさに切り、塩とこしょうをふります。
  2. 1.に小麦粉をやや多めにまぶして、しっかりと溶きほぐしておいた(A)をからめます。
  3. フライパンに油とバターを入れて、2.を入れて中弱火で両面をじっくりと焼きます。
  4. なすは斜めの薄切りにし、水にさらしてアクを取ります。
  5. ピーマンは1コを4等分に切ります。
  6. フライパンで4.と5.を焼き、焼き上がったら塩とオリーブ油で軽く調味します。
  7. 器に3.と6.を盛り合わせ、青味を添えます。

※写真にはミニアスパラガスを添えました

カポナータ(イタリア風ナスのトマト煮)

カポナータ(イタリア風ナスのトマト煮)

材料 作りやすい分量
オリーブ油 大さじ5
にんにく(みじん切り) 小さじ1
ベーコン(塊・1cm角切り) 100g
玉ねぎ(1cm角切り) 1コ
なす(1cm輪切り) 2本
赤パプリカ(1cm幅せん切り) 1コ
黄パプリカ(1cm幅せん切り) 1コ
完熟カットトマト 380g(1パック)
100ml
オレガノ(乾) 適量
A 小さじ1・1/2~2弱
白こしょう 少々
白ワインビネガー 大さじ1

作り方

  1. フライパン又は厚手鍋にオリーブ油を入れ、にんにくをじんわりと炒めます。
  2. 1.にベーコンと玉ねぎを入れて炒めます。
  3. 2.に残りの野菜を入れて、全体にオリーブ油をまぶすように炒めます。
  4. 3.にカットトマトを加え、分量の水を入れます。
  5. フタをして20分煮込みます。途中でオレガノを加えます。※あればパプリカパウダーを入れます
  6. 途中で(A)を加えて調味します。仕上げにワインビネガーで風味を付けます。

※写真にはバジルの葉を添えました

いよいよ受験シーズン到来です。勉学に励む受験生の、食事のポイントをお伝えします。

受験生に大切な栄養素と食品

  1. 受験生の食事で最も重要なことは、栄養バランスのとれた食事をとることですが、記憶力、集中力、創造力を高めるために、脳が充分に働いてくれる栄養素をとり、勉強の効率をアップさせることも大切です。 糖質(デンプンやブドウ糖)
    血糖値を上げ、脳のエネルギー代謝を高めて、脳の働きを活発にします。
    糖質を多く含む食品には、穀類(ご飯、パンなどや芋類)があります。
    たんぱく質(アミノ酸)
    脳の細胞の働きを活発にし、頭の回転を良くします。
    たんぱく質を多く含む食品には、魚類、肉類、大豆・大豆製品(豆腐、納豆など)、牛乳、卵などがあります。
    カルシウム
    集中力を高める働きがあります。
    カルシウムを多く含む食品には、牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズなど)、海藻(ひじき、わかめなど)、大豆・大豆製品、緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草など)、小魚類などがあります。
    レシチン
    脳の働きを活発にします。
    レシチンを多く含む食品には、大豆、卵黄、くるみ、ピーナッツ、ごま、レバーなどがあります。
    ビタミン類
    脳の活動全体を調整し活性化します。特にビタミンB群やビタミンC、Eは脳の活動をスムーズにするために大切です。
    ビタミンB群を多く含む食品には、豆類、胚芽米、強化米、豚肉、レバー、卵黄、牛乳、チーズなどがあります。
    ビタミンEを多く含む食品には、緑黄色野菜、魚類(いわし、さば、さんま)、大豆・大豆製品、胚芽米などがあります。
    DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)
    脳細胞の働きを活発にし、視力・記憶力を高めます。
    DHA、EPAを多く含む食品には、青魚(さば、いわしなど)やうなぎなどがあります。
  2. 精神を安定させ、イライラを減少させるためには、カルシウムが大切です。
  3. ビタミンB群不足は倦怠感、疲労感、眠気、ゆううつやストレスなど精神的、肉体的影響が出ます。そして、ストレスが多くなるほど、ビタミンB1の消費が激しくなります。受験生にとってビタミンB群は重要な栄養素といえます。

受験生のための食事作り

  1. 受験期は寒さの厳しい季節であり、また夜遅くまで勉強をする機会が多いことから、食事は体が温まり、消化の良い食事が適しています。また、よく噛んで食べることも、消化を助けるために大切です。
  2. 健康な体を維持するために、自分に合った食生活のリズムを確立させ、栄養素のバランスと栄養不足にならないように、適切な食事量をとることが大切です。
  3. 勉強の効率を上げるために、脳を活発にする栄養素を積極的にとるような食事を心掛けましょう。
  4. 受験期の高校生の多くが、朝食を欠食しているといわれています。朝食の欠食は午前中の授業に集中できず、また1日の栄養量が不足します。必ず朝食をとるようにしましょう。
  5. 若い人の好きな清涼飲料水や甘い菓子のとり過ぎは、エネルギーと糖質の過剰摂取となり、運動量の少なくなるこの時期は肥満になります。また、糖質のとり過ぎはビタミンB1の消費量が増加し、B1不足になって集中力がなくなり、食欲不振につながりますので間食のとり過ぎに注意し、食事量を少なめにし栄養価の高いものをとるようにしましょう。
  6. 食事は受験生にとって、気分転換の機会でもあります。ストレスの溜まりやすい時期なので、楽しい食事を家族も協力して心掛けるようにしましょう。
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